今年からMoto2&Moto3とアジアタレントカップのオフィシャルタイヤサプライヤーとなったピレリは、同サイズのタイヤを使用(マシンはホンダ・NSF250)する全日本選手権のJ-GP3にも本格的なサポートを開始します。

従来は他メーカーのタイヤを使用するライダー/チームがほとんどだったJ-GP3ですが、これまでのDIABLO™ SUPERBIKE(スリック)/RainのSC1に加えてMoto3用に新開発されたSC2(SC1に比べ、耐久性とグリップのバランスがいい)も提供できる体制が整い、3月10日に開催される筑波選手権からサポートを開始することになりました。

ピレリは、レースビギナーからトップカテゴリーであるMotoGPまでのロードマップ(Road to MotoGP=MotoGPへの道)をレース主催者であるドルナと共有していて、MiniGP→アジアタレントカップ→Moto2&3/WSSP→WSBKとピレリタイヤで育ったライダーの育成にこれまでも注力してきましたが、今回はMiniGPとアジアタレントカップの間を埋めるJ-GP3にもタイヤの供給とサポートをすることにより、ピレリタイヤを使用し、ピレリタイヤで育ったライダーのMotoGPへの道を「一気通貫」で後押しすることにしたのです。

もちろん、使用するチームにタイヤをただ供給するだけではなく、レース毎のサポート体制も構築していく予定で、全日本選手権へのエンジニアの派遣、基本セッティングが分かる専用ウェブサイトの構築なども予定しています。

J-GP3で使用するF:100/70R17、R:120/70R17サイズのDIABLO™ SuperbikeはMoto3と同サイズということから、今回、プレシーズンテストとして「チームMoto UP」と「オートスタジオスキル」のライダーに、ホンダ・NSF250にDIABLO™ Superbikeを装着してテストしていただきました。

2月27、28日の2日間のテストに参加したのは、今シーズン、ピレリタイヤのワンメイクで開催されるアジアタレントカップに参戦する池上聖竜選手(チームMoto UP)と全日本選手権J-GP3のチャレンジクラスに参戦する中谷健心選手(チームMoto UP)、昨シーズンMoto2クラスへ参戦した羽田大河選手(チームMoto UP)、全日本J-GP3に参戦する栗本選手(チームオートスタジオスキル)の4名のライダーと、レーシングサポートを行うパワービルダー・針替さんほかメカニック数名、ピレリジャパンからはアジアパシフィック担当のレース・エンジニアのアレックス・カレフィさんと責任者の児玉さん。元世界GPライダーの八代俊二さんもアドバイザーとして参加してくださいました。

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ピレリジャパンのアジア・パシフィックエリアのレースエンジニア、アレックスさんもテストに参加。ピレリジャパンの児玉さんとともに、ライダー(写真は池上聖竜選手)の印象をヒアリングしていた。

両日ともこの布陣で、スポーツ走行と占有走行を組合わせて新しいSC2とSC1を4人のライダーにテストしてもらいました。

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テストに参加してくれたチームMoto UPのライダー(左が中谷健心選手、右が池上聖竜選手)とメカニック。昨年、Moto2に参戦した羽田大河選手(中央のパーカー姿)も参加して、若いライダーたちにアドバイスを行っていた。

ライダーはピレリらしい高いグリップ力を評価

両日とも外気温は12℃程度、路面温度も約17℃~約28℃と低めで、このコンディションではスーパーソフト相当のSC1では路面からの攻撃性が強すぎてタイヤの減りが早いということで、新開発のSC2から初日のテストを開始。ライダーのコメントを聞いてエア圧を調整しながらテストを続け、2日目の最終セッションでSC1をテストして全行程を終了しました。

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計4人のライダーが、占有走行とスポーツ走行でDIABLO™ SUPERBIKEのSC1とSC2をテストした。

今回のテストは、DIABLO™ SUPERBIKEに合わせたマシンセットをしていない状態でしたが、エンジニアの印象はセットアップが進めば今回発生していたチャタリングなども収まるのではないかということで、おおむね好印象でした。

ライダーからは他社製タイヤに比べてグリップ力の低下が少ない、トップクラスのグリップ力が魅力だが、やや安定性に欠ける感じがするというコメントが。ただ、安定性に関しては、DIABLO™ SUPERBIKEに合わせたサスセットやマシンセットが進めば解消の方向に向かうでしょう。

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初日の1回目の走行は50分の占有走行で、SC2を装着してノンストップでラップを重ねた。46周走行後のタイヤ表面は、写真のように荒れも少なくきれいだった。

また、エンジニアのアレックスさんは、軽量で電子制御がなく、パワーが少ないマシン(=NSF250)の場合、走行中のブレーキングとスロットル操作でタイヤが十分に暖まるとは限らないので、ウォーマーを外した際の温度と空気圧の管理が大型バイクと比較しても大切。ウォーマーを外したときの推奨空気圧に加えて、走行で暖まった際の推奨空気圧を各チームに十分アドバイスを伝える必要がある。今回こうしてライダー、メカニックが一堂に会して情報を共有でき、非常に有意義だった、とコメントしました。

最後に、ピレリジャパンの二輪部門の責任者である児玉さんが以下のようにまとめました。

「今回のプライベートテストはMoto3スペックのSC2と、ソフトコンパウンドのSC1における国内での使用対応性を検証するテストでした。結果には大変満足しており、全日本J-GP3レースでも勝てるスペックだということが分かりました。とりわけSC2は弊社のSUPERCORSAのように、どのようなレベルのライダーもタイムアップできる懐の深さがあり、SC1は多少の気難しさはありますが、ここぞというときのタイム出しには有効なタイヤであり、弊社のレーシングエンジニアに適切なアドバイスを貰えれば、しっかりと結果を残せるタイヤだと確信しました。

今回の手応えにより、日本でもMiniGPからJ-GP3、アジアタレントカップまたはWSSP300やR3カップ、そしてWSS600やWSBK、Moto2とオールピレリタイヤでMotoGPまでの階段を登ることができます。世界への近道であるピレリタイヤを若く将来のあるライダーたちに提供できることを誇りに思います」