2025年全日本モトクロス選手権 Rd.7
第63回MFJ-GPモトクロス大会
・開催場所:スポーツランドSUGO(宮城県)
・開催日:2025年11月1日(土)・2日(日)
・天候:晴れ時々曇り
・最高気温:19℃
・コースコンディション:ドライ
2025年の全日本モトクロス選手権シリーズは今季最終戦を迎え、第7戦「第63回MFJ-GPモトクロス大会」が11月1日(土)~2日(日)に宮城県のスポーツランドSUGOで開催されました。
今季第2戦の舞台にもなったSUGOのモトクロスコースは、山の斜面に設けられており、アップ&ダウンに富むレイアウト。金曜日の午後から土曜日の早朝にかけてまとまった雨が降り、土曜日の朝はマディに近い状況でした。しかし日中は晴れ、なおかつ強風が吹き荒れたことで、あっという間に路面状況は改善。適度に水分を含んだ粘土質の路面には深く固いワダチが刻まれ、同じく天候に恵まれた日曜日もこの状況はほぼ同じでした。
今季、ピレリは新製品のSCORPION™ MX32™ MID SOFTを日本にも導入。全日本では、「Yogibo PIRELLI MOUNTAIN RIDERS」から参戦するIA1クラスの内田篤基選手(#10)、IA2クラスの松木悠選手(#34)と今岡駿太選手(#35)、レディースクラスの松木紗子選手(#10)、IBオープンクラスの島袋樹巳選手(#2)に、マディやサンドに最適なSCORPION™ MX Softのリヤタイヤとともに供給してきました。
さらにピレリは第5戦から、IA2クラスに参戦する「TKM motor sports いわて」の横澤拓夢選手(#2)をサポート。チームメイトの柳瀬大河選手(#5)も、第5戦からピレリにスイッチしています。また、ピレリタイヤを履き「bLU cRU YSP大阪箕面」からレディースクラスに参戦する川上真花選手(#3)は、開幕前のケガから第5戦で全日本復帰。そして今大会には、「HONDA HRC」からモトクロス世界選手権MX2ライダーのバレリオ・ラタ選手(#118)がIA1クラスにスポット参戦し、こちらもピレリタイヤで戦いました。
■IA1クラス
全日本最高峰となるIA1クラスの決勝は、25分+1周の2ヒート制で競われました。その決勝ヒート1、スポット参戦のバレリオ・ラタ選手(#118)は1周目に2番手まで浮上すると、同じくスポット参戦した今年のモトクロス世界選手権最高峰クラス王者のロマン・フェーブル(#3・カワサキ)を僅差で追いました。しかし3周目以降に引き離されはじめると、全日本勢に対しては圧倒的にスピードで勝るラタ選手は単独走行に。そのまま14周を走破して、ラタ選手は2位でゴールしました。
一方、前後輪にSCORPION™ MX32™ MID SOFTをチョイスした内田篤基選手(#10)は、好スタートを決めて3番手からレースに挑むと、混戦の中で順位を落として1周目を6番手でクリア。4周目には8番手まで後退しましたが、翌周には上位勢の転倒でひとつ順位を上げました。レース中盤、内田選手は粘り強い走りで前を追い、1台のパッシングに成功。終盤には5番手のライダーに迫り、逆転はできなかったものの6位でチェッカーを受けました。
決勝ヒート2でも、ピレリタイヤを履くラタ選手は好スタート。まずは3番手のポジションを確保すると、オープニングラップに1台を抜き、全日本勢を5秒ほど離しながら世界選手権王者を追いました。しかし路面がさらに荒れたこのレースは、ヒート1よりもさらにライダーごとのラップタイム差が大きい状況。全日本勢からは大量リードを奪ったものの、世界王者にはレース序盤から離され、ラタ選手は再び2位となりました。
内田選手は、難しい路面コンディションとあって浮き沈みの激しいレースに。オープニングラップを7番手でクリアしたものの、3周目に転倒して8番手に後退し、5周目に7番手、6周目に6番手までポジションを上げました。なおも追い上げを続けた内田選手は、約6秒差を詰めて9周目に1台を抜いて5番手。ところが11周目に転倒を喫して7番手へと再びポジションダウンし、14周で終了となったレースをそのまま7位でゴールしました。

