ハイグリップタイヤ→ハイパースポーツタイヤへ! ストリートスポーツタイヤの最高峰

すでにデリバリーが始まり、至る所で目にするようになった「DIABLO SUPER CORSA V4」。ジャーナリストやインフルエンサー、一般ユーザーのインプレッションもかなり目にするようになり、軒並み高評価を得ているようだ。

特にサーキットでスポーツ走行をするライダー達は、かなりの確率でタイムアップを果たしている。中でもスパコル未経験で他社製品から履き替えたライダー達のタイムアップ率は顕著である。

プロファイル(形状)はWSBKで使用されているスリックタイヤのDIABLO SUPERBIKEと共通の設計となり、スパコルV3の尖ったフロントタイヤを使いこなせていなかったライダーからは、穏やかなプロファイルになりよりナチュラルで落ち着いたハンドリングになったと、V4は好感触を得ている。

テクニックでV3を使いこなせていたライダーにとっては、グリップレベルや旋回力の向上に伴いライディングに余裕が生まれ、落ち着いて高いレベルでの走行が可能になり、ラップタイムの向上はもとよりアベレージが高いレベルで安定したとの評価だ。

これらは、パフォーマンスのスイートスポットが広く、より扱いやすくなった特性の恩恵だ。それは、ピレリがスポーツ性を大切にし、開発やテストの際にコンタクトフィーリングや官能性を重視して、よりライダーが気持ちよくスポーツできるタイヤを開発し続けているからに他ならないだろう。

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■DIABLO™ シリーズの用途別チャート。走るステージによって選ぶことができる。

おっと…申し遅れましたDIABLOMANです。

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すでに様々な場所にてV4についての質問を受け、アドバイスをしてきたが、実はDIABLOMANが「スパコルV4」のインプレッションをテキストとして書くのは何気に初だ。え⁉ DIABLOMANてピレリの公式ライダーだよね、真っ先にインプレしているんじゃ?

...確かに皆さんよりも早い時期から履かせていただき、様々な環境でかなりのセットを使用したので、多分日本で一番スパコルV4で走行していると思う。今回は、スパコルV4の中でも主にSPについてお伝えしようと思う。何故かって? ほとんどのライダーにはSPが最適だからだ。

いや俺は今までSCで! という貴方、安心してください、V4はSPだけどSCです!

厳密にいえば、V3でもリヤのショルダーにはSCコンパウンドが採用されていた。しかし、V4ではフロントのショルダーにもSCコンパウンドが採用され、名実ともに、いや名はSPだが実はSCだ。

SPに採用されているコンパウンドはSC3というもので、別名エクストラワイドと呼ばれ、SCシリーズの中では耐久性を必要とする走行に向いているロングラップ用で、温度依存性が低くタイヤウォーマーなしでもグリップ力が作動するコンパウンドなんだ。

そう、SCだけどロングライフなんだぜ、ストリートライダーにはそそられるだろ? いやでもSCのあのラベルが、、分かるよ、あのSC1のブルーのラベル、カッコいいしちょっとドヤれるよな(笑)、安心してください、SPにも色付きのラベルが採用されて、しかも赤だ!

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しかもだ、SCシリーズは確かにクローズドなサーキットトラックでのピークパフォーマンスは高い、ナンバーを切ってトランポに積んで来てタイヤウォーマーを使用し、スポーツ走行しかしないライダーには迷わずお薦めする。

しかし、フルカーボンブラックのシンプルなシングルコンパウンドはピークパフォーマンスに優れるものの、2時間程度の走行で使い切って履き替えるようなライダーが、SCシリーズ本来のパフォーマンスの恩恵を受けられるようなタイヤだ。

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V4 SCとV4 SPの違いとは?

