写真:Pirelli
テキスト:伊藤英里
WSBK第2戦ポルトガル
3月28日~30日/ポルトガル アウトドローモ・インターナショナル・アルガルベ
3勝のラズガットリオグル、しかし今後への懸念も
開幕戦から約ひと月を経て、第2戦ポルトガルラウンドが行われました。開幕戦のオーストラリアラウンドはドゥカティのニッコロ・ブレガ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)が3勝を達成して週末を制しましたが、第2戦は、そのブレガと2024年チャンピオンであるトプラク・ラズガットリオグル(ROKiT BMWモトラッド・ワールドSBKチーム)が激しい優勝争いを展開しました。
なお、この週末に、ピレリは新しいリヤタイヤを投入しています。今季のスタンダード・ソフト・コンパウンド(SC0)は、2024年に開発仕様(D0640)として投入されていたものです。このほか、ポルトガルラウンドには新しいリヤのソフトコンパウンド、開発仕様となるE0125が投入されています。SC0とコンパウンドは同じですが、構造が異なっており、安定性の向上とレース全体を通じて安定したパフォーマンスを実現することを目的としたものです。
また、開幕前のテストで負った怪我により、ジョナサン・レイ(パタ・マクサス・ヤマハ)はこのラウンドも欠場しています。
この週末に軍配が上がったのは、アウトドローモ・インターナショナル・アルガルベを得意とするラズガットリオグルでした。しかし、ストレートスピードに勝るドゥカティのパニガーレV4Rを駆るブレガも食らいつき、そのバトルはまさに火花散る接戦となりました。
結果的に、スーパーポール(予選)を含むレース1、スーパーポール・レース、レース2すべてでラズガットリオグルが優勝(ポールポジション獲得)を果たしました。そして、ブレガはスーパーポールを含むすべてのレースで2位(予選2番手)でした。



その接戦を物語るように、レース1では優勝のラズガットリオグルと2位のブレガの差は0.067秒。スーパーポール・レースは0.055秒差。レース2は9周目を終えたとき赤旗が提示され、レース中断。再開された11周のレースでチェッカーを受けたとき、ラズガットリオグルとブレガの差は0.195秒でした。
非常に激しい優勝争いを制し、開幕戦の雪辱を果たしたラズガットリオグルは「ボクの今週末の最大の目標は、ポールポジションを獲得して、3勝することだったんだ。それをすべて達成した。素晴らしい週末だよ」とWorldSBK.comに語りつつ、やや懸念も示しています。
アウトドローモ・インターナショナル・アルガルベはラズガットリオグルが得意とするサーキットですが、そこで「接戦の末に」優勝を果たした、という状況だったからです。
「この2レースはペースが素晴らしかった。もちろんボクも懸命に攻めたけどね。バイクとグリップが少しよくなったと感じる。ただ、旋回性は新しいルールになってから変わらないね。ボクは勝つために戦っているし、みんな(この接戦を)楽しんでいる。それはいいことなんだけど……、ボクには昨年と同じバイクが必要だ」
「ストレートではドゥカティがまだ強い。ここはボクが大好きなサーキットだから戦えたけど、(次戦の)アッセンは勝てるかどうか分からない」
一方、ラズガットリオグルとは対照的に、3レースで2位だったブレガは、「接戦の末に」2位だったことを前向きにとらえているのです。
「全力を尽くしたけど、3回とも2位だった。悪くはないけどね。あれ以上、できることはなかったよ」(WorldSBK.comより)
「満足しているよ。ここはいつもトプラクが強いサーキットだからね。そういうサーキットでトプラクと戦えたのはよかったと思う。それってボクたちがよくなっているということだし、それはつまり、チャンピオン争いにとってもいいことだからね。ここで彼と戦うことができたというのは、重要なことだよ」
いずれにせよ、2024年シーズンのように、今季もラズガットリオグルとブレガの2人がチャンピオンシップをリードすることになりそうです。
第3戦オランダラウンドは、4月11日から13日にかけて、オランダのTT・サーキット・アッセンで行われます。
