写真:Pirelli
テキスト:伊藤英里

MotoGP第17戦オーストラリアGP
10月18日~20日/オーストラリア フィリップ・アイランド・サーキット

Moto2小椋藍、「トップ10目標」フィリップアイランドで4位

小椋藍(MTヘルメット – MSI)は、Moto2クラスのチャンピオン獲得の可能性を持ってオーストラリアGPを迎えていました。とはいえ、そのためには小椋自身が3位以上を獲得しなければならず、そのうえでライバルの結果次第で、76ポイント以上の差を築くことが条件でした。

フィリップ・アイランド・サーキットは小椋が得意とは言えないサーキットです。小椋は「トップ10を目標」としていました。オーストラリアGPでチャンピオンを決める、というよりも、確実に走りきることが重要なレースだったのです。そうした戦略もまた、チャンピオンシップを戦ううえでは重要となります。

オーストラリアGPの金曜と土曜はウエットコンディションとドライコンディションが入り混じる、複雑な状況でした。ドライコンディションで行われた予選Q2では、9番手を獲得。3列目からのスタートとなりました。

「ドライで走れたのが(Q2で)初めてだったので、自分でペースを作って走ることができたわけじゃないし、(他のライダーを)追いかけてタイムを出したので、内容はそんなによかったわけじゃないです。でも、タイムもポジションも、ボクとしてはよかったと思います」

予選後のコメントは、1戦1戦の積み重ねの先にタイトルがあるという戦いを続けてきた小椋が、ついにチャンピオンに焦点を合わせたことを窺わせました。

決勝レースでは、想定通りのペースで4、5番手を走行します。トップ集団のフェルミン・アルデゲェル(ベータ・ツールズ・スピードアップ)、アロン・カネト(ファンティック・レーシング)、アロンソ・ロペス(ベータ・ツールズ・スピードアップ)が引き離すレースになると分かっていた小椋は、落ち着いて自分のレースをしていました。そして、4位でチェッカーを受けたのです。

「4位は、ボクとしてはこのサーキットでは上出来すぎます」と、小椋は語ります。なすべき仕事をした、レースでした。

そして、「タイではかなり、チャンスがあると思います」と言いました。

オーストラリアGPを終え、小椋はランキング2番手に浮上したカネトに対し、65ポイントの差を築いています。次戦、得意とするタイGPで、小椋が5位以上に入れば、カネトなどの順位如何にかかわらず、小椋のチャンピオン獲得が決まります。

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苦手なオーストラリアGPを4位で終えた小椋(#79)。タイトル獲得にさらに一歩近づいた

Moto3山中琉聖、表彰台争いに加わり6位

Moto2クラスのルーキー、佐々木歩夢(ヤマハVR46マスターキャンプ・チーム)は、Moto2マシンとピレリタイヤで挑む初めてのフィリップアイランドで、ドライコンディションで走れた時間が少ないながらも予選Q2で自己ベストグリッドの14番手を獲得します。決勝レースでも12番手を走行していましたが、18周目の2コーナーで転倒を喫し、リタイアとなりました。

「土曜日よりもさらにフィーリングよく走れていたんですけど、レース後半タイヤが落ち始めたときにリヤブレーキを使うとチャタリングが出るようになったんです。このため、フロントブレーキでバイクを止める走りに変更したのですが、自分が得意とする走りができなくなってしまったんです」

「フロントタイヤもタレてきたころ、コーナリングスピードが高すぎたみたいで、2コーナーの真ん中くらいでフロントが切れ込んでしまいました。フロントから転ばないように走っていたんですけどね。ポイントも獲れたと思うし、自己ベストリザルトでゴールできたと思うので、とても悔しいです」

Moto3クラスでは、山中琉聖(MTヘルメット – MSI)が6位でゴールしました。山中は、レース序盤に最後尾まで後退しながらも、好ペースを刻んでレース中盤にはトップ集団に加わり、表彰台争いを展開しました。手ごたえを感じたレースだったようで、笑顔でレースを振り返っています。

「1周目、2コーナーで内側のライダーが転倒しそうになった影響を受けて、最後尾まで順位を落としてしまいました。レース中盤にはトップグループに追いつき、すごくスピードはあったんですが、毎回2コーナーで立ち上がりを重視したライン取りをしていたのですが、そのためにイン側から入られて順位を落としてしまったんです。それがもったいなかったですね。でも、レース自体はすごく楽しかった。それはよかったです」

古里太陽(ホンダ・チームアジア)は7位でした。トップ集団で走っていた古里は、接触が多かったと語っています。オーストラリアGPの週末、Moto3クラスは予選だけがドライコンディションで走れたセッションでした。トップ集団が大きかったこと、ドライコンディションでのセッションがほとんどなかったことで、スリップストリームを使ったとき、思ったよりも止まりきれなかったライダーが多かったようです。

「残り2周で前に追いつこうと思って頑張っていたところ、横からの接触があって、ちょっと難しいレースでした。ただ、なんとかマネジメントすることはできたと思います。全体的にみれば悪くなかったのですが、他のライダーとの接触がけっこう多かったので難しかったです」

鈴木竜生(リキモリ・ハスクバーナ・インタクトGP)もトップ集団に加わっていましたが、10周を過ぎてからタイヤのグリップがなくなったことでポジションを落とし、15位でゴールしています。

次戦、第18戦タイGPは、10月25日から27日にかけて、タイのチャン・インターナショナル・サーキットで行われます。