2025年全日本モトクロス選手権 Rd.5 近畿大会
・開催場所:名阪スポーツランド(奈良県)
・開催日:2025年9月20日(土)・21日(日)
・天候:晴れ時々曇り
・最高気温:27℃
・コースコンディション:ウェット to ドライ
2025年は全7戦で競われる全日本モトクロス選手権シリーズは、約3カ月間という非常に長いサマーブレイクを終え、シーズン後半戦に突入。第5戦近畿大会が、9月20日(土)~21日(日)に奈良県の名阪スポーツランドで開催されました。
三重との県境に近い山中に位置するこのコースは、サンド質の路面が特徴。アップ&ダウンに富むレイアウトで、全体的にコース幅が狭くてテクニカルな構成となっています。今大会、全日本格式クラスの決勝はすべて日曜日に実施。夜中の激しい雨により、公式練習のコースはぬかるんだ状態でしたが、水はけの良いサンド質とあって、路面状況は急速に回復し、柔らかくなった路面には多くの深いワダチが刻まれたものの、午後にはほぼベストコンディションとなりました。日曜日の最高気温は27℃。爽やかな陽気でした。
今季、ピレリはワールドスペックの新製品となるSCORPION™ MX32™ MID SOFTを日本市場にも導入。全日本では、「Yogibo PIRELLI MOUNTAIN RIDERS」から参戦するIA1クラスの内田篤基選手(#10)、IA2クラスの松木悠選手(#34)と今岡駿太選手(#35)、レディースクラスの松木紗子選手(#10)、IBオープンクラスの島袋樹巳選手(#2)に、マディやサンドに最適なSCORPION™ MX Softのリヤタイヤとともに供給してきました。
さらに今大会からピレリは、IA2クラスのランキング4番手でシーズン後半戦を迎える「TKM motor sports いわて」の横澤拓夢選手(#2)をサポート。また、シーズンオフのケガにより開幕から欠場が続いていた、「bLU cRU YSP大阪箕面」からレディースクラスに参戦する川上真花選手(#3)も復帰を果たしています。
■IA1クラス
全日本最高峰となるIA1クラスの決勝は、15分+1周の3ヒート制で競われました。ピレリタイヤを履く内田篤基選手(#10)は、前日の公式練習中にジャンプで激しくクラッシュし、体にダメージが残る状態。それでも、決勝ヒート1ではまずまずのスタートを決めて1周目を5番手でクリアすると、レース序盤は4番手を僅差で追いました。レース中盤、内田選手は前に離されたものの、追いすがる後続に対するリードは確実にキープ。11周を走破して5位を獲得しました。
決勝ヒート2でも、内田選手はトップグループでレースを開始。1周目を4番手でクリアしました。レース序盤、内田選手はヒート1で3位に入賞したライダーを抑えて4番手をキープ。しかし4周目に転倒を喫し、8番手まで後退しました。今回のコースはパッシングポイントが非常に少なく、ベストラップタイムで約2.5秒遅い7番手のライダーの攻略に時間を要し、内田選手は7周目にようやく7番手。この段階で前とは約6秒差があり、11周のレースを内田選手は7位で終えました。
決勝ヒート3でも、内田選手はスタート直後の混戦でポジションを上げ、1周目3番手の好位置を確保。3周目にはチャンピオンの先行を許しましたが、その後は3番手に後退したライダーを数秒差で追い続けました。しかしレースが後半を迎える頃から、徐々に前とのギャップが拡大。一方で後続に対してはすでに大きなリードを築いており、最後は単独走行となった内田選手は4位でチェッカーを受けました。大会総合成績でも、内田選手は4位を獲得しています。

