写真:Pirelli
テキスト:伊藤英里

MotoGP第4戦カタールGP
4月11日~13日/カタール ルサイル・インターナショナル・サーキット

シーズン唯一のナイトレース。Moto3のリヤタイヤにハードの開発タイヤを投入

第4戦カタールGPは、シーズンで唯一のナイトレースとして行われます。このカタールGPに、ピレリはMoto2クラスにはフロントにスタンダードのソフト(SC1)とミディアム(SC2)、リヤにソフト(SC0)とミディアム(SC1)を、Moto3クラスにはスタンダードのソフト(SC1)とミディアム(SC2)、そしてリヤには3種類のコンパウンド、スタンダードのソフト(SC1)とミディアム(SC2)のほか、ハードコンパウンドの開発タイヤC1096をアロケーションしました。

Moto3:わずか0.009秒差で古里太陽が2位。山中琉聖が3位を獲得

Moto3クラスでは、土曜日に行われたQ2で山中琉聖(フリンサ-MTヘルメット-MSI)がポールポジションを獲得しました。山中にとって、これがMoto3クラスにおける初ポールポジションとなりました。

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Moto3クラスで初の表彰台を獲得した山中

また、このクラスに参戦する古里太陽(ホンダ・チームアジア)は、土曜日午前中のセッションで転倒を喫したものの、Q2では12番手を獲得しました。

決勝レースでは、フロントはソフトとミディアムで選択が分かれましたが、リヤタイヤは全ライダーがミディアムをチョイスしました。

レースは序盤から山中がトップ集団でバトルを展開します。レース後半には追い上げてきた古里がその集団に加わり、最終ラップには古里、山中、アンヘル・ピケェラス(フリンサ-MTヘルメット-MSI)による三つ巴の接戦となりました。

激しい優勝争いは最終コーナーまで続き、ピケェラスがトップでチェッカー。古里はわずか0.009秒差の2位でゴールしました。山中も最後まで優勝争いを演じ、0.042秒差の3位でした。

2人の日本人ライダーが、表彰台を獲得したのです。日本人ライダー2人が表彰台に上がったのは、2023年インドGPの鳥羽海渡(2位)と佐々木歩夢(3位)以来のことです。

今季初の表彰台を獲得した古里は、しかしわずか0.009秒差の2位に悔しさのほうが勝ったらしく、MotoGP.comのインタビューで「今季初表彰台でうれしい気持ちもありますけど、正直、勝てそうで勝てなかったレースでもあるので、ものすごく悔しいです」と語っていました。

一方で、開幕戦から前戦アメリカズGPの3戦まで難しいレースが続いていたため、「ウイークとしてはまとめることができて、よかったです。日本人2人で表彰台を獲得できたのもよかったと思います」とも週末を振り返っていました。

初ポールポジション、そしてやはり今季初の表彰台を獲得した山中は、2024年イタリアGP以来となる表彰台獲得に笑顔を浮かべていました。

「風が強くて走るのがとても難しかったのですが、その中でうまくレースをマネージメントできて、比較的トップグループをリードできたので、自信にもなりました。これまでやってきたことが無駄ではなかった。いつも日本でいい練習ができているからこそ、今回、このようないい成績が残せたのだと思います」

古里、山中ともに、今季は開幕戦からセッションや予選では期待を抱かせるパフォーマンスを見せていたものの、結果に結びつかないレースが続いていました。カタールGPは、彼らのポテンシャルがついに結果となったレースでした。

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優勝争いは最後まで接戦となった。古里はトップからわずか0.009秒の2位だった
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僅差の2位だけに、古里にとっては悔しさのほうが勝っていたようだ。それでも、今季初の表彰台獲得。今後への期待を抱かせるレースだった
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山中にとっては、Moto3クラスで2度目の表彰台獲得となった

Moto2:國井勇輝は24位、佐々木歩夢は転倒リタイアの厳しい週末に

Moto2クラスに参戦するルーキーの國井勇輝(イデミツ・ホンダチームアジア)と、佐々木歩夢(RW – インドロフォーリア・レーシングGP)にとって、カタールGPは厳しい週末となりました。

國井は28番手からスタートして、24位でゴールしました。

「厳しいレースでした」と、MotoGP.comのインタビューで肩を落としていましたが、同時に今の課題が明確になった、とも述べています。2020年と2021年の2シーズンをMoto3クラスで戦った経験を持つ國井は、今季、世界選手権への復帰を果たし、Moto2クラスではルーキーです。1戦1戦、Moto2マシンとピレリタイヤに慣れているその最中にいます。

「次に向けて課題に対して取り組むことができます。次戦は今季テストで走ったこともあるヘレス・サーキットなので、頑張っていきたいと思います」

佐々木は24番手からスタートし、3周目に転倒リタイアに終わりました。

佐々木はMotoGP.comのインタビューで「フロントから切れ込んで転倒したのですが、限界を超える走りをしていたわけではないので、なぜ転んでしまったのか分かりません」とレースを振り返っています。

「フィーリングも悪くなく、レース後半に向けてとても楽しみだったんです。転倒したときに前にいたライダーが15位で終わっているので、それを考えるとそれくらいで終われていたのではないかと思います。本当に悔しいレースとなりました。4戦が終わって、残念な形になっています。ヨーロッパに戻りますが、(次戦)ヘレスはいい形で終われるように準備していけたらと思います」

MotoGP第5戦スペインGPは、スペインのヘレス・サーキット‐アンヘル・ニエトで4月25日から27日にかけて行われます。