MotoGP第2戦 ブラジルGP
3月20日〜22日/ブラジル・ゴイアニア(アウトドローモ・インテルナシオナル・アイルトン・セナ)
2026年シーズン第2戦の舞台は、世界選手権に復帰したブラジルのゴイアニアでした。週末は金曜の雨に始まり、土曜には路面トラブルの影響でスケジュールが変更。Moto2の予選は日曜朝へ延期されるなど、各陣営にとっては落ち着かないグランプリになりました。決勝日は気温約32℃、路面温度はMoto3で56℃、Moto2では58℃まで上昇し、週末で最も厳しいコンディションとなりました。
タイヤアロケーション:Moto2は選択が一本化、Moto3は幅を残した週末に
今回のゴイアニアは、高いグリップと比較的少ない摩耗が確認される一方で、気温上昇時の負荷増大や、雨のあとに路面へ持ち込まれた赤土の影響も無視できないサーキットでした。限られた走行時間のなかで、Moto2はフロントSC1とリアSC0が決勝の主軸に。Moto3はフロントSC1とSC2の両方が有力と見られ、レース距離やライダーの好みによって判断が分かれる状況でした。
予選ハイライト:Moto3はエステバンがポール、Moto2は日曜朝に決着

土曜に行われたMoto3予選では、ジョエル・エステバンが1分26秒241でポールポジションを獲得し、コースのオールタイムラップレコードも更新しました。フロントロウにはバレンティン・ペローネ、ハキム・ダニッシュが並び、上位3人はいずれもフロントSC2、リアSC1を選択していました。
一方のMoto2は、土曜の予選が日曜朝へ延期される変則進行となりました。その日曜朝の予選を制したのがダニエル・ホルガドです。Q1から勝ち上がったホルガドは、そのままポールポジションを獲得。チームメイトのダビド・アロンソが2番手、アレックス・エスクリグが3番手に入りました。
Moto3決勝:赤旗で流れが変わった一戦。キレスが再スタート後の勝負を制す

Moto3決勝は、スタート直後から目まぐるしく順位が入れ替わる展開になりました。ポールシッターのエステバンがホールショットを決めましたが、1周目の途中にはペローネとモレッリが前へ。さらにキレスが2番手まで浮上し、14番グリッドのダビド・アルマンサも早い段階で上位争いに加わります。
4周目のスタートでは、そのアルマンサがキレスをかわして先頭に立ちます。7周目にはエステバンがターン4でハイサイドを喫して後退し、レースはアルマンサとキレスを中心に進んでいきました。中盤にはこの2人が前に出て、後方ではペローネ、モレッリ、アドリアン・フェルナンデス、アルバロ・カルペらによる表彰台争いが続きます。
大きな転機は13周目でした。トップを走っていたアルマンサがターン4で転倒。さらに翌周にはスコット・オグデンも同じターン4でクラッシュし、ここで赤旗が提示されます。レースは中断され、その後は5周の短距離戦として再スタートが切られました。
再スタート後、主導権を握ったのはキレスです。ホールショットを決めると、背後ではカルペ、フェルナンデス、ピニらが激しく競り合い、その間にモレッリが浮上。さらにリスタート直後にはヘスス・リオスとマッテオ・ベルテッレの接触転倒も起きるなど、最後まで慌ただしいレースになりました。
最終ラップにはモレッリが一気に差を詰め、最終セクターではキレスの真後ろまで迫りましたが、逆転には届きませんでした。キレスが逃げ切って優勝、2位モレッリでアスパー勢のワンツー。3位にはベダ・プラタマが入り、本人にとって初表彰台、さらにインドネシア勢としてもグランプリ全クラスを通じて初の表彰台という記録を打ち立てました。

タイヤ選択を見ると、最初のスタートではフロントSC2が21人、リアはSC1が13人・SC2が12人と拮抗していました。ところが5周の再スタートでは、フロントSC1が15人、リアSC1が21人と、一気にソフト寄りへシフトします。ただし、優勝したキレスはフロントSC2、リアSC1を選択しており、短距離戦でも判断が一色に染まったわけではありませんでした。
Moto2決勝:ホルガドが終盤の攻防を制し、今季初勝利
Moto2決勝は、序盤から順位変動の多いレースになりました。ホールショットを奪ったのはエスクリグ。そこへ11番グリッドのダビド・ムニョスが一気に2番手まで上がり、2周目のターン6でトップに浮上します。しかし3周目にはホルガドが2番手へ進出し、その半周後にはムニョスをかわして先頭を奪いました。

6周目の時点で、ホルガド、ムニョス、エスクリグ、アロンソ、マヌエル・ゴンサレスの5台が後続を1秒以上引き離し、勝負はこの先頭集団に絞られます。10周目にはゴンサレスがアロンソをかわして4番手へ浮上し、表彰台争いも徐々に絞られていきました。
終盤はホルガドとムニョスの一騎打ちです。残り2周半でムニョスがいったん前に出て勝負を動かしましたが、ホルガドはすぐ次のストレートで抜き返し、再びリードを奪回。そのまま最後まで逃げ切り、今季初勝利を挙げました。2位はムニョス、3位は最終ラップのターン4でエスクリグをかわしたゴンサレスでした。

Moto2で特徴的だったのは、全ライダーがフロントSC1、リアSC0を選択していたことです。決勝時の路面温度は58℃に達しましたが、全車が同じ組み合わせでレース距離を走り切り、終盤の接戦まで含めて安定したパフォーマンスを示しました。ホルガドの優勝を支えたのは、レース運びの巧さだけでなく、この週末でもっとも信頼されたパッケージの安定感でもありました。
テクニカルまとめ:高温のゴイアニアで問われた適応力
今回のブラジルGPは、タイヤの話だけで語れるレースではありませんでした。Moto3は赤旗によって24周の決勝が5周のスプリントに変わり、判断の軸そのものが変化。Moto2は逆に、全員が同じタイヤを選んだうえで、レースの組み立て方と終盤の勝負が差を生んだ一戦でした。クラスごとに展開は大きく異なりましたが、どちらにも共通していたのは、変化の多い条件のなかでタイヤに高い適応力が求められたことです。
ピレリは週末を通じて、ゴイアニアの路面が高グリップかつ低摩耗の傾向を示した一方、雨後の赤土や高温化が重要な変数になったと総括しています。決勝日が最も暑い一日になったなかでも、Moto2では全車が同じ選択肢を共有し、Moto3では再スタートに応じて選択が変化しました。今回のブラジルGPは、タイヤ戦略がレース展開としっかり結びついた週末だったと言えます。
次戦:アメリカズGP
次戦は、翌週末のアメリカズGPです。ブラジルで見られた高グリップ・低摩耗の傾向が、オースティンではそのまま通用するとは限りません。ゴイアニアで難しい週末をまとめ切った各陣営が、次の舞台でどんな対応を見せるのかにも注目したいところです。