■IA2クラス
IA2クラスの決勝は、30分+1周の2ヒート制。そのヒート1では、横澤拓夢選手(#2)のチームメイトで、今大会から同じくピレリタイヤにスイッチした柳瀬大河選手(#5)がスタート直後に3番手、横澤選手が4番手につけました。序盤の接戦がやや収まった3周目の段階で、横澤選手が3番手で柳瀬選手が4番手。翌周には両者が順位を入れ替えると、その後は少し間隔が開きました。
レース中盤、柳瀬選手はトップ2に大きく離されながらも3番手をキープ。横澤選手は、4~5秒差で柳瀬選手を追い続けました。10周目には2番手のライダーがマシントラブルでリタイアし、柳瀬選手と横澤選手はひとつずつポジションアップ。レースは19周で終了となり、柳瀬選手が今季初表彰台となる2位、横澤選手が3位を獲得しました。
一方、「Yogibo PIRELLI MOUNTAIN RIDERS」の2名は、今岡駿太選手(#35)がスタート直後にクラッシュして30台中の最後尾から追い上げを強いられたのに対し、松木悠選手(#34)は1周目10番手からのレースとなりました。松木選手は3周目から8番手を走行。レース終盤にひとつ順位を落とすも、IAクラスで自身初のシングルフィニッシュとなる9位を獲得しました。今岡選手は16位まで追い上げてゴールしました。
決勝ヒート2では、ピレリタイヤのグリップを活かした柳瀬選手がホールショットかと思われましたが、最初のターンでラインがややアウトに膨らみ、イン側をコンパクトに駆け抜けた横澤選手が、まずは先頭に立ちました。しかし横澤選手は、すぐに3番手まで後退。これに柳瀬選手が続くと、3周目には柳瀬選手が横澤選手を抜いて3番手に浮上しました。
抜かれた横澤選手はペースが上がらず、その後に4台のトップグループから大きく離され、レース中盤には背後から2台の追撃を受ける展開。一方、柳瀬選手は5周目にライバルの先行を許して4番手に後退するも、トップ3を僅差で追っていました。しかし、レースが中盤に入るとじわじわと遅れはじめ、最後は単独走行に。柳瀬選手は4位でゴールしました。横澤選手は追撃をかわせず、8位に終わりました。
松木選手と今岡選手は出遅れ、松木選手が14番手、今岡選手が24番手でオープニングラップをクリアする苦しい展開。松木選手は少し順位を上げ、レース中盤は12番手を走行していました。レース終盤、ようやく11番手にポジションアップした松木選手は、ラスト2周となった18周目にも1台をパスして10番手。しかし最後に1台の先行を許し、11位でゴールしました。今岡選手は18位でチェッカーを受けています。

■レディースクラス
15分+1周の決勝では、リヤにSCORPION™ MX Softを履く松木紗子選手(#10)がホールショット。同じくソフトタイヤを使う川上真花選手(#3)はスタート直後に順位を上げ、1周目を松木選手が2番手、川上選手が3番手でクリアしました。2周目、松木選手は5番手に後退。川上選手は、背後に迫るライバルを抑え、3番手をキープしました。
翌周、後続車の転倒で余裕が生まれた川上選手は、2番手に接近。僅差でマークを続けると、7周目にはついに逆転を果たしました。8周目、追いすがってきたこのライダーは、川上選手に追突して転倒。これで一気にリードを得た川上選手は、10周でチェッカーとなった復帰レースで2位を獲得しました。また、最後まで後続を抑えた松木選手が3位に入賞しました。


■IBオープンクラス
20分+1周で競われたIBオープンクラスの決勝ヒート1。島袋選手(#2)はホールショットを奪うと、レース序盤は後続を3~4秒離してトップを快走しました。4周目、島袋選手は転倒で2番手に後退。それでもトップを約2秒差で猛追すると、8周目には相手が転び、トップに返り咲きました。この段階で、島袋選手のリードは約6秒。新たに2番手となったライダーも翌周に転倒し、12周で終了となったレースを島袋選手が勝利しました。
同じく20分+1周に設定された決勝ヒート2は、ヒート1よりも路面は乾き、随所に深いレールが刻まれた状態。実力差がラップタイムに出やすい状況で、島袋選手は躍動し、ホールショット争いを経て真っ先に1周目をクリアすると、2周目には早くも後続を7秒ほど離しました。島袋選手はその後もリードを拡大し、レース中盤には完全に独走態勢。そのままトップチェッカーを受け、サマーブレイク前の第4戦ヒート2から3連勝を獲得しました。

