タイヤは「カッコいい!」で選んでも大丈夫?

「同じタイヤサイズでも、トレッドパターンは銘柄によって大きく違う。ならば、性能面だけでなく、見た目の好みで選んでもいいのでは?」

タイヤのトレッドパターンは千差万別!せっかくならカッコいいタイヤを履きたい!

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バイクのタイヤって、色々な種類がありますよね。ピレリだとDIABLO(ディアブロ)というシリーズの中でも様々な種類がある。見た目ですぐにわかるのは、タイヤの溝の形、表面のデザインです。もちろんそれぞれのタイヤが異なるターゲットを持っているのは理解しているつもりですが、タイヤってデザインの好みで選んでも大丈夫なんですか?

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おっ、よく知っているね! ディアブロマンとしては嬉しい! タイヤの接地面の溝のデザインは「トレッドパターン」と呼ぶんだよ。

同じサイズで異なるトレッドパターンを持つピレリのタイヤ
同じサイズでもピレリは様々なトレッドパターンのタイヤをラインナップしている。

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なるほど。そのトレッドパターンってタイヤによってかなり違いますよね。そもそもトレッドパターンって、なんで色々なデザインがあるんですか? やっぱり性能とかに影響するんですか?

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良い質問だね~。ところでなんでトレッドパターンが気になったの?

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それはもちろんカッコいいタイヤを履きたいからだけど……。いや、でもまずはトレッドパターンの意味や違いを教えてくださいよ!

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気持ちはよくわかるよ(笑)。それでは今回は、トレッドパターンについて解説するけれど、じつはタイヤの構造の進化と密接に関係するから、その辺りから話していくね。

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よろしくお願いします!

かつてはタイヤの機能がトレッドパターンを決めていたが…

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現在は溝が少ないレーシングタイヤのようなデザインもあるし、溝が多くて深い、いかにもツーリングタイヤといったデザインまでたくさんある。もちろん昔も色々なトレッドパターンがあったけれど、そうだな~ラジアルタイヤが登場する1980年代までは、総じて『縦溝』が多いパターンが主流だったかな。

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縦溝?

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そう、昔のビジネスバイクが装着していたような、たくさん縦溝が刻まれたタイヤだね。人気の絶版旧車のホンダのドリームCB750FOURやカワサキのZ1/Z2のようなビッグバイクも、80年代前半のバイクブームで流行した250や400ccクラスのバイクも、縦溝が多いリブタイヤと呼ばれるものや、そこに横溝を加えたリブラグタイヤが主流だった。

1980年代まで主流だった縦溝を持つバイアスタイヤのイラスト
1980年代までのバイアスタイヤのトレッドパターンは「縦溝」が主流だった。

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ちょっと古っぽいというか、現在のスポーツタイヤとはかなり雰囲気が違いますね。個人的には、好みではないかなぁ……。

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今の感性で見るとそう感じるかもね。でも、これには理由があって、1980年代前半までタイヤはバイアス構造が主流だったからなんだ。

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以前、『教えてディアブロマン Vol.8』でバイアスとラジアルの違いを教えてもらいましたね。

バイアスタイヤの内部構造を示した図
「バイアス構造」
カーカスの繊維の方向がタイヤの回転方向に対して斜め(バイアス)に貼っている内部構造。2層あるのは、互い違いの角度に貼っているから。


ラジアルタイヤの内部構造を示した図
「ラジアル構造」
カーカスをタイヤの回転方向に対して垂直(ラジアル)に一層だけ巻いて柔軟性を出す構造。

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当時のハイパワー&ハイスピード化が進んだバイクに対応するため、バイアスタイヤは構造的に硬く重くなっていった。だけどグリップ性能を発揮するには、適度なたわみ、タイヤが適正に変形することが重要だったんだ。

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少しずつ思い出してきました(笑)。

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そこで路面に接するゴムの部分の「トレッド」に縦溝を刻むと、車体を傾けた時の横方向の力に対して、表面がたわみやすくなる。これが縦溝を刻んだデザインが主流になった理由だね。
他にも公道用の一般タイヤだと、雨天時の排水性なども必要だから、縦溝が多かった。

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なるほど。縦溝にも意味があるんですね。

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しかし、ラジアル構造の登場でタイヤのトレッドデザインはガラリと変わる。1980年代中頃だね。ラジアルは構造的にタイヤ全体が適度にたわむことで高いグリップを生み出すから、バイアスほど縦溝に頼らなくてもよくなった。
だからこの頃から、徐々にトレッドパターンがカッコよく(笑)なっていったと言えるかもね。
ただ、当時ラジアル化したのは後輪が先で、前輪はバイアス構造が多かったから、後輪のトレッドパターンは斬新なのに前輪は縦溝が多いまま……というバイクも少なくなかったよ。

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へぇ~。前輪と後輪でデザインが違う時代があったんですね。興味深い。

