ベテランライダーは「タイヤをしっかり温めよう」と言うけれど……、そもそもタイヤを温めるってどういう意味?
安全にバイクを楽しむには、『走りはじめにタイヤをしっかり温めること』。……と言われているけれど、本当に温めないと危険なの? というより、具体的にどうやって温めればいいのかわからない!
「タイヤを温めてから走る」と言われたけれど……
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先日、ツーリングで峠道に入ったら、予期せず後輪が滑った気がしたんです。そこから途端に怖くなってしまって……。
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「ちょっと頑張って走っちゃおうかな」って思ったんじゃない?
実際には大きく滑ってなくても、グリップ感(接地感)が薄いと『滑りそう…』という先入観が先立つもの。でも、そういう不安な気持ちは、人間の正しいセンサー。無理にペースを上げたりしなかったのは正解だよ。 -
……そうですよね。で、その話を最近サーキット走行を始めた友人にしたら、友人も「ベテランライダーに『タイヤをしっかり温めないと滑るよ』と言われた」って言うんです。でも、そもそも『タイヤを温める』ってどういうことですか? どうやるの? 温めないと本当に危ないんですか!?
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まぁまぁ、そう慌てずに(笑)。ひとつずつ整理しよう。
まず、『温めないと危険なの?』という疑問について。
ディアブロマンとしては「公道用の一般タイヤは、温める走り方をしなくても安全に設計されているから、神経質になる必要ない」と言いたい。 -
ええっ! でも、実際に滑ったような気がしたんですよ!
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そうだよね~。それって、凄くスピードを出したり、深くバンクした時かな?
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楽しみたい!という気持ちがあったのは事実ですけど、実際はゆっくり普通に走っていたつもりです。
走行中「タイヤの中」で何が起きている?
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バイクってスピードを出していなくても、交差点の右左折や、低速でのブレーキで「オットット!」ってなること、あるよね。立ちゴケとか、握りゴケとか。
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ありますね(汗)…。
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それってタイヤの限界を超えたのではなくて、バイク、タイヤ、サスペンション、ブレーキなどの機能、そしてライダーとバイクの「バランスが崩れた」時に起きているんだ。
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ライダーも関係するんですか?
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たとえばブレーキが正確に作動する状態でも、タイヤにその制動力に対応する準備ができていなかったら、5km/h以下でも簡単に転んでしまうことはある。
朝一の発進時に、クラッチを繋いだ瞬間に「オットット!」となるのは、バイクよりも、ライダーの身体がバイクの動きを思い出せていない(ウォームアップできていない)からなんだよ。 -
確かに、走り出しって身体も強張っています。寒かったらなおさら…。でも「タイヤの準備ができていない」って、具体的にはどういう状態なんですか?
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それでは少しだけ専門的な話をしよう。
タイヤのゴムは、ゴム同士の分子が動いて、変形したものが元に戻ろうとする摩擦(弾性)によって熱が生まれ、強力な粘着性(グリップ)を発揮する。消しゴムを机にギューッと押し付けて消すとき、グニュッと変形して踏ん張る感じをイメージすると分かりやすいかな。
もちろん路面とのこすれ合い(摩擦熱)でも温まるけれど、普通に流して走っているときは、それほど強い摩擦は起きない。だから、タイヤをあえて押し潰すように「揉みほぐす」動きを与えることで、中からじんわり温まるんだ。 -
……分子の話は難しいけれど、消しゴムだとイメージできますね。でも、温めるために揉みほぐすって、実際はどうやればいいんですか?
