写真:Pirelli
テキスト:伊藤英里

MotoGP第20戦マレーシアGP
10月24日~26日/マレーシア セパン・インターナショナル・サーキット

Moto2に2024年よりもソフトなタイヤをアロケーション

ピレリは今季のマレーシアGPのMoto2クラスリヤタイヤに、昨年よりも1段柔らかいタイヤをアロケーションしました。

用意されたのは、スーパーソフトの開発仕様E0126、スタンダードのソフトSC0です。昨年はソフトSC0とミディアムSC1でした。

今季アロケーションされたスーパーソフトE0126は、オーストリアGP、サンマリノGPに続き3戦目のアロケーションとなります。スタンダードのスーパーソフトSCXと同じコンパウンドを使用していますが、異なる構造が採用されています。

セパン・インターナショナル・サーキットは、非常に気温が高くなりやすく、アスファルトが滑りやすくなるため、ソフトコンパウンドの使用に適しています。そのため、このスーパーソフトタイヤのグリップ性能が、ライダーにより高いトラクションをもたらすことが期待されます。

予選では全ライダーがフロントにソフトコンパウンドSC1、リヤにスーパーソフトの開発仕様E0126を選択し、ポールポジションを獲得したダニエル・オルガド(CFMOTO・RCB・アスパーチーム)が2分2秒858のタイムを記録しました。このタイムは、2024年のオールタイム・ラップ・レコード2分4秒412を約1.5秒更新するものでした。

決勝レースでも、同じタイヤの組み合わせを全ライダーが選んでいます。

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Moto3:古里太陽が2番手スタートから初優勝

Moto3クラスの決勝レースでは、レース前のサイティングラップ(※ピットを出てグリッドに着くために行う1周)でホセ・アントニオ・ルエダ(レッドブルKTMアジョ)とノア・デトワイラー(CIPグリーン・パワー)の深刻なクラッシュが発生しました。

2人のライダーはヘリコプターで現地の病院へ搬送されました。レッドブルKTMアジョのリリースによると、ルエダは手の骨折を負い、重度の脳震盪が認められているということです。また、CIPグリーン・パワーのSNSによると、デトワイラーは「複数の手術を受ける必要がある」ということです(2025年10月26日時点)。

このアクシデントによりレースは約2時間のディレイとなり、周回数は10周に短縮されました。

古里太陽(ホンダ・チームアジア)は、このレースを1列目2番手からスタートしました。シーズン後半戦に入って、古里のパフォーマンスは確かに上がっていました。特に日本GP以降は予選でもコンスタントに2列目以上のポジションを獲得しています。レースでは転倒リタイアなどが続いたものの、表彰台を期待される状況でした。

そんな古里は、今回のレースでトップを走ります。序盤こそやや混戦状態だったものの、3周目以降はじりじりと後続とのギャップを広げ、10周のレースで2.2秒の差を築いて、トップでチェッカーを受けたのでした。

「(Moto3)4年目でやっと優勝することができました」と、古里はMotoGP.comのインタビューで答えています。

古里は、Moto3参戦4年目のライダーです。2021年、イデミツ・アジア・タレントカップにおいて全戦優勝でチャンピオンを獲得し、同年にレッドブルMotoGPルーキーズカップに数戦参戦して、ロードレース世界選手権Moto3デビューを飾りました。この状況は、MotoGPへの登竜門であるレッドブルMotoGPルーキーズカップやFIMジュニアGP世界選手権を経験して世界選手権へステップアップしたライダーよりも、ヨーロッパのサーキットの経験が少ないところからMoto3をスタートした、と言えるのです。

「ボクがCEV(現FIMジュニアGP世界選手権)に行かず、ルーキーズ(レッドブルMotoGPルーキーズカップ)を少し経験しただけでチームが起用してくれたこと、時間を与えてくれたことに感謝しています。少しずつ成長させてくれました。チームのおかげだと思います」

「今まで2位が続き、勝てないことも多かったけれど、やっと勝つことができました」

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レース序盤から好ペースで単独トップを走行した古里(#72)
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Moto3参戦4年目。ついに初優勝を飾った

山中琉聖(フリンサ-MTヘルメット-MSI)は、11番手からスタートして、ポジションを上げ、5位フィニッシュを果たしました。

「スタートしてから順位を上げていくことができましたが、少しミスが多かったなと思います。そのミスで前と離れてしまったり、後退したりの繰り返しになりました」(MotoGP.comインタビューより)

Moto2:佐々木歩夢、スタートで大きく後退も17位でゴール

Moto3クラス決勝レース前に起こったアクシデントとスタートディレイにより、Moto2クラスの決勝レースはタイムスケジュールが変更され、MotoGPクラス決勝レース後にスタートとなりました。

Moto2決勝レースは、スタート後2周目に発生したクラッシュにより、赤旗中断。周回数が11周に短縮されて再スタートとなりました。

佐々木歩夢(RW-イドロフォーリャ・レーシングGP)は、金曜日の出遅れが響きました。予選はQ1からとなって、5番手。わずか0.018秒届かず、Q2進出はなりませんでした。佐々木は18番手から決勝レースをスタートしましたが、ダッシュボードの問題で2速でのスタートとなってしまい、最後尾近くまで後退。そこから追い上げて17位でした。

「金曜日は悪い形でウイークをスタートしてしまいましたが、土曜日、日曜日とフィーリングを取り戻すことができました。レースではポイント獲得まであと少しだったので悔しいですが、悪くはない形で終われたので、残り2戦、もっと前で終われるよう頑張りたいと思います」(MotoGP.comインタビューより)

國井勇輝(イデミツ・ホンダチームアジア)は、27番手からスタートし、20位でゴールしました。

「予選からコンディションが変わって、ペースはそれほど速くなかったのですが、グリップ感がすごく変わっていました。赤旗のせいで11周になったのは自分にとって悔しい周回数になりました。ペースは悪くなかったので、17周あればもう少し前にいけたんじゃないかと思います」

第21戦ポルトガルGPは、11月7日から9日にかけて、ポルトガルのアウトドローモ・インターナショナル・アルガルベで開催されます。