IA1・内田篤基選手のコメント
「予選日の公式練習で派手にクラッシュしてしまいました。今回はチームの地元大会で、自分としてもこの夏はかなり乗り込んできて好調を実感しており、意気込んでいた中でいきなり転倒。これでリズムを崩してしまい、正直なところ決勝はガマンのレースになりました。とはいえ、その中では最善を尽くせたと思います。スターティングゲート部の路面がサンド質というのは、今季の全日本では初めてかつ唯一だと思いますが、MX Softは直線性のようなものを強く感じられるグリップが得られ、安定してスタートが決まります」
IA2・横澤拓夢選手のコメント
「サスペンションのセッティングに悩み、本調子の走りとはなりませんでしたが、ピレリタイヤに関してはとても好感触。だからこそ、スタートで両ヒートとも前のほうにいられたと思います。すべての走行でリヤタイヤはMX Soft。このコースは、サンド質だけど意外とカタい路面があるのですが、そういうところでも喰いつきがよく、レンジの広さにも感動しています」
IA2・柳瀬大河選手のコメント
「今大会の2週間くらい前に初めてピレリを使ったのですが、最初からフィーリングが良くて驚きました。序盤の2戦をケガで欠場したということもありますが、今大会のヒート1が今季初表彰台。タイヤに助けられたからこその結果だと思うし、実戦ですぐ武器になるのは大きいと感じています」
IA2・今岡駿太選手のコメント
「ヒート1は、スタート直後に他車とジャンプで絡んでクラッシュ。これでいきなり気持ちが折れかけ、それでも頑張って追い上げましたが、不本意な結果に終わりました。ヒート2も、かなり後方からの追い上げでしたが、今度は体力的に厳しく、せっかくのタイヤ性能を活かせませんでした。次戦はまずスタートで前の位置を確保し、上位を狙います」
IA2・松木悠選手のコメント
「地元大会ということもあり、自信を持って臨めました。ヒート1は、初めてのシングルフィニッシュ。中盤からはかなりキツかったですが、それでもなんとか耐えました。ヒート2は、荒れた路面に馴染むことができず、レース後半になってようやくペースアップ。しかし最後に逆転され、トップ10を逃しました。でも、今季で一番いい走りだったと思います」
レディース・川上真花選手のコメント
「開幕前にケガしてしまい、5月くらいからようやくバイクに乗れるようになり、今回が全日本復帰戦。本当は、大阪の自宅から近い地元大会で優勝を狙っていたのですが、レース序盤のペースアップが苦手で、最初に離されてしまったことで目標には届きませんでした。次戦はライバルのホームコースが舞台ですが、だからこそ勝ちたいです」
レディース・松木紗子選手のコメント
「住んでいるのも大阪で、今回はまさに地元大会。MX Softのグリップに助けられ、決勝ではホールショットを獲得できたので、なんとか後ろを抑え切って勝ちたいと思っていました。ライバルたちには抜かれてしまいましたが、2度目の表彰台には立てたので、次はさらに上を目指します」
IBオープン・島袋樹巳選手のコメント
「両ヒートとも優勝できましたが、ヒート1はミスで転倒したのが余計でした。ヒート2も、転倒こそありませんでしたが、勝利を意識しすぎて途中から守りの走りになってしまいました。タイヤは、もちろんリヤにMX Softを選択。スタートで掻いて前に進んでくれるし、レールの中に隠されたカタい路面でも喰いついてくれるので、レースでは大きなアドバンテージになっています」

『Yogibo PIRELLI マウンテンライダーズ』公式HP
https://www.mountainriders.jp/
ピレリ - 『New SCORPION™ MX32™ MID SOFT』
https://www.pirelli.com/tyres/ja-jp/motorcycle/catalog/product/scorpion-mx-32-mid-soft-new