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操作はシンプル。
前輪は、安全な速度でじわーっとブレーキをかけてタイヤを縦につぶし、リリースする。
後輪は、高めのギヤ&低い回転数から、スロットルをじわーっと開けて加速の荷重をかける。もちろん深くバンクする必要はない。
これを数回繰り返すと、タイヤが変形し内部の空気も温まって、スポーツライディングに最適な状態に整うんだ。
スピードを出す必要はない。大切なのはゆっくり走っていても、ブレーキやスロットル操作をきちんと行うこと。スロットル一定のままぼーっと走っていても、適正なウォームアップにならない。
ゆっくりでもきちんとブレーキ&スロットル操作を行うことはもちろん、体重移動も意識する。そうするとタイヤはもちろん、バイクの各部とライダーの身体も温まって、全体のバランスが釣り合うんだ。 -
なるほど! ジグザグに蛇行運転するんじゃなくて、「縦の加減速」でタイヤを潰して温めるんですね。
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その通り! いいところに気がついたね。蛇行運転は冷えた状態だとスリップや転倒のリスクがあるから、一般道では絶対にやったらダメ。しかも路面に接地されているだけだから実際にタイヤはあまり揉まれないしね。
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なるほど~、タイヤだけじゃなくてすべてを温める必要があるんだ。
……って、あれ!? ディアブロマン、最初に「一般のタイヤは、とくに温めを意識しなくて良い」って言いましたよね? -
気付いちゃったか~(笑)。
そう、タイヤメーカーはそこを考慮してタイヤを設計しているからね。
とはいえ、バランスが整う前に「急」が付く操作をするのはお勧めできない。
特に気温が低く路面も冷え切っている冬場や雨天時は、タイヤが温まっていても夏場より滑りやすい。他にも、その日走り出すタイミングや、食事などで休息した後など、「止まっていた状態から動かす時」は、リスクを回避する意味でも、タイヤの温めを含めた全体のウォームアップを意識したほうが良いね。
ちなみに、レースはそういった時間を短縮するために「タイヤウォーマー(電気毛布みたいなもの)」を使っているよ。 -
レース前にタイヤに巻いている布みたいなヤツですよね。確かにツーリング前に巻いても意味はなさそう…。
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そう。仮に使ったとしても、タイヤだけアツアツで、ブレーキやサスペンションが冷え切っていたら、やっぱり全体のバランスは崩れてしまう。急いでタイヤだけ温める必要はないんだ。走り出しの数分間、「バイクの各部をなじませ、自分の身体もほぐしていくウォームアップの時間」として、丁寧に走るのが一番安全でスマートだよ。
過度に温めを意識しなくても良いけれど…
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「普通の公道用タイヤなら、そこまで神経質に温めなくても大丈夫」ということは分かりました。でも、スポーツタイヤとかツーリングタイヤとか、種類によって温まり方に違いはありますか?
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一般的な街乗りやツーリング用タイヤなら、基本的にはどれも走り出しから安定してグリップするように設計されているから、扱いは同じで大丈夫。ピレリで言えば、スポーツタイヤの『DIABLO ROSSO IV』も、ツーリングタイヤの『ANGEL GT II』も走り始めからすぐにバランスが取れる設計になっているよ。
ただし、一部のレース用ハイグリップタイヤ(『DIABLO SUPERCORSA SC-V4』など)は別。これらはサーキット向けの「レーシングコンパウンド」が使われている。冬場のサーキット走行は意識して温めた方が無難だね。また、この特殊なゴムは「温まる→冷える」の熱履歴を繰り返すと、タイヤの溝が残っていても徐々にグリップ性能が低下していく性質があるんだ。 -
へぇー! 溝があっても、冷えと温まりを繰り返すと性能が落ちちゃうんだ……。
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そう。だからサーキットを走るならその特性を知っておくべきだけど、公道をメインに楽しむなら、熱変化にめっぽう強くて性能がずっと安定している『DIABLO ROSSO IV』や『ANGEL GT II』のようなタイヤが、やっぱり一番安心で美味しい選択なんだよね。
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ディアブロマンが「一般のタイヤはとくに温めは必要ない」って言った意味がわかってきました。ピレリがそれぞれの使い方に合わせて、本当に細かく作り分けてくれているのがよく分かります。
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走り出しは「愛車と対話する時間」だと思って、バイクと自分の身体をじんわりシンクロさせていこう。お互いの「準備」ができたと感じられたとき、スッと不安が消えて、最高のライディングが始まるはずだからね!
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愛車との対話、ですね。僕も次のツーリングから、バイクに優しく語りかけるようにウォームアップしてみます!
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その心意気で! でも肩の力は抜いて、リラックスして楽しもうね!
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