写真:Pirelli
テキスト:伊藤英里
MotoGP第19戦オーストラリアGP
10月17日~19日/オーストラリア フィリップ・アイランド・サーキット
Moto2リヤタイヤに通常より硬めのコンパウンドをアロケーション
シーズンのなかでもタイヤに厳しいサーキットのひとつであるフィリップ・アイランド・サーキットに向け、ピレリはMoto2クラスのリヤタイヤとして、通常よりも硬めのコンパウンドを用意しました。
ひとつは、開発仕様のミディアムコンパウンドであるD0922です。これはドイツGPで投入され、全ライダーに選択されました。スタンダードのミディアムであるSC1と比べ、D0922は構造とコンパウンドの両面で異なっています。コンパウンドはややソフトで、ソフトとミディアムの中間に位置しています。これにより、安定性の向上とパフォーマンスの一貫性を高めることを目的としています。
もうひとつの選択肢はハードコンパウンドであるSC3です。これは、DIABLO™ Superbikeスタンダードのハードコンパウンドにあたります。より保護性能の高いコンパウンドを採用しており、特に摩耗の激しいアスファルトに適しています。
Moto2クラスの決勝レースでは、全ライダーが開発仕様のミディアムコンパウンド、D0922を選択しました。

Moto3:2列目スタートの古里太陽、3戦ぶり完走で次戦に臨む
Moto3クラスに参戦する古里太陽(ホンダ・チームアジア)は、Q2で4番手を獲得しました。2列目からスタートした古里は、レース序盤に他車と軽い接触。転倒はなかったものの後退し、トップ争いを展開するホセ・アントニオ・ルエダ(レッドブルMotoGPアジョ)とジョエル・ケルソ(レベルアップ-MTA)から離されてしまいます。古里は8位でチェッカー。表彰台を期待されながら転倒が続いていたところ、3戦ぶりの完走を果たしました。
「フィリップ・アイランドはけっこう好きですし、今週はいいフィーリングで乗れていました。ただ、レースでは少し風が強かったり、集団のバトルで苦戦する部分もありました。序盤、1コーナーでのミスがなければトップの2人にもついていけたかもしれないので、少し残念ですけどね。でも、ここ2戦でリタイアが続いていたので、完走できたのはよかったです」(MotoGP.comのインタビューより)
山中琉聖(フリンサ-MTヘルメット-MSI)は、日本GP後にスイングアームにクラックが入っていることが判明したとのことで、インドネシアGPから昨年のスイングアームに、今回は予選でさらに別のものを使用しました。フィーリングはよくなったということでしたが、決勝レースは22位でゴールとなりました。
「今回のレースではすごく苦しみました。原因が分かっていないので、しっかり原因を追究して、次に進めたらと思います」(MotoGP.comのインタビューより)
Moto2:佐々木歩夢、腕の問題でペースダウンも内容には手ごたえあり
Moto2クラスの佐々木歩夢(RW-イドロフォーリャ・レーシングGP)は、調子を上げつつある状況です。今回も、Q2で7番手を獲得。Moto2クラスでの自己ベストグリッドから決勝レースをスタートしました。
ただ、再びフィジカルの問題が発生しました。これによりペースダウンを余儀なくされ、佐々木は10位フィニッシュとなりました。とはいえ、佐々木はこの結果を前向きに受け止めています。
「今日はスタートからいいレースができて、バイクのフィーリングもすごくよかったです。けれど、今、抱えている腕の問題で、レース中盤からペースを落とさなければなりませんでした。間違いなく2位争いができるポテンシャルがあったと思うので、実力を出し切れなかったのは悔いも残りますし、悔しいです」
「でも、やっとここまで来られた、という気持ちです。(一時は)2位争いができたので、そこはポジティブですね。残り3戦、腕を手術することはできないのですが、苦しい中でもしっかり走り切りたいです。そして、冬にしっかり腕の問題を解決して、来年はトップ争いができるよう、残り3戦を頑張っていけたらと思います」(MotoGP.comのインタビューより)
國井勇輝(イデミツ・ホンダチームアジア)にとっては、初めてのフィリップ・アイランド・サーキットでのレースとなりました。國井がMoto3クラスに参戦していた2020年と2021年は、コロナ禍のためにオーストラリアGPが開催されなかったからです。國井は25位でゴールしました。
「風が強かったのですが、土曜日よりもフィーリングはよかったです。前のグループについていきましたが、自分のミスでコースアウトしてしまいました。そのため、後ろから淡々と追い上げる展開になりました。ミスが目立ってしまったレースでした」(MotoGP.comのインタビューより)
第20戦マレーシアGPは、10月24日から26日にかけて、マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットで開催されます。





