「悪魔のようなグリップ」とウエット性能を高いレベルで実現したDIABLO ROSSO™ Ⅳ CORSA。そのコンパウンドは、「革新的」という言葉が使われているほど、ピレリの最新のテクノロジーがふんだんに盛り込まれています。
まず3分割構造のフロントタイヤは、センター部分に迅速なウォームアップが可能な低Tgフルシリカを用いることで、ドライとウエットの両方で高いケミカルグリップ力に加え、高速安定性と高い耐摩耗性も実現しています。
このハードセンターコンパウンドは、DIABLO ROSSO™ Ⅳの33%に対し45%と面積が増していますが、これは実験の結果、リヤタイヤとの組み合わせによってこの配分がベストとなったためです。
ドライグリップは、単純にソフトなハイグリップコンパウンドのほうがグリップ力が高いとはならないところがあって、複数のコンパウンドとタイヤ内部の構造が組合されてより高い性能、強いグリップを実現するわけです。いわゆる、組合せの妙というやつですね。
そして、両サイドに用いられているのは、温度が高くなるほど粘性が高くなり、フルバンク時にタイヤ内圧が上がって内部温度が高まるほどグリップ力を増す、高融点樹脂を採用したフルシリカのソフトコンパウンド。
これによりDIABLO ROSSO™ Ⅳよりも浅いリーン角(35度→25度)から有効なグリップ力を発揮してくれ、そしてもちろん、リーン角が深くなればなるほどグリップ力が高まってくれます。
リヤのショルダーコンパウンドはレーシング由来
そしてフロントと同じく3分割構造のリヤタイヤは、センター部分にミディアムコンパウンドを採用。フロント同様に高融点樹脂を採用したフルシリカで、クイックウォームアップ性能と、安全なウエットグリップを実現しています。
こちらもフロントと同じく、センターコンパウンドの面積が25%→40%と増加していますが、こうすることでセンターとショルダー部分のつなぎ目の偏摩耗を防いでいるのです。
そして、両サイドに用いられているのは「悪魔のような」究極のコーナリンググリップを発揮するカーボンブラックコンパウンド。WSBKレース由来のコンパウンドで、レーシングライクなライディングを可能にしています。
このため、サーキット走行などでは空気圧を下げてもしっかり対応してくれます。
また、リーン角に関しても、DIABLO ROSSO™ Ⅳよりも浅めな25度以上から強力なグリップを発揮してくれます。
さらに、DIABLO ROSSO™ Ⅳ CORSAにはまったく新しい特許技術が採用されています。
これまでのキャップ&ベース(センターの低Tgのフルシリカハードコンパウンドが、サイドのコンパウンドの下まで回り込んで、迅速なウォームアップを促す構造)に代わって、ABC(Adaptive Base Compound)というテクノロジーが用いられています。
これは、フルカーボンの特別なベースラバーコンパウンド(下の図のオレンジ色部分)を下層に配置することにより熱安定性と接地感を高めるもので、温度が高いときはサイドコンパウンドに近い柔軟性に変化してエッジグリップを安定させ、温度が低いときはセンターコンパウンドに近い柔軟性に変化して、センターコンパウンドの熱をサイドに配分する役目を果たし、低温時のウォームアップをサポートするというものです。
つまり、タイヤ温度が低いときでも高いときでも、常にタイヤ全体に安定した熱配分を行って、タイヤが持つ本来の性能をフルに発揮させるのです。
特別なカーボンブラックのコンパウンド(図のオレンジ色部分)を、センター、サイドのコンパウンドの下層に敷くことで、常に高い安定性を発揮して、タイヤ本来の性能を温度にかかわらず発揮させるのが特許技術のABCだ。まったく新しいテクノロジーによって、外気温の影響を受けることなく、常にタイヤ本来の性能を発揮できるタイヤ温度を獲得してそれを維持するという、まさに画期的な技術。この技術も加わって、スーパーコルサに匹敵する「悪魔のグリップ」と、高いウエット性能を両立しているというわけです。
200馬力を超えるスーパーバイクや、ハイパーネイキッドが多数存在する現在、DIABLO ROSSO™ Ⅳ CORSAは公道でもスポーティに走りたいライダーにとってこれ以上ないタイヤに仕上げられているのです。