写真:Pirelli
テキスト:伊藤英里

MotoGP第17戦日本GP
9月26日~28日/栃木県 モビリティリゾートもてぎ

Moto2クラスのSCXリヤが大幅なレコードタイム更新に貢献

モビリティリゾートもてぎで開催される日本GPのMoto2クラスのリヤタイヤのひとつに、ピレリはスタンダードのスーパーソフト、SCXをアロケーションしました。2024年の日本GPではソフトのSC0が最も柔らかいコンパウンドとしてアロケーションされていましたが、今年は1ステップ、柔らかいコンパウンドとなりました。

これは、もてぎがタイヤの摩耗や劣化の面でタイヤに厳しくはないということが確認され、スーパーソフトSCXのように柔らかいソリューションが適していると判断されたためです。

決勝レースでは、すべてのMoto2ライダーがリヤにスーパーソフトSCXを使用しました。また、この週末はSCXによってMoto2クラスのタイムが向上し、オールタイム・ラップ・レコードはこれまでの1分49秒711から大幅に更新され、1分47秒925(マヌエル・ゴンザレス)が記録されました。

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Moto2:佐々木歩夢、8番手スタートもブレーキングに苦戦

佐々木歩夢(RW-イドロフォーリャ・レーシングGP)は、8番手から決勝レースに挑みました。スタートで後退して14番手にポジションダウンするも、レース中盤までに11番手に順位を回復しました。しかし、終盤にポジションを守り切るのが難しい状況で、14位でゴールしてポイント圏内で終えています。

「このレースウイークはいい感じで走れていたので、それを考えるとすごく悔しいです」と、レース後に佐々木は語りました。実際のところ、初日午後のプラクティスは2番手で終えていたのです。しかし、土曜日はフロントの限界がつかみづらく、2度の転倒を喫し、決勝レースではブレーキングで苦戦することになったのでした。

「1周目に後退してしまったのもあるし、全体的にちょっとつらいレースになってしまった、というのが正直なところです。昨日、転倒したので、少しセッティングを変えて改善しようとしたのですが、フィーリング的には昨日のほうがよかったかもしれません。ブレーキングで少し苦しみました。後半にリヤタイヤが落ちたのはみんな同じだったと思いますが、ボクはブレーキングでしっかり止められなかった分、立ち上がりも辛くなってしまったんです」

「本当につらいレースとなってしまいました。昨日転んだのもあったので、最後の5、6周は本当に転ばないように走るのが精一杯でした」

國井勇輝(イデミツ・ホンダチームアジア)にとっては、初めての「MotoGP日本GP」となりました。Moto3クラスに参戦していた2020年、2021年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で、日本GPが中止となったからです。25番手からスタートして18位でゴールしました。オーストリアGP以降のシーズン後半戦のなかではベストリザルトとなりました。

「ここ数戦と比べたら、悪くはない(結果)とは思います。ただ、もう少し序盤にペースを上げることができていたら、いろいろ変わったんじゃないかな、という思いもあります。ホームグランプリだったので、もう少しいきたかった気持ちはあったんですけどね。今の現実的な順位なのかなと思います」

「週末を通していろいろな方々とお会いできましたし、多くのファンの方々の応援が力になりました。これまではヨーロッパで戦ってきたので、(日本は)また違って、新鮮で良かったなと思いますね」

Moto3山中琉聖が6位でゴール、古里太陽は2番手走行中に転倒

Moto3クラスに参戦する山中琉聖(フリンサ-MTヘルメット-MSI)は、11番手からスタートして6位でゴールしました。山中は初日のプラクティスで転倒を喫し、左手小指を骨折している状態。さらに、Moto3クラスの決勝レースは5周目あたりから雨が降り出しました。もちろん、全ライダーはスリックタイヤを履いている状態で、最終的に路面はドライコンディションに戻ったものの、複雑なコンディションだったのです。

「途中で雨が降って来て、部分的に晴れているところもあれば少し雨が強くなってきたりもしました。雨はすぐに止むかなと思いましたが、意外と数周もレッドクロスが出されていました」

「ボクとしてはどこで攻めたらいいのか、もう少しマネジメントしたらいいのか、すごく悩みました。攻めて少し順位も上げられましたが、だんだんスリッピーなコンディションになっていったので、そこをマネジメントするのが難しかったですね。特に、古里選手も前で転倒していましたし……。悩みながら走っていました」

「難しいコンディションでも、しっかりリスクマネジメントして走れたのはポジティブな部分です。ただ、後半ペースを上げられなかったのが、表彰台に上れなかった理由でもあるので、そこが反省点ですね」

古里太陽(ホンダ・チームアジア)は、5番手からスタートしてレース中盤には2番手にまで浮上しました。土曜日までいい流れできていた古里は「決勝レースは“普通に”走りたい」と語っていました。「普通に」走ることができれば、表彰台に手が届く。そうした自信が垣間見えました。

ただ、雨という複雑なコンディションが古里の好走を阻みました。古里は9周目の2コーナーで転倒。ピットに戻ろうと再スタートしましたが、5コーナーで2度目の転倒を喫し、リタイアとなりました。

「雨が降るまでは“普通の”レースをしていて、わりといい感じで走れていたと思います。表彰台くらいで終われたらいいなとは思っていました。立ち上がりの手前でバイクが寝ている状態で、少しアクセルに触った時にリヤタイヤがすごく滑って、結果的にはハイサイドという形になりました。悔しいです……」

第18戦インドネシアGPは連戦で、10月3日から5日にかけて、インドネシアのプルタミナ・マンダリカ・インターナショナル・サーキットで開催されます。