対してSPはというと、フロントはデュアルコンパウンドのキャップ&ベース構造により、ショルダーに採用されたSC3コンパウンドの下に、センターのソフトコンパウンドをベースとして潜り込ませることで熱安定性を向上させている。

ちなみに、センターのソフトコンパウンド部の約2㎝がフルシリカコンパウンドで、残りのワイドに取られたショルダー部のSC3コンパウンドはフルカーボンブラックコンパウンドだ。

シリカ配合のコンパウンドは、ウエット性能や形状復元性が良く、転がり抵抗も少ないので燃費にも良い。また、高温でも安定していて熱ダレしにくく、低温で硬くなりにくい。この低温で硬くなりにくい性質がストリートライダーにとっては本当にありがたい。

ショルダーは粘りのあるグリップを発揮してくれるフルカーボンブラックコンパウンドだが、グリップの作動温度の範囲が広いエクストラワイドのSC3コンパウンドの採用で温度依存性を低く抑えている。

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しかし、どうしても一度熱が入った後に冷えるとシリカ配合のゴムに比べればゴム(コンパウンド)が硬くなりがちで、これがSC1になるとさらに顕著になる。これは悪い面ばかりではなく、分子結合が強くなるために起こるものなので、ウォーマーでの予熱等きちんと管理できればメリットにもなる。

それはフラッグシップのスポータイヤが軒並みフルカーボンブラックコンパウンドを採用している理由のひとつでもあり、それにより得られるメリットがあるということで、通常であれば何を得て何を犠牲にするか? だが、V4SPではピレリの技術者やテストチームの働きにより、多くの面において総合的にパフォーマンスの向上が達成されている。

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■DIABLO™ SUPER CORSA V4 SPは旧モデルのV3と比較にならないくらいの進化を遂げている



後はユーザーが自身の使用環境をきちんと認識し、特性をきちんと把握して使用することが重要だ。

未使用の状態では、SPもSC1も大差ない柔らかさなので、新品の状態で表面がしっかりと脱脂されていれば、スタート時の気の使い方にはあまり差を感じない。しかし、一度熱が入った後に冷えた状態のタイヤは、外気温が高くなけれはSC1では爪跡が付かない程に表面が硬くなっている。SPに採用されているSC3はその程度が穏やかであり、通常の使用では走り始めに気を使っていれば神経質になることはない。

対してシリカ配合のタイヤ特性のひとつが、熱が入った後に冷えてもゴムの弾性を保ってくれるんだ。これが近年のツーリングタイヤや街乗りタイヤのほとんどでシリカ配合タイヤが多い理由のひとつなんだ。だからSPのフロントタイヤには、センターにシリカ配合のコンパウンドを採用し、ショルダーには温度依存性の低いSC3コンパウンドを採用して、パフォーマンスとセーフティの両立を図ってくれているんだ。責任転嫁ではなく厳しく言えば、どのモデルをどのような環境で使用するかについては、自己責任の判断の範疇であると認識してもらいたい。

「冷えコル」を食らうのは何故?

世間的に定着してしまったワード? の俗にいう通称「冷えコル」を食らうのはこれらの性質や特性を把握できていないライダー達なんだよね。使用しているタイヤの特性をきちんと把握し、走行開始時に気持ちの余裕を持ち、きちんとウォームアップしてあげれば良いだけの話で、言わずもがな特にこれからの外気温が低くなるシーズンは常に要注意だ。

なので近年各メーカーはフルカーボンブラックコンパウンドを採用したスポーツタイヤのストリートでの使用を推奨せず、タイヤウォーマーを使用しての温度管理を推奨しているんだ。その辺り、スパコルV4SPはショルダーがフルカーボンブラックであっても、SC3のエクストラワイドコンパウンド/最適でしなやかな構造/キャップ&ベース構造の採用で、ストリートでの一般ライダーに優しいタイヤになっている。

それでも心配なライダーには、さらに安心して使用できてスポーツ性も高いロッソⅣやⅣコルサをお薦めする。これらのⅣ/V4のクワトロシリーズは、ロッソもスパコルもプロファイルが共通になったので、かなり近いハンドリングやフィーリングを感じられるはずだ。

また、前回の走行から暫く期間の空いてしまった際や、朝イチや休憩後のスタート時も特に注意して欲しい。屋外保管であれば紫外線等での硬化や劣化対策も兼ねてバイクカバーをかけてもらいたいし、より気を使えるのであれば、レーシングスタンドで前後スタンドアップしてからカバーをかけておくことをおすすめする。また、センタースタンドの標準装備が多いツアラーモデルであれば、センタースタンドでの駐車や保管がおすすめだ。

