タイヤはどれを見ても黒い色をしています。エッ、タイヤは黒くて当然で、何をいまさらと思われるかも知れませんが、ではなぜタイヤは黒いのでしょうか? 元のゴムが黒いから、そう思われてるかも知れません。

実はタイヤが黒くなったのは120年前。
それまでタイヤのゴムは、天然ゴムの色のアメ色でした。当初は柔らかくベタベタした天然ゴムのままに近く、凹んだら元に戻らないクッション材に過ぎなかったのです。

ゴムは人類初のプラスチック

ところで、そもそも人類とゴムの関係はとても古く、15世紀に探検家のコロンブスはインディオが遥か昔から壷や靴にボールなど、ゴムを熱することでつくっていたのを発見、この人類初のプラスチックの応用で様々な工業製品がつくられるようになりました。

中でも大きな変革期となったのが、まず1840年頃に硫黄を加えることで弾力、つまり凹んでも元に戻る特性が得られることを発見、そしてその半世紀後にカーボンブラックを加えることで、ゴムが大きな重量や圧力に耐える頑丈さを得たのです。

タイヤが黒いのは、開発される進化の過程で大事な素材のひとつとして加えられた結果であり、着色したのでもありません。

他の化合物を含んでも黒一色に

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カーボンブラックは、物凄く大雑把に表現すると煤(スス)のような微粒子で、その細かさは舞い上がると煙に見えるほど。これがゴムの分子と結合することで、外気のイオンなどによる変質を抑え、性能を一定時間保つ重要な役割を担っています

もちろんタイヤには硫黄や酸化亜鉛など様々な特性を得るために他の原材料も加わりますが、近年ではシリカと呼ばれる白い二酸化ケイ素が転がり抵抗を減らしたり、ウエット特性を得るために配合されることが多くなりました。
しかしどれだけ他の成分が増えようと、少しでもカーボンブラックが添加されるとタイヤは真っ黒になります。プリンターなどでも、黒は染めるチカラが強いのはご存じのとおり。以前に較べれば配合量はグッと控えめなのですが、タイヤは黒いという皆さんの意識が変わることはなさそうです。