■IA2クラス
IA2クラスの決勝も、25分+1周の2ヒート制。そのヒート1では、横澤拓夢選手(#2)が8番手、柳瀬大河選手(#5)が同9番手で1周目をクリアすると、レース序盤に横澤選手が鋭い追い上げを見せ、6周目には3番手まで浮上しました。レース後半、この横澤選手に柳瀬選手が追いつき、10周目に逆転。横澤選手がその後に後退した一方、柳瀬選手はV2王者を最終ラップの13周目に突き放し、柳瀬選手が3位、横澤選手が6位でゴールしました。松木悠選手(#34)は1周目20番手と出遅れて20位、今岡駿太選手(#35)は1周目15番手も22位でした。
決勝ヒート2は、SCORPION™ MX32™ MID SOFTのグリップを活かした横澤選手のホールショットで幕を開けました。レース序盤、横澤選手は3台のライバルたちを従えながら2番手をキープ。しかし7周目に2台の先行を許しました。終盤、2番手だったライダーが転倒し、横澤選手の約2秒前方まで後退。しかし捉えることはできず、横澤選手は4位でゴールしました。柳瀬選手は1周目12番手とやや出遅れましたが、粘り強い走りで7位。今岡選手は21番手、松木選手は最後尾の30番手からのレースとなり、今岡選手は24位、松木選手は27位に終わりました。

■レディースクラス
レディースクラスは、いつもと同じ15分+1周の設定。川上真花選手(#3)が1周目中盤で先頭に立つも、ミスで一度はトップ2と約4秒差の3番手に後退しました。2周目、川上選手はトップと3~4秒差の2番手。レース前半が終了する4周目には、そのギャップが約5秒に拡大しました。
レース後半、川上選手はトップとの距離を縮めることに成功。ラストラップとなった8周目の終盤にライバルを抜き去り、今季初優勝を挙げました。一方、松木紗子選手(#10)は1周目を8番手でクリアすると、レース中盤には3台による7番手争いに加わりました。しかし終盤に遅れ、8位でチェッカーを受けました。

■IBオープンクラス
島袋樹巳選手(#2)は、トップと2点差のランキング2番手で今大会を迎えました。IBオープンクラスの決勝は、15分+1周の2ヒート制。土曜日の決勝ヒート1、島袋選手は1周目9番手からのレースになりました。それでも着実に追い上げを続け、ランク首位を抜きつつ6周目には3番手浮上。ところが翌周にクラッシュし、島袋選手は11位に終わりました。
ランキングトップと12点差で決勝ヒート2に臨んだ島袋選手は、スタートで集団に飲み込まれて15番手前後からのレースとなりました。1周目に8番手まで順位を上げた島袋選手でしたが、2周目にミスして13番手まで後退。再び追い上げて4周目に8番手となった段階で、前との距離は開いており、島袋選手は7位で8周のレースを終え、ランキング2位となりました。