リヤタイヤにも最新のテクノロジー

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リヤタイヤはというと、こちらもセンターとワイドショルダーに分けたデュアルコンパウンドで、さらには、新たにベースコンパウンドとしてアダプティブ・ベース・コンパウンドが採用されている。

こちらはセンター/ショルダー/ベースの3つのコンパウンドすべてがフルカーボンブラックコンパウンドだ。下地となるアダプティブベースコンパウンドにより、表面コンパウンドとの組合せで機能変化や熱安定性、接地感向上を下支えし、センターに採用されたソフトスーパースポーツコンパウンドは広い温度範囲で効果的に働くように最適化され、高速安定性や高応力耐性を高め、あらゆる条件下で高いケミカルグリップと素早いウォームアップ性を実現している。

また、ワイドに取ったショルダー部のSC3フルカーボンブラックのレーシングコンパウンドと、新採用のフラッシュパターンとの相乗効果にて、コーナー出口での高いトラクション性能を確保し、力強く素早い立ち上がり加速をサポートしてくれる。

プロファイルも刷新され、よりナチュラルなハンドリングに

先に述べたが、V4シリーズではプロファイルが見直され、タイヤのラウンドが穏やかになり、よりナチュラルなハンドリングになっている。一部で言われるような尖ったフロントタイヤを潰して乗る、といったテクニックを過度に要求されず、ナチュラルなハンドリングをしなやかな構造で支えてくれている。

一般のライダーにとってはより親しみやすいフィーリングで扱いやすい特性になり、エキスパートライダーには高次元でのパフォーマンス時の余裕を与えてくれている。特徴的だったフラッシュパターンは中央で途切れる新たなスタイルになった。このスリックエリアの位置が絶妙で、あまりサイドの深い位置が使えない一般ライダーのスポーツ走行で、トラクションがかかる位置に設定されているため、トレッド面の撚れが減りしっかり感が演出されているので、よりトラクションを感じながらブレーキングやアクセル操作が出来るように改善されている。

ストイックなSCにも見劣りしないハイテク技術が詰め込まれたV4 SP

どうだろうか? これだけのハイテク技術が詰め込まれてコストが掛かっているV4SP、ストイックなSCにも見劣りしない魅力があると思わないか? 言うなれば、SCが快適装備を省いたストイックなホットモデルで、SPは快適装備満載のスーパーカーのイメージかな。

私なんてまだまだそんなレベルじゃないなので、と思っているそこのあなた! レーシングカーは乗れなくてもスーパーカーは乗ってみたいよね? 良いものを知ることは成長の一助です、一度良いものを知ってしまうと後戻りできなくなるかもしれませんが、ピレリではバックアップとしてロッソシリーズが控えていますよ(笑)。是非一度フラッグシップの「DIABLO SUPER CORSA V4 SP」を体験してみてください。

DIABLOMANに聞いてみよう!

DIABLOMANからもっとタイヤやライディングのことを聞いてみたいと思ったそこの貴方、よりピレリタイヤを使いこなしていただけるように、ライディングスキルを上げるためのDIABLOMAN COACHINGを袖ヶ浦FRWにて占有枠で開催しています。また、ピレリジャパンのオフィスで開催している特別座学講座では、ライテクやバイクの理論や理屈もお伝えしています。タイムアップや走行会での上位クラスを目指すもよし、フォトジェニックなフォームへの矯正やライテクの真実を知りたい方は是非受講してみて欲しい。

過去の受講者の皆様は、今までにない指摘やアドバイスに漏れなく開眼し新境地を体験してくれ、身に余る感想を届けてくれているので、自信をもってお迎えさせてもらっています。

DIABLOMAN コーチング
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プレス試乗会でのテストレポートはこちら

また、3月にオーストリラリ・フィリップアイランドで開催されたプレス試乗会でのテストレポートをWEBヤングマシンさんが掲載してくださっていますので、そちらもぜひ読んでみてください。

https://young-machine.com/migliore/2023/03/27/445546/

最新テクノロジーをフル採用した新世代のハイパースポーツタイヤDIABLO™ SUPER CORSA V4。ぜひぜひお楽しみください!