さぁここでDIABLOMAN からのワンポイントレッスンだ。

サーキット走行ではなぜ内圧を下げるんだ?

サーキット走行会等に参加するライダー達は、よく走行前は空気圧を下げてくださいね。
帰宅時には規定圧に戻すように入れてくださいね。

そんなアナウンスを耳にしていると思う、でもなんとなくそうしているだけで、自分はどの程度下げればいいんだろう? や、なぜ? を正確に把握していたり、状況による判断を正確に説明出来るライダーは少ないんじゃないかな?

DIABLOMAN が教えてあげよう! 一言でいえば内圧が上がり過ぎないようにするためだ。

そ、そりゃそうなんだけど……。では、なぜ最初に内圧を下げておかないとサーキットでは内圧が上がり過ぎてしまうのか?

理由は通常の一般道より速いスピードでの走行や、高負荷なブレーキング/コーナリング/立ち上がり加速でタイヤに負荷がかることでタイヤが発熱するので、内部の空気が熱膨張するからだ。

分かるかな? タイヤに負荷をかけられるライダーが乗る前提で、そのレベルにより調整して冷間時の内圧を下げておくんだ。発熱して温間時に適正な内圧になる前提で下げる量を調整しているということなんだ。ということは、きちんと荷重/加重出来て発熱させられないうちは下げ過ぎは要注意なんだ!

速いライダーと同じにしたから大丈夫……ではないんだな。

ここで、冷間/温間という言葉が出てきたが、これはそのままの意味でタイヤが走行前の冷えた状態と走行して熱が入り温まった状態を示している。そして本当に大事なのは走行中の温間時にどんな数値になっているかだ。

また、サーキットでタイヤウォーマーで温めているときの値も、例えば冬場であれば走行中のペースが遅ければ冷えて下がってしまったり、夏場であれば路面温度が高いのでさらに上昇してしまったりするし、その変化量は走行ペースやライダーのスキルによって変わってくる。だからトップレベルのカテゴリーでは事前テストで2〜3 周して戻ってきた時の内圧をチェックして、走行時の内圧が適正値で安定するように調整している。

また、連続周回が15 分なのか30 分なのかや、走行本数によっても変わってくる。内圧は常に上がり続ける訳ではなく、一定の数値まで上がると落ちつくものだが、高負荷で⻑時間走行を連続すればそれだけ上がりやすくなる。状況により、冷間時プラス0.3〜0.5bar 以上簡単に上がる可能性があるんだ。

ほかにも、ストリートでの指定圧は路面のギャップや縁石を越える際の衝撃に耐えられるように、また2人乗りした際の体重に耐えられるようにといったさまざまな理由によりマージンを取って高めに設定されているので、基本的に1人乗りで路面のギャップの少ないサーキットでは必要な内圧がストリートよりも低いという理由もある。

DIABLOMAN からのお願いだ、速いライダーやケース剛性や構造やコンパウンドの違うレーシングタイヤの内圧を真似して下げ過ぎるのは危険だから気を付けてもらいたい。

内圧の役目として、タイヤのラウンド形状であるプロファイルを維持する役目がある。内圧が低ければタイヤが潰れてハンドリングが重くなったり旋回力が落ちてしまったりするし、抵抗が大きくなり加速力も鈍くなってしまう。

極端にイメージするのが分かりやすいので、パンクして空気が抜けてしまったタイヤをイメージしてみてくれ。内圧を下げ過ぎている状態は、パンクしている状態に近づけているようなものだ。

また、内圧にはタイヤを内側から外側(路面)に押し付ける面圧でグリップさせているという役目もある。

面圧を上げるのは荷重/加重によるトラクションの側面もあるが、今回は内圧にフォーカスしている。内圧の調整はサスペンションのプリロード調整にも近い面があり、タイヤはサスペンションの一部だと考えることもできる。

構造による剛性はバネレートに通じる。なので、状況により内圧を下げ過ぎていると、実はプリロード不⾜でグリップレベルも下がっているんだ。

また、プリロードと同じようにミリ単位で前後の高さも変わってくる。特にあまりペースが速くない場合は、内圧を下げると接地面積が増えてなんか安心感があり、グリップしている気がする.が、それはそんな気がしているだけで、接地面積は増えているがその分内圧による面圧は低くなっている。同じ内圧なら接地面積が少ない方が、接地面にはより面圧がかかることになる。

内圧が低い状態でグリップしているというのはゴムのコンパウンドでのグリップに頼っているということで、タイヤの剛性や面圧は下がっている。その内圧で成り立ってしまう程度のスピードレンジでの走行だということだ。

プリロードも抜いていくと乗り心地が良くなる.が、それは遅いスピードレンジでの話で、速度域が高くなれば頼りなくなってしまう。ツアラー系の車両はふわふわしていて、スポーツ系の車両の⾜回りがカチッとしているのと同じ理由だ。もちろん、ただカチッとしていればいい訳ではなく、硬さの中にも上質なしなやかさが必要だ。

俗にいうフロントタイヤを潰して乗る、というのと内圧が低くて潰れてしまっているのは似て非なることなんだよ。

大切なのは、タイヤの内圧というのは使用環境によりそれぞれ適正値があり、

1人乗りなのかタンデムするのか、

市街地なのか標高の高いワインディングなのか、

負荷の高いサーキットでも走行会でのツーリングペースなのか

レーシングスピードなのか

連続周回はどの程度なのか、

使用しているタイヤやライダーのレベルにより適正値に収まるように調整することで最大限のパフォーマンスを発揮させることができるものなんだ。

どの程度下げるのかや、下げなくてもいいのかは、装着されているタイヤの種類やライダーのレベルや気象条件により変わるから、正しい知識がありきちんと状況判断が出来る人のアドバイスの元で行ってほしい。

ん? 気象条件により変わる? そうなんだよね、登山でポテチを持っていくと気圧の変化で袋がパンパンに膨らんでしまうのは有名な話だよね。

同様にタイヤも、麓のガソリンスタンドで調整して、ワインディングを楽しもうとお山を登って行けばパンパンにまではいかなくても、標高により内圧が上がることはあっても下がることはないんだ。

また、とくに寒い時期は冷えた路面の影響プラス最前面で冷たい風を受けるフロントタイヤは熱が入りにくく内圧が上がりにくいもので、リヤに比べてエアボリュームが少ないフロントタイヤは保温や保圧もシビアになりがちだ。

また、公道では2人乗りなども考慮してリヤのほうが指定空気圧が高い傾向だけど、サーキットではフロントを少し高い設定にすることが多い。

特に上級者はハードなブレーキングでフロントを酷使するので、内圧を下げ過ぎてしまうとタイヤが潰れすぎてしまって、フロントが腰砕けになって曲がらなくなるからね。

最近の少し高級な車には標準装備されている、TPMS という走行中の内圧や内部の空気の温度がリアルタイムでモニター出来るデバイスがある、タイヤの状態を把握するにはとても有効な装備だ。バルブごと交換するタイプと、お手軽にバルブキャップを取り換えるタイプがあり、コストが低いものもあるので、タイヤへの意識を高めるためにも装着をお薦めする。

設定した数値以上の変化でアラート機能もあるので、パンクにも一早く気付くことが出来るので安心装備としても有効だ。

タイヤのこと、もっと気にして安全で楽しいバイクライフを過ごしてくれよな!