タイヤが車両の完成度を左右する!?
モーターサイクルは移動をする道具でありながら、点から点への移動そのものを楽しむために注力したプロダクトです。それはマシンキャラクターによって、開発の方向性を定め、目的にあったエンジンのフィーリングやパワーの出方、ブレーキを掛けたときの減速の仕草、コーナリングする時に広がる心の充実感等々1台に仕立てるために多くの手が加えられていきます。
加工素材からできる工業製品でありながらまるで感情を持つ生き物であるかのような仕上がりが求められるのは言うまでもありません。そうした構成部品の中でタイヤが占めるファクターが大きいのをご存じでしょうか。
加減速の操作を含め前後のタイヤが路面と接するわずかな面積で伝達され、その感触をライダーが不安なく感じること。それが走る楽しさの源泉になります。目指した性能目標、走りのフィーリングにマッチするタイヤを造ることはとても大切なことなのです。
標準装備される部品のことをOEM(オリジナル・エクイップメント・マニファクチャリング)と呼びます。タイヤで言えば、新車時装着タイヤがそれで、相性の良いタイヤだと言えるでしょう。
メーカーとの共同開発によって高い性能を発揮
ピレリはOEMタイヤを車両メーカーと共同で作り上げることも得意としています。ピレリタイヤの開発は徹底した実走テストの上に成り立っています。タイヤの新機種開発などで走るテスト総距離が年間100万キロになることも。
それなばかりか、すでに開発され販売がされているタイヤでも、生産拠点をヨーロッパに加え、アジアでも生産を開始する、というプレミアムクラス向けスポーツツーリングラジアルの生産に先立ち、タイヤ素材のサプライヤーが変われば、乗り味も変わる、とばかりに、その性能評価のために年間テストに匹敵するテスト走行距離を確認したこともあります。
ピレリのポリシーと技術力
どこで誰が作るかでは無く、ピレリが出すタイヤは常に同じクオリティである。というポリシーのもとそれは行われたと言います。
シミュレーター技術を駆使しながらも、最後は人の「感覚」でしっかり作り込む。
ピレリは様々なシチュエーションを備えたテストコースを本社があるミラノ郊外に持つのはもちろん、そのテストコースと全く同じレイアウト、路面を持ったテストコースをブラジルにも造り、月曜日に真冬のミラノでテストしたタイヤとバイクをその週のうちに真夏の南半球で行うのもテストメニューの一つ。
また、通年走行ができるイタリア南部の一般道でテストを繰り返します。乗り手の体調、気分、気候、気温、標高、風、雨の影響で変わる路面コンディション。全く同じ日はない。そんな不特定要素の中を走り込みタイヤのチューニングを仕上げていくのです。
実走テストにより経験豊富なテストライダー達のコメントは、タイヤ作りのみならず、機種開発される車両メーカーまでフィードバックされ、大きな信頼を得ています。それだけに、OEMタイヤとしてピレリを選ぶブランドが多いのが特徴です。
多くのメーカーに選ばれている
現在、ドゥカティではOEM装着されるタイヤは、全車ピレリを採用するほか、BMW、KTM、アプリリア、MVアグスタなどのプレステージモデルやスーパースポーツモデルに採用されるほか、ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの日本ブランドのプレミアムモデルやスーパースポーツバイクの中には、開発段階からタイヤサプライヤーとして開発を共働することも。
電動モーターサイクルを送り出すゼロ・モーターサイクルズもピレリをOEM装着するブランドの一つです。
つまりピレリ製品は、私達がまだ見ぬ未知のモーターサイクルが求める高い性能を満たしたタイヤであり、車両メーカーの高い要求を満たすタイヤとして市場に投入される、というわけなのです。