CBR250RR(MC51)が登場したのは2017年。CBR“RR”シリーズの開発思想である「Total Control」をベースに、Hondaは250ccクラスにおける「走りの質」と「操る楽しさ」を追求してきました。
その車体づくりで重視されているのが、フロントタイヤの接地感を得ながら、安定性と軽快なハンドリングを両立すること。サーキットだけに特化するのではなく、市街地や高速道路、ツーリングまで幅広く使えることもCBR250RRの特徴です。
では、そんなCBR250RRにはどんなタイヤが合うのでしょうか。純正サイズで選べるタイヤを確認しながら、PirelliのDIABLO ROSSO IVを中心に、そのマッチングを見ていきます。
画像出典:本田技研工業株式会社 Hondaニュースリリース(2023年1月13日)
※画像は車両の参考画像であり、記事内で紹介する各タイヤの装着イメージではありません。
目次
純正タイヤサイズと広がる選択肢
CBR250RRの純正タイヤサイズは以下の通りです。Hondaの標準装着タイヤはDUNLOP「SPORTMAX GPR-300」で、前後ともラジアル・チューブレスとなっています。
| ポジション | タイヤサイズ | 荷重指数・速度記号 |
|---|---|---|
| フロント | 110/70R17 M/C | 54H |
| リア | 140/70R17 M/C | 66H |
※タイヤサイズは年式・仕様・カスタム状況によって異なる場合があります。交換時は、必ず現在装着されているタイヤサイズをご確認ください。
出典:Honda取扱説明書「スペック」
本記事ではサイズアップは行わず、純正サイズのまま交換することを前提に解説します。
純正サイズでも選択肢は豊富
純正装着のGPR-300のフィーリングに不満がなければ、交換時に同じタイヤを選ぶのももちろんありです。
一方、別の特性を持つタイヤへ替える場合も、純正サイズにはいくつかのスポーツタイヤがあります。DUNLOP SPORTMAX Q5A、BRIDGESTONE BATTLAX HYPERSPORT S23、MICHELIN POWER 6なども、110/70R17・140/70R17をラインアップしています。
こうした数ある選択肢の中でも、CBR250RRの車体特性との相性という点でとりわけ注目したいのが、Pirelliの「DIABLO ROSSO IV(ディアブロ ロッソ クワトロ)」です。
DIABLO ROSSO IVがCBR250RRに合う理由
DIABLO ROSSO IVは、Pirelliがロード用スーパースポーツに位置づけるタイヤです。CBR250RRの純正サイズを前後ともラインアップしていますが、注目したいのは単に「サイズが合う」ことだけではありません。
1. 低〜中排気量車向けに作り分けられた140/70R17
現行CBR250RRは249ccの水冷直列2気筒エンジンを搭載し、最高出力42PSを13,500rpmで発生します。250ccクラスながら高回転まで使うスポーツバイクで、リアタイヤには140/70R17を採用しています。
ここで注目したいのが、ROSSO IVは大排気量スーパースポーツから250ccクラスまで、すべてのサイズを同じ仕様で展開しているわけではないという点です。リアタイヤはサイズ群によってコンパウンド構成を変えており、CBR250RRが履く140/70R17(〜190/50 ZR17まで)には、低〜中排気量車向けのデュアルコンパウンドを採用しています。
センター部にはフルシリカのコンパウンドを使い、素早いウォームアップや摩耗性能、タイヤ全体の温度バランスを考慮。ショルダー側にはシリカを多く含む、よりソフトなコンパウンドを配置し、幅広い温度域でのグリップを狙っています。
最高出力200PSを超えるような大排気量車と、42PSのCBR250RRでは、タイヤに加わる負荷や使われ方も同じではありません。ROSSO IVでは、その違いを単なるサイズ変更だけで済ませず、低〜中排気量車が使用するサイズには、その出力に合わせたコンパウンド構成を与えているのです。
関連記事: ロッソIV解説|リアタイヤをサイズごとに作り分ける理由
2. 「接地感」と「軽快さ」をつなぐプロファイル
ROSSO IVには、Pirelliスポーツタイヤの特徴でもあるマルチラジアス(複合曲率)プロファイルが採用されています。センター付近をシャープな輪郭とし、サイドに向かって曲率をなだらかに変化させる設計です。
センター側のシャープな形状は、直進状態からリーンへの素早い移行と方向転換のしやすさを狙ったもの。コーナーへ向けて車体を寝かせていくと、倒し込みのシャープさがより鮮明になるのを体感できるはずです。
一方、バンク角が深くなるにつれて、曲率を抑えたショルダー部分では接地面が広がり、コーナリング中のグリップとライン保持を支えます。PirelliはROSSO IVで、ライダーの入力に対する軽いハンドルレスポンスと、コーナリング中の豊富で滑らかなフィードバックを狙っています。
軽快に向きを変えながら、バンクしてからは接地感を保つ。ここに、HondaがCBR250RRで目指した「フロントタイヤの接地感を得ながら、安定性と軽快なハンドリングを両立する」という車体づくりと、ROSSO IVのプロファイル設計の共通点があります。
3. 公道スポーツタイヤとしての守備範囲の広さ
CBR250RRにはスロットルバイワイヤや複数のライディングモード、HSTCなどが採用されています。高回転型エンジンとスポーティな車体を持ちながら、市街地や高速道路、ツーリングまで幅広く使えるよう作られたバイクです。
