写真:Pirelli、Gold & Goose / Red Bull Content Pool
テキスト:伊藤英里

MotoGP第16戦サンマリノGP
9月12日~14日/イタリア ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリ

Moto2クラスのリヤに2種類の開発仕様

ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリで行われたサンマリノGPに、ピレリはMoto2クラスのリヤタイヤとしてスーパーソフトの開発仕様、E0126とソフトの開発仕様、E0125をアロケーションしました。

スーパーソフトのE126は、オーストリアGPで使用されたものです。標準仕様であるSCXと同じコンパウンドを使用し、構造はすでに存在するE0125のものを採用しています。この開発仕様E0126は、Moto2クラスの決勝レースで、全ライダーに選ばれました。

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Moto2:佐々木歩夢が12位でゴール

佐々木歩夢(RW-イドロフォーリャ・レーシングGP)は、12番手から決勝レースに挑みました。ペースとしては悪くなかったものの、ブレーキングに苦しんでいた佐々木はレース序盤に前のライダーを抜くのに時間をかけてしまい、前のグループから離されてしまいます。佐々木は14位でゴールしました。

狙っていたトップ10フィニッシュではありませんでしたが、2戦の転倒リタイア後、3戦ぶりのポイント獲得で、日本GPに向けて弾みをつけました。

シーズン後半戦の佐々木は、安定してトップ10を狙える位置にいます。この要因について、佐々木はこう説明しました。

「ここ数戦、チームのコミュニケーションも、バイクのフィーリングもよくなってきています。ベースのセットアップは、確実に少しずつ前に進んでいるんです。ボクがバイクに求めていること、どうしたら速く走れるのかを、チームが理解してくれているんです。お互いにまだ学びあっている状態ですが、それでも、去年は踏めなかったワンステップを進めることができました」

「トップとの差も、予選ではわずかコンマ3秒だったんです。でも、まだ(トップまで)遠い。来年も同じチームからの参戦なので、来年はそのあたりにいけるよう、継続して取り組んでいけたらなと思います」

一方、國井勇輝(イデミツ・ホンダチームアジア)は、10周目に転倒を喫し、リタイアとなりました。サンマリノGPの週末、初日から苦戦していた國井は、「何もフィーリングがない状態で、どうしたらいいのかなという感じでした」と語っていました。

「フィーリングがなかったなかで、それでも攻めて転倒につながった。でも、そういう可能性は高い状況でした」

そう言葉少なに語っていました。

Moto3:山中琉聖が昨年からの改善に取り組み8位

ミサノ・サーキットは路面グリップがいいのですが、小さなバンプが多いサーキットでもあります。山中琉聖(フリンサ-MTヘルメット-MSI)は、昨年、そのバンプに苦しめられました。しかし、今年はその状態から少し前進できたと言います。

山中は8番手から決勝レースをスタートし、8位でゴールしました。

「昨日のFP2(フリープラクティス2)の時点で、トップとのペース差が0.2~0.3秒くらいありました。決勝ではそのペース差を埋められるように取り組んでいたのですが、序盤は難しくて前と離れてしまいました。FP2のペース差が、そのまま決勝の結果に表れてしまったのかなと思います」

ミサノ・サーキットを得意とする古里太陽(ホンダ・チームアジア)は予選で7番手を獲得し、土曜日を終えて「今年いちばんいい」というほど好感触を得ていました。

ただ、決勝レースではフロントタイヤのフィーリングに苦しみ、12位でゴールしました。

レース後、「攻めきれなかった、残念です」と、語っていました。

次戦は日本人ライダーたちの母国グランプリとなる、日本GPです。9月26日から28日にかけて、栃木県のモビリティリゾートもてぎで行われます。

レッドブルMotoGPルーキーズカップ:三谷然、最終戦レース1で3位表彰台獲得

MotoGP第16戦サンマリノGPには、レッドブルMotoGPルーキーズカップ最終戦サンマリノ大会が併催されました。

レッドブルMotoGPルーキーズカップは、若手ライダー育成を目的とした「Road to MotoGP」の一環の選手権で、ヨーロッパのMotoGPに併催されます。2025年にMotoGPクラスデビューを果たした小椋藍(トラックハウス・MotoGP・チーム)など、多くのトップライダーがこの選手権を経由して、世界選手権へとステップアップしていきました。

タイヤはピレリのワンメイクで、供給されるのは、イデミツ・アジア・タレントカップと同じくDIABLO™ SUPERBIKE SC2(ミディアム)のみです。マシンもワンメイクで、KTMのRC250Rで争われます。

日本人ライダーとしては、2024年イデミツ・アジア・タレントカップチャンピオン、三谷然が参戦しています。

三谷は昨年、ジュニアGP世界選手権のミサノ大会にワイルドカード参戦しており、経験のあるサーキットでのレースとなりました。

そんなサンマリノ大会の予選で、三谷は前大会に続き自己ベストグリッド・タイの4番手を獲得します。そして、土曜日のレース1は混戦の表彰台争いを制し、3位を獲得。今季2度目のポディウムとなりました。

三谷は日本でのトレーニング中に左肩を傷めており、今回のレースでは痛み止めを使っていました。最後はその負傷が少し影響したと言います。

「(優勝した)ブライアン(・ウリアルテ)が10コーナーでいい立ち上がりをしていたので、最終ラップは彼のスリップについて最後に前に出ようと思っていました。最後に肩の影響もあって、突っ込みが甘くなって抜かれてしまった。自分に甘えてしまったのがすごく悔しいです。3位はうれしいですけど、完全に負けたな、という印象でした」

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最後は4名のライダーによる表彰台争いとなった
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優勝したのはブライアン・ウリアルテ(中央)。このレースでチャンピオンを獲得した。2位はマルコ・モレリ(左)、そして3位が三谷だ

日曜日のレース2は、最後には5名のライダーによる接戦となり、三谷は5番手でゴールしました。土曜日の夜に降った雨の影響でウエットパッチが残っており、選べるラインが少なかったと言います。ただ、4番手でゴールしたライダーが結果に3秒加算のペナルティを受けたため、三谷の最終結果は4位となりました。

「結果は不十分ですが、とりあえず満足です。自分の全力を出し切ってシーズンを終えることができました。もちろん、最後、ポディウムに乗って終わりたかったですが、締めくくりとしてはよかったと思います」

「ただ、今日ほぼ初めてレースでトップを走りましたが、まったく自分の走りができませんでした。ブライアン(・ウリアルテ)は、トップを走っているときも、自分の走りができるんです。ボクにはまだ、ヨーロッパでレースを引っ張っていく力がない。指標がなくなったとき、自分の走りができるようになるのが課題です」

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レース2は全力を出して5番手ゴールだった。シーズン終盤、確実に表彰台争いに食い込む走りを見せた

三谷はランキング7位で1年目のレッドブルMotoGPルーキーズカップ参戦を終え、こう振り返っています。

「シーズン前半は、予選がとにかくだめで、レースで追い上げることが多かったですね。でも、後半になるとレースで転倒したり思うように走れなかったり、逆の状況が続いていました。今回は予選も4番手。レース1で3位、レース2は4番手からスタートして、4位。ウイークとしてまとめるのはごく普通のことですが、やっとシーズン最終戦でまとめられたので、そこは自分が成長したところだと思います」

また、2025年シーズンのレッドブルMotoGPルーキーズカップは、17歳のスペイン人ライダー、ブライアン・ウリアルテがチャンピオンを獲得しました。