写真:Pirelli
テキスト:伊藤英里

MotoGP第5戦フランスGP
5月10日~12日/ル・マン-ブガッティ・サーキット

Moto2:小椋藍、今季初、チーム移籍後初の表彰台獲得に笑顔

小椋藍(MTヘルメット – MSI)は、Moto2クラスの決勝レースを6列目17番手で迎えていました。土曜日の予選Q2中、1回目のアタックを終えてピットインをした際にトラブルがあり、2回目のアタックができないまま予選が終了してしまったからです。前戦スペインGPも同じく17番手スタートから大きくポジションを上げて6位で終えているとはいえ、表彰台圏内に到達するのは厳しいかと思われました。

そんな状況の中、小椋はコンスタントに順位を上げ、レース終盤に上位のライダーをとらえます。そして、2位でチェッカーを受けたのです。序盤から終盤までペースがほとんど落ちなかったこと。それが、表彰台を獲得できた要因でした。

「ひたすら全力で走っていました。何かをしたり、考えたりする余裕はなかったです」と、小椋はレース後の会見で笑顔を浮かべました。

「正直言って、今日は表彰台を獲得できるとは思っていませんでした。ボク自身もうれしいし、チームにとってもうれしく思います。(今季最初の表彰台が)ル・マンだとは思わなかったです。シーズン序盤のどこで獲るかといったら、アメリカズかヘレス(スペインGP)だと思っていたから」

「予選でフロントロウやポール(ポジション)、決勝レースでの表彰台や優勝がないと、シーズンが始まらない。いいレースをして5位、6位じゃなく、いいレースで2位表彰台だったので、よかったです。それに、チームもワン・ツーフィニッシュ。2位でもうれしいものはうれしいですから。いい日になりました」

小椋は喜びをそう表現しました。MTヘルメット – MSIは優勝したガルシアと小椋によって、ワン・ツーフィニッシュを果たしています。

小椋藍の走行写真
17番手スタートから2位を獲得した小椋(#79)。2024年シーズン、ついに表彰台に上がった

同じくMoto2クラスに参戦する佐々木歩夢(ヤマハVR46マスターキャンプ・チーム)は、フランスGPが復帰戦となりました。アメリカズGPは両腕の腕上がりの手術のために欠場して、スペインGPは土曜日午前中のプラクティス2の転倒により、決勝レースを走ることができなかったからです。

佐々木は23番手から決勝レースをスタートし、22位でMoto2では初めての完走を果たしました。Moto2マシンへの順応も徐々に進んでいます。

「今日のレースは完走を目指しました。ここがスタートだと思うので、少しずつ前に進めるように、頑張っていきます」

Moto3:山中琉聖が日本人最上位の7位でゴール

Moto3クラスは、山中琉聖(MTヘルメット – MSI)の7位が、日本人ライダー最上位でした。

10番手から決勝レースをスタートした山中は、スタート直後の3コーナーで他のライダーと接触しそうになり、はらんだことでポジションを落とします。レース中盤にはトップとほぼ差のない6番手に浮上し、最終ラップを5番手で迎えました。今大会は、優勝、表彰台争いも最終ラップまで混戦となり、その中で争った山中は7位でゴールしました。

「(最終ラップは)3コーナーで1台に抜かれて、そこからリズムが崩れてしまいました。6コーナーでもはらんでしまって。そこで2つ順位を落としてしまったのは、完全に自分のミスです。前回もミスからトップグループと離れてしまいましたし、今回もそのミスで順位を落としてしまいました。次戦はミスなく、毎周的確な走りをしたいです」

9位でゴールしたのは、鈴木竜生(リキモリ・ハスクバーナ・インタクトGP)です。

「スタートでミスしてしまって、思うように序盤で順位を上げることができませんでした。なんとか第2集団の前に出て第1集団を追いかけたけど、追いついたのが残り3周で、最後に順位を上げることができずに終わってしまいました」

ただ、不運な出来事によりノーポイントで終わった前回から、トップ10に戻ってきた今回の結果に、満足とは言えないものの納得のレースにはなった、ということです。

古里太陽(ホンダ・チームアジア)はレース中盤にロングラップ・ペナルティ(※)を課されて後退します。ペースは悪くなかったものの、このペナルティが響いて14位でした。

「スタートで11番手くらいまでポジションを上げたのですが、途中のバトルで抜こうとしたときにぶつかりそうになって、コースをショートカットしてしまいポジションを落としたのですが、ロングラップ・ペナルティを課されてしまって。1回目のロングラップ・ペナルティを消化したときにホワイトラインに触れてしまい、それで2回目のペナルティを課されたんです」

予選、決勝ともにチーム、ライダーにミスが発生したウイークでした。ただ、「フィーリングとしてはよくなっているので、ミスがなければいいウイークになっていくんじゃないかと思います」と、次戦に期待を込めました。

MotoGP第6戦カタルーニャGPは、スペインのバルセロナ‐カタロニア・サーキットで、5月24日から26日に行われます。

※ロングラップ・ペナルティ… レース中、コース外側に設定された特定のエリアを通過しなければならないペナルティ。通常のコースよりも大回りとなるため、ペナルティを消化すると数秒ロスのラップタイムとなる。このペナルティを消化する際に白線に触れると、正しく消化されなかったとして、再度、ペナルティ消化を行わなければならない。