2026年Moto2/Moto3世界選手権第19戦マレーシアGPが、10月30日から11月1日にかけてセパン・インターナショナル・サーキットで開催されました。Moto2ではダビド・アロンソが今季2勝目を挙げ、Moto3ではすでに世界王者を決めているマキシモ・キレスがシーズン11勝目を達成。両クラスで決勝ラップレコードが更新されるなど、厳しい暑さの中で高いパフォーマンスが発揮された大会となりました。
前戦オーストラリアGPでは悪天候によりMoto2/Moto3の決勝が中止となったため、約3週間ぶりのレースとなった両クラス。Moto2ではタイトル争いがさらに接近する一方、Moto3では日本の三谷然が初ポイントを獲得するなど、シーズン終盤に向けて注目の展開が続いています。
目次
Moto2:アロンソが今季2勝目、アスパルが1・2フィニッシュ
Moto2決勝は17周で争われ、4番グリッドからスタートしたダビド・アロンソ(CFMOTO RCB Aspar Team)が今季2勝目を挙げました。ポールポジションのダニエル・オルガドがスタートから先頭に立ちましたが、アロンソは2周目にアンヘル・ピケラスをかわして2番手に浮上。6周目の4コーナーでチームメイトのオルガドを抜き、レースの主導権を握りました。
アロンソは9周目には約1.1秒のリードを築き、その後も安定したペースで周回を重ねます。しかし、残り3周余りとなった14周目の14コーナーでリアタイヤが大きく滑り、転倒寸前の場面に見舞われました。一時はオルガドに差を詰められたものの、すぐにペースを立て直して再びリードを拡大。最終的には1.932秒差でチェッカーを受け、オランダGP以来となる優勝を飾りました。
2位にはオルガドが入り、CFMOTO RCB Aspar Teamが1・2フィニッシュを達成。3位のアンヘル・ピケラス(QJMOTOR – MSI)は、負傷にも苦しんだMoto2参戦初年度に、クラス初の表彰台を獲得しています。
一方、チャンピオン争いではイサン・グエバラ(BLU CRU Pramac Yamaha Moto2)が4位、ポイントリーダーのマヌエル・ゴンサレス(Liqui Moly Dynavolt Intact GP)が5位でフィニッシュ。両者のポイント差は5.5から3.5に縮まり、残り3戦でのタイトル争いは一段と接近しました。
Moto3:王者キレスが独走で今季11勝目、地元ダニッシュは惜しくも4位
Moto3では、ポールポジションからスタートしたマキシモ・キレス(CFMOTO Gaviota Aspar Team)が15周の決勝を制しました。序盤はダビド・アルマンサやアルバロ・カルペらと先頭争いを繰り広げましたが、レース中盤に入ると後続との差を広げ始め、7周目には集団から抜け出す展開に。終盤もペースを落とすことなくリードを維持し、2位以下に3秒以上の差をつけてチェッカーを受けました。
第17戦インドネシアGPで世界タイトルを獲得したキレスにとって、今回は王者として迎えた初めての決勝レース。今季11勝目は、1997年にバレンティーノ・ロッシが軽量級で記録した年間勝利数に並ぶもので、圧倒的な強さを改めて印象づけました。
その一方で、2位以下の争いは最終ラップまで激しく続きました。インドネシアのベダ・プラタマ(Honda Team Asia)が2位を獲得し、アルバロ・カルペ(Red Bull KTM Ajo)が3位で表彰台を確保。地元マレーシアのハキム・ダニッシュ(AEON Credit – MT Helmets – MSI)は、予選3番手からスタートして表彰台争いに加わり、レース中には2番手まで浮上する場面もありました。
最終コーナーでもカルペに勝負を仕掛けたダニッシュでしたが、わずかに届かず4位でフィニッシュ。母国GPでの初表彰台は逃したものの、最後まで続いた接戦が地元ファンを沸かせました。
日本人ライダー:三谷然がMoto3初ポイント、山中琉聖は11位
日本勢ではMoto3の山中琉聖(AEON Credit – MT Helmets – MSI)が15番グリッドから11位まで追い上げ、ポイントを獲得しました。第16戦日本GPで今季最高の8位に入った山中は、今回も着実に順位を上げ、ポイント圏内でレースを終えています。
同じくMoto3に参戦する三谷然(Honda Team Asia)は、19番グリッドから6つポジションを上げて13位でフィニッシュ。今季初のポイント獲得とともに、世界選手権での自己最高位を更新しました。シーズン終盤に得たこの結果は、今後のレースに向けても貴重な一歩となります。
一方、Moto2の日本勢は厳しい結果となりました。前年のマレーシアGPでMoto3初優勝を飾った古里太陽(Honda Team Asia)は、15番グリッドからスタートしましたが、9周目の15コーナーで転倒。佐々木歩夢(RW Racing GP)も16番手を走行していた11周目に同じ15コーナーで転倒し、ともにリタイアに終わっています。
ピレリタイヤ:高温・高摩耗のセパンでグリップと耐摩耗性を両立
セパンは高温多湿の気候と粗いアスファルトにより、タイヤの摩耗が進みやすい一方、十分なグリップを得ることも容易ではないサーキットです。今回のMoto2決勝では気温35℃、路面温度53℃に達し、レースを通じた性能の安定性が問われました。
Moto2のリアには標準仕様のソフトSC0と、開発仕様のスーパーソフト「F0192」が用意されました。F0192は標準仕様のSCXと同じ構造を採用しながら、新たなコンパウンドによって耐摩耗性と性能の一貫性を高めることを目指したタイヤで、今季のスペインGP(ヘレス)でも使用されています。比較走行ではSC0を上回るグリップを示し、決勝では全ライダーがフロントにソフトSC1、リアにF0192を選択。17周を通じて安定した性能を発揮したとピレリは評価しています。
Moto3にはフロント・リアともにソフトSC1とミディアムSC2が供給されました。決勝ではフロントにSC2を選ぶライダーが多く、リアは両仕様で選択がほぼ二分。優勝したキレスはSC2、2位のプラタマと3位のカルペはSC1をリアに使用し、異なるコンパウンドで表彰台を獲得しています。
両クラスでは決勝ラップレコードも更新され、Moto2ではアロンソが2周目に2分04秒422を記録し、前年のジェイク・ディクソンの記録を約0.1秒短縮。Moto3でもカルペが3周目に2分10秒967をマークし、2024年のダビド・アロンソの記録を0.080秒更新しました。高い路面温度と摩耗性の厳しい条件下で残されたこれらの記録は、ピレリタイヤのパフォーマンスを示す結果となりました。
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