今年もたくさんの方にご参加いただいたPIRELLI FUN TRACK DAY。基本は、レーシングスーツを着てサーキットを走行するサーキット走行会ですが、サーキットコースではなくパドックに特設コースを作って、ライディングの基本をしっかり教えてもらえる「やさしいバイクレッスン」も袖ヶ浦、鈴鹿ツイン、HSR九州の各会場で行っているのはご存じでしょうか?

これは、4~5年前から鈴木大五郎さんを講師に迎えて「大五郎レッスン」という名称で行っていた講習会を、昨年から「やさしいバイクレッスン」という現在の名称に変更して行っているもの。講師は各サーキットで異なりますがカリキュラムは同一で行い、毎回20名の定員が埋まるほどの人気を集めています。

今回は、鈴木大五郎さんとアシスタントのノア・セレンさんが講師となって袖ヶ浦で行っている講習を取材。どんなことを、どんな風に行っているかを、スケジュールに沿って1日を追いながら細かく説明していきます。

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袖ヶ浦フォレストレースウェイでは、BMW Motorradの公認インストラクターで、自らもBKライディングスクールを主催する鈴木大五郎さんと、フリージャーナリストのノア・セレンさんが講師を務める。

受付はゆっくり目の9時にスタート

まず、受付開始は午前9時。サーキット走行会自体の受付は午前7:10からですから、ゆっくり目に設定することで参加しやすくしています。

受付後に9:20から第1回目の座学です。

ここでは、どういう考え方をしながらバイクを走らせたらいいのか、バイクを上手にコントロールしながら走るにはどうしたらいいかという、ライディングの基本的な考え方をレクチャーします。

具体的には、バランスをどう取るか、加減速時のバイクの動きについての説明や、バイクの姿勢変化による特性の違いといった、分かっているようで実は走っているときには忘れがちな基本を大五郎さ先生が分かりやすく解説します。

この基本解説の後に、1回目の実技レッスンで行う内容の説明をします。

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大五郎先生が身振り手振りも加えながら、実技で行う内容を説明。

1回目の実技レッスンは「加速と減速」。これを1速のみで行います。

最初はブレーキをあまり使わずに、エンジンブレーキのみで速度を上手にコントロールできるように練習し、次にブレーキを足していきます。それが終わると、今度はしっかりと全開に近い加速をして、強めにブレーキング。

自分がいい位置に乗って(座って)いないと強くブレーキがかけられないということと、ブレーキレバーが握り込みやすい適正な位置にあるかの確認をするようにアドバイスをしていました。

10:20からの実技がスタートすると、それぞれが自分のタイミングで加減速を繰り返しますが、徐々に加速・減速にメリハリが加わっていくのが分かりました。単純な操作を反復練習することで、習熟度が上がりスキルもアップするのです。

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カワサキ・Z250SLで参加の沢村さんはバイク歴12年のベテランで、通勤にもバイクを使用しているそうですが、本人曰く「ヘタクソで、いまは通勤快速くらいだけど、レッスンを受けて通勤特急になろうと思います」とのこと。1速で全開にしたときは、「自分のバイクがこんな音を立てるんだと、ビックリしました」

やさしい、のわりにはかなりみっちり学びます

1回目の実技が終わると、11:30から2回目の座学が始まります。アシスタントのセレンさんが冗談めかして「やさしいという名前のわりには、スケジュールがみっちりで易しくないですよ」と言っていましたが、実際に行ってもらうこと自体は難しくないのですが、座学と実技が3回ずつあるのでスケジュールは結構タイトでした。

11:30から2回目の座学がスタート。大五郎先生が実際に加減速を行ってみてどうだったかを参加者に聞くと、10人以上が「いままでで一番強くブレーキをかけることができた」と答え、4~5人の方が「初めてABSを効かせることができました」と回答。

クローズドコースで行っているレッスンだから、普段よりも強いブレーキングや加速を安心して試せるということですね。

お昼休憩を挟んでの第2回目の実技レッスンは、「クラッチワークと低速バランス」。まず、スロットルを開けずにクラッチレバーを離すだけで発進し、それに慣れたら次は少しだけスロットル操作を加え、バランスを取りながら低速走行することで、駆動力が加わると車体が安定することを確認してもらいました。

最初はリヤブレーキだけを使用していましたが、参加者の達成具合を見ながらフロントブレーキも加えてみるなど、その日の参加者に合わせてカリキュラムを臨機応変に変更するなど、きめ細かい目配りができている印象でした。

15:00からの3回目の座学では、あらためてライディングの際の基本的考え方を説明し、先を読みながら乗ることの大事さを強調していました。

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今年4月からバイクに乗り始めた木村さんは、カワサキ・Z900RSで参加。「不安ばっかりでまだ怖いです。とくに右コーナーが苦手なので、レッスンを受けて克服したいと思います」。レッスン後は、「こんなに低速ばかりで走ることはないので、とても参考になしました。サーキット走行は楽しかった!」と語っていました。

最後はスラロームでステップワークや体重移動のレッスン

15:50からの最後の実技講習はスラローム。といっても、こちらも速度をあまり上げずに、丁寧かつリズミカルにパイロンをクリアすることを重要視。さらに、スタンディングでバイクにまたがり、ステップワークでバイクを寝かせることを学びました。

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最初はステップの上に立って、重心移動でバイクを寝かせることを体感したのち、スラロームを丁寧に小さく回ることを学ぶ。

そして、すべてのレッスンが終わった後は、レッスンを受けたときと同じウエアでサーキットの体験走行。大五郎先生とセレンさんの2グループに分けて、サーキットを数周回ってすべてのカリキュラムが終了しました。

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全カリキュラムをこなした後は、お楽しみのサーキット体験走行。ほとんどの人がサーキットを走るのは初めてで、「広い!」、「長い!」、「楽しい!」を連発していた。

終了後に大五郎先生から、「みなさん、すごく上達したと思います。バイクライフを長く安全に楽しんで、いつかまたお会いしましょう」と締めの言葉が述べられました。

終了後に参加者に感想を聞くと、「難しかったけど、とてもためになりました。こうすればいいというのが分かり、普段のライディングにも生かせそう」という声や、「午後のスラロームが楽しかった。体重移動の仕方はこれから活かせそうです。ただ、まだまだ身についていない気もしていて、座学にときの説明をしっかりメモしているので、どういう風に乗ったらいいか復習します」という非常に向上心のある方もいらっしゃいました。

最後のサーキット体験走行は、「楽しかった!」、「サーキットの広さに驚いた」と大好評。次はぜひ、レーシングスーツでサーキットを走ってみてください。

来年もこのやさしいバイクレッスンは開催予定ですから、ライディングに不安がある、なかなか上手にバイクを操れないと感じている方はぜひ参加してみてください!

(やさしいバイクレッスンの紹介動画などを掲載した、昨年公開した記事がありますのでご参考に。

https://pmfansite.com/pirelli/article/2022/0316141745.html