IA1・内田篤基選手のコメント
「世界選手権ライダーが2名出場していたことを考慮すれば、悪いリザルトではないのかもしれませんが、全日本勢のトップを狙っていたので、そこと大きな差があったことはとても悔しいです。ヒート1は、スタートで前のほうにいましたが、1周目に同じレールで前走車に詰まって遅れ、ヒート2は2度の転倒で順位を落としました。タイヤは2レースともMX32™ MID SOFTを選択。ぬかるんだセクションからカタい路面まで幅広く対応できるため、今回のようなコンディションではとくに有利です。シーズンを通して、ピレリタイヤに助けられたレースは多かったし、日本のコースにも合うことを確認できた1年間でした」
IA1・バレリオ・ラタ選手のコメント
「世界選手権では、来シーズンも250ccマシンのMX2クラスに参戦する予定ですが、多くの経験を積むために日本で450ccのレースに参加することになりました。今回のコースは非常に難しかったのですが、初めての日本、初めてのスポーツランドSUGOで、世界チャンピオンと同じレースで楽しくライディングできました。また来年、日本で会いましょう!」
IA2・横澤拓夢選手のコメント
「ヒート1は、前半にトバしすぎたことで後半は腕上がりの症状が強くなり、最後は厳しくなりました。スタートで出遅れたことがもったいなかったですが、自分のポテンシャルを再確認できました。ヒート2は、スタートを決めることができましたが、自分の力が足りず表彰台には届きませんでした。タイヤはMX32™ MID SOFTを選択。日曜日になっても、かなりの水分を含んだグチャグチャのセクションが残る状況でしたが、このタイヤはとにかくワイドレンジなので迷いません。これは本当に大きなアドバンテージです!」
IA2・柳瀬大河選手のコメント
「ヒート2はスタートで前に出られず、その後はうまく攻め切れませんでしたが、予選から非常に好調で、そのいい流れを決勝ヒート1の3位表彰台に結びつけることができました。タイヤは、雨上がりだった土曜日の公式練習からずっと、超ワイドレンジなMX32™ MID SOFTを選択。第5戦でピレリにスイッチして以降、絶大な信頼を寄せています!」
IA2・松木悠選手のコメント
「ヒート1は、スタートで真ん中あたりにいたのですが、オーバーペースでレース中盤に転倒。ヒート2はスタートで大きく失敗し、3回くらい転んで下位に沈みました。第5戦でシングルフィニッシュという目標を達成できましたが、それ以外は苦戦した1年間でした」
IA2・今岡駿太選手のコメント
「シーズン序盤は、スタートで出遅れても真ん中あたりの順位で戦えていましたが、右肩下がりで思うようにいかないシーズンになってしまいました。今大会は、スタートダッシュを狙ってMX Softのリヤタイヤを使用。うまく活かせなかったことが悔しいです」
レディース・川上真花選手のコメント
「レース後半、ディフェンディングチャンピオンを僅差で追い続けているときに、向こうが攻略に苦労しているセクションに気づきました。しかもそこは、私が得意とするコーナー。手前の難しいストレートをうまくクリアできたので、これは勝てると思いました。タイヤは、リヤにMX Softを選択。スタート直後の柔らかい区間で有利だし、カタい路面もしっかりタイヤを潰して走れば滑りません。バトルしての勝利で、本当にうれしいです」

レディース・松木紗子選手のコメント
「リザルトはあまり良くなかったですが、苦手なSUGOのコースを克服できている感触がありました。来年に向けて、成長を続けていきたいです。タイヤは土曜日から一貫してMX32™ MID SOFTを選択。雨上がりのぬかるんだセクションを含め、十分なグリップでした」
IBオープン・島袋樹巳選手のコメント
「ヒート1での転倒で、すべてを失ってしまいました。あれがなければまるで違う展開になったと思います。ヒート2は、せめて勝って終わりたいと思いましたが、届きませんでした。前後ともにMX32™ MID SOFTでしたが、カタくなったセクションを含めてグリップしてくれていました。今年学んだことは多いと思うので、来年に活かしたいです」
Yogibo PIRELLI MOUNTAIN RIDERS・小橋雅也監督のコメント
「今年からピレリタイヤでレースを戦うことになり、全日本格式のクラスではIBオープンクラスの島袋樹巳が、最後までシリーズタイトル争いを繰り広げました。転倒によりチャンピオンは逃しましたが、これは攻めの姿勢を貫いた結果であり、来年につながると思っています。練習でも大会でも、多くのライダーや関係者がピレリに関心を寄せており、日本でもこれからどんどんシェアを拡大していくだろうと想像した1年間でした」
『Yogibo Pirelli マウンテンライダーズ』公式HP
https://www.mountainriders.jp/
ピレリ - 『New SCORPION™ MX32™ MID SOFT』
https://www.pirelli.com/tyres/ja-jp/motorcycle/catalog/product/scorpion-mx-32-mid-soft-new