ROSSO IVも、ドライ路面でのグリップやハンドリングだけに性能を振ったタイヤではありません。シリカを多く含むコンパウンドによってウェット路面での性能も重視し、素早いウォームアップとあわせて、ストリートで遭遇する幅広いコンディションを想定しています。
ワインディングへ向かうまでの市街地や高速道路、朝夕の気温差、突然の雨。そうした「ツーリングの1日」まで含めて考えられることも、ROSSO IVをCBR250RRに合わせやすい理由のひとつです。
サーキット走行の比重が高いならDIABLO SUPERCORSA SP V4
サーキット走行の比重が高くなるなら、「DIABLO SUPERCORSA SP V4」も選択肢に入ります。CBR250RRに適合する110/70 ZR17、140/70 ZR17もラインアップされています。
Pirelliが「Road and racetrack(公道とサーキット)」と位置づけるタイヤで、WorldSBKで培った経験と技術を市販製品へフィードバック。公道での使用を前提としながら、サーキット走行向けの推奨空気圧も別途設定されています。
ROSSO IVとの違いは、単純な性能の上下ではなく、どこで性能を発揮させることを重視するかです。公道を走ることも残しながら、サーキットでのパフォーマンスをより重視するなら、SP V4が候補になってきます。
関連記事: ハイグリップタイヤからハイパースポーツタイヤへ|DIABLO SUPERCORSA SP V4
純粋にラップタイムを追うならDIABLO SUPERCORSA SC V4
さらにサーキットでの走行を優先するなら、「DIABLO SUPERCORSA SC V4」があります。
SC V4はPirelliが「Racetrack only(サーキット専用)」と位置づけるレーシングタイヤです。CBR250RRに対応する110/70 R17、140/70 R17も設定されており、推奨空気圧はフロントが冷間2.0〜2.2bar/温間2.0〜2.3bar、リアが冷間1.7〜1.9bar/温間1.8〜2.0bar。さらに前後とも、走行前に80℃で50分のタイヤウォーマー使用が指定されています。
SP V4が公道とサーキットの双方を想定するのに対し、SC V4はサーキットで性能を引き出すことが前提です。温度や空気圧を管理しながら走り込み、ラップタイムを重視してタイヤを選ぶ段階で検討したい製品です。
※レース等の競技では、レギュレーションにより使用可能なタイヤ銘柄が指定されている場合があります。参戦するカテゴリーの規則を必ず事前に確認してください。
CBR250RRのタイヤ交換時に確認したいこと
現在装着されているタイヤサイズを確認
CBR250RRのタイヤを交換するときは、まず実車のタイヤサイズを確認しましょう。純正サイズはフロント110/70R17、リア140/70R17ですが、年式や仕様、カスタム状況によって異なる場合があります。交換時は、現在装着されているタイヤサイズを必ず確認してください。
乗り味を整えるなら「前後同時交換」がおすすめ
タイヤ交換では、前後セットでの交換も検討したいポイントです。リアだけ、フロントだけを新品にすると、前後で摩耗状態やタイヤ特性に差が出る場合があります。CBR250RRの乗り味を自然に整える意味でも、交換時は前後同時交換を基本に、タイヤショップで相談すると安心です。
関連記事: タイヤ交換は前後セットが鉄則⁈|安全走行のための劣化チェックと選び方
CBR250RRの指定空気圧は1人乗車時、前後とも「200kPa」
CBR250RR(8BK-MC51)の指定空気圧は、1人乗車時は前輪・後輪とも200kPa(2.00kgf/cm²)、2人乗車時は前輪200kPa(2.00kgf/cm²)、後輪225kPa(2.25kgf/cm²)です。空気圧は日常点検項目なので、少なくとも月に一度はタイヤゲージで確認しておきましょう。公道では、タイヤ銘柄ごとの独自設定ではなく、車両メーカー指定空気圧を基準にします。
出典:Honda取扱説明書「スペック」/Honda取扱説明書「タイヤ」
関連記事: タイヤの空気圧セッティングは重要か?公道では?サーキットでは?
新品タイヤ交換直後は「慣らし走行」を
新品タイヤに交換した直後は、最初の100~200kmを目安に、急加速、急ブレーキ、急な寝かし込みを避けて走りましょう。交換直後は接地感やハンドリングが変わるため、少しずつ感触を確認することが大切です。
実車の状態に迷ったらプロに相談を
Hondaが指定するCBR250RRの最小残溝量は、フロント1.5mm、リア2.0mmです。スリップサインが現れた場合や、この数値に達した場合は交換が必要です。溝の深さだけでなく、ひび割れや偏摩耗なども確認し、判断に迷う場合はタイヤショップに相談しましょう。
関連記事: タイヤのサイドウォールがひび割れた|5つの原因と予防法
まとめ
CBR250RRの純正サイズには、標準装着のGPR-300をはじめ、Q5A、S23、POWER 6など、各社から複数のスポーツタイヤがラインアップされています。
その中でもDIABLO ROSSO IVは、低〜中排気量車向けに作り分けられた140/70R17の仕様を持ち、接地感と軽快なハンドリングを両立しようとするCBR250RRの車体づくりとも方向性が重なります。
普段使いやツーリングを含む公道を中心に、CBR250RRのスポーツ性をさらに楽しみたいなら、有力な候補に置きたい一本です。
サーキット走行の比重が高くなればSP V4、サーキット専用でラップタイムを重視するならSC V4まで、使い方に応じて選択肢を広げることができます。
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