写真:Pirelli
テキスト:伊藤英里

MotoGP第4戦スペインGP
4月26日~28日/ヘレス・サーキット‐アンヘル・ニエト

Moto2:小椋藍選手、17番手から6位でゴールも表情は晴れず

小椋藍(MTヘルメット – MSI)は、初日プラクティス1を5番手でスペインGPをスタートしました。5番手というポジションでしたが、セッション後の小椋の表情は明るいものではありませんでした。「あまり感触がよくない」と言うのです。ただ、改善に向けた方向性は見えている、とも語っていました。

しかし、土曜日の天候が日曜日の決勝レースに向けた調整に影響しました。土曜日の夜から午前中にかけて、雨が降ったのです。このため、午前中のプラクティス2はウエットコンディションでの走行となりました。日曜日はドライコンディションが予想されていただけに、金曜日からの改善を進めることが難しいコンディションだったのです。午後には雨が上がり、路面も乾いていきましたが、ウエットパッチが残っていました。いつもとは違うラインで走る状況に苦しんだ小椋は、予選で17番手に沈みます。

決勝レースでは徐々にポジションを上げ、前のライダー数名が転倒したこともあって、6位でゴールした小椋は「自分のペースで走り切っただけ」と言い切ります。その結果が6位だっただけ、と。晴れない表情が、得意なサーキットであるヘレスの週末への悔しさを物語っていました。

同じくMoto2クラスに参戦する佐々木歩夢(ヤマハVR46マスターキャンプ・チーム)は、ポルトガルGP直後に受けた両腕の腕上がりの手術によりアメリカズGPを欠場しており、スペインGPは復帰戦となるはずでした。

初日プラクティス1では18番手。トップとの差も1秒まで縮まり、Moto2マシンへの適合が進んでいることを窺わせます。実際に、金曜日を終えた佐々木は、とても前向きでした。

「ヘレスは(開幕前に)テストをしたサーキットなので、楽にウイークに入れました。5週間もMoto2のバイクに乗っていなかったから、午前中のフリープラクティスではフィーリングがあまりよくなかったし、しっかり走れていなかったけど、午後のプラクティス1はすごくいいフィーリングで走れて、バイクのセットアップもすごくよくなったんです。朝よりもワンステップ踏めた感じがあるので、自信につながりました」

しかし、雨のセッションとなった土曜日午前中のプラクティス2で、9コーナー立ち上がりで転倒を喫してしまいます。その後、頭を打っていた影響により病院で検査を受け、転倒から72時間、出走不可の診断を受けました。このため、佐々木は日曜日のレースを欠場となりました。ただ、次戦フランスGPには参戦する見込みです。

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Moto2クラス決勝レースで優勝したフェルミン・アルデグエル(中央)、2位のジョー・ロバーツ(左)、3位のマヌエル・ゴンザレス(右)

Moto3:山中琉聖が2戦連続の4位フィニッシュ

予選で5番手を獲得した山中琉聖(MTヘルメット – MSI)は、2列目から決勝レースを迎えました。ヘレスは開幕前にテストが行われたサーキットで、山中はそのときすでに、いいフィーリングを持っていました。Q2から挑んだ土曜日の予選では、午前中まで降った雨が天候の回復とともに路面が乾いていく難しいコンディションとなったものの、フロントロウ(1列目)まであと0.15秒ほどに迫るタイムでした。

「(ポールポジションスタートのダビド・)アロンソがすごく速いので、いかに逃げられるのを防ぐのかが大事なポイントだと思います。(アロンソが)序盤から攻めていくと思うので、それについていきたいなと思います」

決勝レースでは、山中が語っていたような展開となりました。序盤から表彰台を狙える位置で周回を重ねたのです。アロンソが転倒を喫したあとトップに立ったコリン・ベイヤーが先行して後続を引き離し、山中は2番手集団のなかでの走行となりました。ただ、集団にはついていけるものの、そのなかで上位に浮上はできず、次第に3番手のライダーから離されていったのでした。

「ミッションをロング気味にしてしまい、それでちょっと難しいレースになってしまいました。また、小さなミスをひとつして、そこから前と離れてしまったんです。ただ、まだ表彰台を獲得するにはペースも足りていなかった。そこに取り組んでいかないといけないかな、と思っています」

山中選手はアメリカズGPに続く4位獲得です。表彰台が見える位置でのゴールが続いただけに、山中選手が口にしていたのは反省点でした。表彰台獲得に向け、レースペースを上げることを課題として、スペインGPを締めくくりました。

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表彰台に近い位置にいたが、ギヤがロング気味だったことが山中(#6)を苦しめた。ペースも足りなかった。次戦に向け改善を目指す

また、古里太陽(ホンダ・チームアジア)は17位、鈴木竜生選手(リキモリ・ハスクバーナ・インタクトGP)は25位でした。

21番手からスタートした古里はレース中盤まで12、13番手争いを展開していましたが、終盤にソフトタイヤがもたず、後退しました。レース後、古里選手はタイヤ選択のミスだったと認めています。

「最終的に左側のタイヤが終わってしまいました。思っていたよりペースもよかったし、途中までは自分のなかで悪くないレースだったのですが、最後、厳しい展開で終わってしまいました。(4月30日に)テストがあるので、タイヤをもたせるセッティングを探せたらいいな、と思います」

鈴木選手は9番手からのスタートで、シーズン開幕から徐々に調子を上げている様子が窺えた週末でしたが、トラブルによってレース中のピットインと最後尾への後退を余儀なくされました。不運にもハンドルのすきまに物が挟まってしまったのです。ただ、そのアンラッキーを除けば、ポジティブなレースウイークだったと、どこかさっぱりとした表情で語りました。

「ハンドルが切れずに動かなくて、ピットに入ったら、何かが挟まっていたんです。それを取って、再スタートしました。スタート直後からちゃんと順位を上げて、タイヤもいたわりながら走っていたので、結果はともかく、ポジティブなウイークでした。(トラブルは)誰のせいでもないですから」

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Moto3クラスで優勝したコリン・ベイヤー(中央)、2位のダビド・ムニョス(左)、3位のイバン・オルトラ(右)

MotoGP第5戦フランスGPは、フランスのル・マン-ブガッティ・サーキット、5月10日から12日に行われます。