■取材協力:SP TADAO浅草タイヤ専門店

連日30℃超えは当たり前、40℃を超す「酷暑」が日本列島を襲っていますが、TVのニュースでトラック/クルマや自転車のタイヤのバーストが頻発しているという報道を目にしました。

暑さでタイヤがバーストする? なんて、ちょっと普通じゃ考えられないことが実際に起こっているようですが、まあここまで外気温が高いと路面温度も激しく上昇して、タイヤに伝わる摩擦熱もハンパじゃないでしょうから、思いもよらないアクシデントにつながってしまうのもさもありなんです。

MotoGPでは、グリップ力を左右するタイヤの内圧管理が重要マターになっていますが、このMotoGPの場合は内圧が低くなりすぎてタイヤが潰れる→接地面積が増えてグリップ力が向上するという点が問題となっているのですが、酷暑でタイヤがバーストするのはこの真逆で、酷暑+高温になった路面との摩擦熱で内圧が高くなりすぎるのに加え、タイヤ表面にヒビ割れがあったり、劣化や消耗でタイヤの使用限界を迎えていたりという外的要因が加わってトレッド面や内部コードが破損することが主な要因です。

また、高温でタイヤのゴムが柔らかくなりすぎて、タイヤ自体の強度が低下するのも一因と言われています。

「酷暑でタイヤバースト」なんて聞くと、自分のバイクのタイヤは大丈夫? と不安に感じる人もいらっしゃるかもしれません。

一般論ですが、使用期限内(距離や時間)で、空気圧が適正であれば突然バーストするなんて言うことはまず起こりえませんが(特に、新型のスポーツタイヤなら)、かなり使い込んだタイヤ、しばらく放置していたタイヤ、空気圧が高すぎる・低すぎる場合はこの酷暑の環境で思いもよらぬ異変が起こる可能性もあります。

ひび割れたタイヤの表面
空気圧を点検する際は、タイヤ自体にひび割れや傷がないかも必ずチェック。夏だけじゃなくて、1年中確認したい。

また、酷暑の中を長時間高速道路を連続走行するような長距離ツーリングや、タイヤにかかる負荷が通常よりも増加するタンデム、テントなどのキャンプ道具を積載した場合などは、注意が必要になってきます。

酷暑とは直接的な関係はないかもしれませんが、JAFのレポートによると2025年の「JAFロードサービス出動理由トップ3」は、1位が「バッテリー上がり」、2位が「タイヤのパンク」とのこと。

高速道路に限って言えば、1位は「タイヤのバースト・エア圧不足」となり、特に空気圧が低下していると高速走行中にタイヤのたわみ・変形が大きくなって、それによりタイヤが発熱し最後にはバーストしてしまうそうです。

酷暑の夏なら、その危険性は数倍になるでしょう。

走行中に大型トレーラーのタイヤがバーストして、激しく燃えて首都高が一時、通行止めになってしまったというニュース報道。ほかにも、自転車のパンクが急増しているという報道もありました。

基本はしっかりした空気圧の管理

基準はあくまでもメーカー指定の標準空気圧

ピレリ・メッツラータイヤの販売元であるピレリジャパン品質部に聞いてみました。

「適正な空気圧で適正なサイズ・使用方法で、かつ外傷等がない状態であれば、外気温が高くなることによりいわゆるバーストと言われている状態(短時間でのタイヤの破壊・破裂、使用不能な程にバラバラになるタイヤの破損)になることはありません。

一般的なバーストの原因はいくつか挙げられますが、まず不適正な空気圧が挙げられます。高すぎても低すぎても問題がありますが、特に低すぎる場合は、ブリーディングC.B.U.と言われるタイヤ内部のカーカスコードが高温により周状に切断される損傷で、低圧により走行中にサイドウォール部のたわみが過度に大きくなり異常発熱してタイヤが破損してしまう現象です。

これを防ぐためには定期的な空気圧点検が必要です。またバルブに異常がないかどうか、釘刺さり等のパンクがないかどうかの外観検査も定期的に行う必要があります。

なお、空気圧が高すぎる場合もタイヤのたわみが少なくなりすぎてしまい、路面の凹凸をタイヤがいなすことが困難になり、ショックバーストといわれる縁石やキャッツアイ等の大きな段差を通過する際に局部的に強い衝撃(ショック)を受けて、タイヤ内部のカーカスコードが瞬間的に断裂し破裂する現象が起きやすくなります。

尚、日本自動車タイヤ協会では下記のリンクの通りブリーディングC.B.U.に関する資料が公開されていますのでご参考にしてください」

https://www.jatma.or.jp/safety_technology/tyre_safety_news.html

また、走行中のタイヤの状態の変化にも留意するようにとのことで、低空気圧の場合はハンドリングや乗り心地が著しく変化し、曲がりにくくなる、乗り心地がグニャグニャするなどの変化を感じることがあるそうです。

バーストのみならず、タイヤトラブルを防ぐためには車両メーカーがさまざまな環境で使用されることを想定して定めた「標準指定空気圧」で使用することを推奨しています。

また、タイヤを安全に使用するには運行前点検(冷間時)で指定空気圧の確認・調整を行うとともに、外傷の有無を確認してほしいとのことでした。

タイヤの空気圧を計測している様子
外気温が高くても、基本はメーカー指定の標準空気圧に。もし走行中に異変、異常を感じたら停車してタイヤを点検しよう。

さて、実際、バイクのタイヤがバーストしたという事例はあるのかどうか、タイヤ専門店「SP忠男」の小山内店長に聞いてみました。

「タイヤのバーストは年に何回かありますが、とくに夏場だからということではなくて、スポーツバイクではなくスクーターのお客さまがほとんど。スポーツバイクのオーナーは、それなりに空気圧に気を配っていらっしゃるのでバーストの例はありませんが、スクーターなどでタイヤの摩耗が激しかったり、空気圧が適正じゃなかったりすると稀にあります。暑い夏でも、必ず空気圧は適正値でご使用ください」

まだまだ続く酷暑の夏。タイヤの空気圧には十分気を付けて走行してください。

【関連記事】

空気圧は高すぎても低すぎてもタイヤのライフが短くなる!

バイクメーカーが指定する標準空気圧を守る重要性と、空気圧が高すぎる場合・低すぎる場合に起こる問題を詳しく解説します。

【タイヤはいつまで使えるの?】タイヤの「賞味期限」と「消費期限」を考えてみよう!

溝が残っていても注意したいタイヤの経年劣化や使用年数、スリップサイン、長期保管時の注意点を紹介します。

タイヤのサイドウォールがひび割れた|5つの原因と予防法

経年劣化や空気圧不足、長期保管など、タイヤのサイドウォールにひび割れが発生する原因と予防方法を解説します。

パンク修理したタイヤでは走行しないが基本!って本当ですか!?

パンクしたタイヤの内部では何が起きているのか、応急修理後も走行を続けることが推奨されない理由をタイヤの構造から説明します。