写真:Pirelli
テキスト:伊藤英里
MotoGP第13戦サンマリノGP
9月6日~8日/イタリア ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリ
Moto2:優勝の小椋藍、加藤大治郎の国旗とともにクールダウンラップを走行
Moto2クラスに参戦する小椋藍(MTヘルメット – MSI)は、オーストリアGPで負った右手の骨折が完治していない状態でサンマリノGPを迎えていました。ただ、土曜日の朝から手の状態がかなりよくなったことで、土曜日も、そして決勝レースでも痛み止めは使用しなかったそうです。
「土曜の朝から手の感じがすごくよくなったし、痛み止めを使用すると感覚が少し変わってしまうので、痛みよりも感覚重視で、決勝レースでは痛み止めを飲まない方向でいきました」
予選Q2では1列目3番手を獲得し、フロントロウからレースに臨みました。小椋はレース序盤にタイヤを温存してトップのアロン・カネト(ファンティック・レーシング)を追従すると、残り4周でカネトをパス。今季3勝目を飾ったのです。
「スタートからトップに近い場所で走ることができれば、トップと同じタイヤの減り方になるか、よりタイヤをセーブできます。相手の走りも見られますからね」
「残り2周で(カネトを)抜くと、相手も最後の力を振り絞ってまたやり返される可能性があるな、と思いました。自分の方がペースがいいなら、残り4、5、6周くらいで前に出て、少しプッシュして、ギャップを作るほうが利口かな、と考えたんです。レース展開的にはうまくいったかなと思います」
タイヤマネジメントに長ける小椋がコントロールしきったレースでした。
レース後、クールダウンラップで、小椋は上田昇さん(元WGPライダー)から日本国旗を渡され、ミサノ・サーキットを走りました。これは、加藤大治郎が250ccクラスでチャンピオンを獲得した2001年、日本GPで優勝したときに使った国旗でした。
このレースでは、セルジオ・ガルシア(MTヘルメット – MSI)が両肩の負傷によって本調子ではなく、12位でした。この結果、小椋がチャンピオンシップのランキングトップに浮上。ランキング2番手に後退したガルシアに対し、9ポイントの差をつけています。
前戦アラゴンGPを12位で終え、Moto2クラスで初めてのポイントを獲得した佐々木歩夢選手(ヤマハVR46マスターキャンプ・チーム)は、サンマリノGPでは惜しくもポイント圏内に一歩及ばず、16位でした。
しかし、土曜日には初めてQ2へのダイレクト進出を果たしており、着実にポジションを上げてきています。
「いいレースはできていたと思うんですけど、レース終盤にタイヤが落ちてからチャタリングがすごく増えてしまい、最後の7周くらいはペースダウンしてしまいました。13番手くらいを走っていたので、ほんとに悔しいです。でも、またポイント圏内を走ることができました。コンスタントによくなってきていると思います」
Moto3:古里太陽は僅差で表彰台を逃すも、好レースを展開
Moto3クラスの決勝レースでは、古里太陽(ホンダ・チームアジア)が優勝争いを展開した末、4位でゴールしました。古里は、序盤はダビド・アロンソ(CFMOTO Gaviotaアスパー・チーム)の後ろについてタイヤを温存し、その後、トップ集団の中で落ち着いたレース運びを見せていましたが、残り2周、猛烈な勢いで追い上げてきたアンヘル・ピケェラス(レオパード・レーシング)がトップ集団に加わって複雑な展開となりました。3位のライダーとは、0.033秒差という僅差でした。
鈴木竜生(リキモリ・ハスクバーナ・インタクトGP)は、金曜、土曜はペースに苦戦して23番手からのスタートとなったものの、路面温度が前日よりも下がったことが好材料となって、大きく順位を上げ、8位でゴールを果たしています。
「失うものはなかったので、序盤からかなり攻めました。第2集団でレースをして、ペース自体は悪くなかったんですけど、トップ集団に追いつくようなペースがなかったので、最後の3周はしっかり8位を持って帰ることに集中しました。内容としては悪くなかったのですが、次のレースに向けて、金曜、土曜を改善していきたいです」
山中琉聖(MTヘルメット – MSI)は13番手からのスタートでしたが、1周目2コーナーで発生したアクシデントによってオーバーランを余儀なくされ、大きく後退。しかし後半にはペースを取り戻し、17位でした。
「アンラッキーといえば、アンラッキーでしたが、(アクシデントが起こった)あたりにいた自分も悪かった、というのもひとつあったと思います」
山中は淡々と、厳しい表情のままそう語っていました。
次戦、第14戦エミリア・ロマーニャGPは、9月20日から22日にかけて、サンマリノGPと同じくイタリアのミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリで行われます。