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その後にピレリは、1986年に傘下となったメッツラーと共同開発した独自のスチールベルト構造を開発。ますますタイヤの内部構造を進化させたことで、タイヤのたわみや剛性などをより緻密にコントロールできるようになっていった。
するとトレッドパターンのデザインは、さらに自由度が大きくなって、色々なチャレンジを開始。その頃登場したスポーツタイヤがDRAGON(ドラゴン)で、けっこう斬新なデザインだったと思うよ。
そして2000年代にDIABLOが登場して、ますますデザインがスポーティになったよね。

ピレリのタイヤに採用される0度スチールベルト構造
タイヤの進行方向に対して0度に巻かれるスチールベルト。スチールの太さや本数、ラバーでのコーティング方法、さらにタイヤに巻きつける間隔など、常にR&Dを繰り返しながら進化している。スチールベルトはタイヤのダンピング性能や衝撃吸収性、ウォームアップ性能に貢献。引っ張り強度が高く、遠心力によるタイヤの変形も抑えられるため、直進安定性にも寄与している。

初期のピレリDIABLOシリーズのトレッドパターン
初期のピレリ「DIABLO」。トレッドパターンのデザインや機能を本格的に考え始めたのはタイヤがラジアル化されてからだ。

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そうですよね! でもスポーツツーリングのANGEL(エンジェル)はDIABLOよりも溝が多めだけど、それはなぜですか?

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よく見ているね。近年のタイヤは、内部構造はもちろん、トレッドのゴムの成分なども合わせると、様々な特性を生み出すことができるんだ。だから誤解を恐れずに言えば、昔ほど機能を得るためにデザイン的な制約はない。

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そうなんですか!? じゃあ、溝が少ないツーリングタイヤも作れるんですか??

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技術的にはかなりいい線のものができる。ただ、タイヤはカテゴリーに合わせた特性や長所を追求して、デザインに反映させる必要があるんだ。さらにカテゴリーが異なるタイヤなのにデザインが全部同じだったら、ちょっと選びにくいよね?

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たしかにそうですね(笑)。

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その意味もあって、現在はそれぞれのタイヤにカテゴリーや機能をイメージしやすいデザインを採用している、ともいえるんだ。

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なるほど~。そう聞くとトレッドパターンのデザインの見方が変わってきますね。

DIABLO SUPERCORSA SPとANGEL GTのトレッドパターン比較
右のDIABLO SUPERCORSA SPは市販ハイグリップの最高峰で溝は少なめ。左のANGEL GTは、寒い時期や雨天時も神経を使わずに走れるツーリング向け。溝は多く、そして深い。

いまどきタイヤは見た目で選んでも問題ない!

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これまでの話を理解した上で聞くけど、いやこっちが本題なんだけど(笑)、タイヤって見た目(デザイン)で選んでも良いんですか? 自分のバイクのカテゴリーとは異なるけれど、見た目がカッコいいな~って思うタイヤを装着しても、問題ないのかな~って……。

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気になるカスタムとかがあるのかな? 近頃はオンロードのスポーツバイクにゴツゴツしたブロックタイヤを履かせたカスタム車とかもあるからね!

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いや、そこまでするつもりは……、っていうか、それもアリなんですか?

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う~ん、ドゥカティのパニガーレのような大型スーパースポーツにオフロード用のブロックタイヤを履くのはさすがにオススメできないけれど……。
たとえばモンスターのようなネイキッドモデルに、サイズや荷重指数などの規格が合致していればMT60 RSを履いても良いと思うよ(走る場所や走行ペースは自己責任)。

ピレリMT60 RSのトレッドパターン
前後17インチを用意するMT60 RS。120サイズの前輪と180サイズの後輪もラインナップするため、個性的なネイキッドカスタムに合うかも⁉︎

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そうなんですか!?

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うん。昔のオフロードタイヤ(ブロックタイヤ)は、舗装路を主体に走っているとすぐに真ん中だけが減って四角く段減りしたけれど、いまどきのオン/オフタイヤやアドベンチャー用のタイヤはかなり均一に減るようになっているからね。これもタイヤの構造やゴムの進化だね。
それにMT60 RSは、ドゥカティのスクランブラーに採用されていて、舗装路のスポーツ走行にも対応できるほどオンロード性能が高い。乗り味は見た目ほどゴツゴツしないし(笑)。その意味では新しいカスタムにもチャレンジできるね!

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いまどきのタイヤは色々な使い方に対応できるんですね。

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他にもライフや使い勝手を優先して、スーパースポーツにスポーツツーリングのANGEL GT IIを履くのもあり。スポーツツーリングと言っても、ANGEL GT IIのトレッドパターンはひと昔前のハイグリップタイヤ並みにスポーティでカッコいいからね。
繰り返しになるけれど、そのバイクの規格に合ったタイヤなら、いまどきはトレッドパターンの好みでタイヤを選んでも大きく外すことは無いと思うよ。ただし、タイヤのカテゴリーと用途は理解したうえでね。

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そうなんですか~。
いやぁ、なんだか選択肢広がって嬉しいなぁ~。でも、かえって迷っちゃうな~(笑)

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また楽しい悩みが増えちゃったね!

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