2026年シーズン開幕:ブレガが圧倒的なハットトリックを達成
2026年のFIMスーパーバイク世界選手権(WorldSBK)シーズンが、例年どおりオーストラリアのフィリップ・アイランド・サーキットで開幕しました。開幕ラウンドを象徴する存在となったのはやはりニコロ・ブレガ(ドゥカティ)。週末を通じて高い競争力を示し、見事なハットトリックを達成しました。
ブレガは全セッションを通して安定して上位ペースを維持。ドライで行われたレース1とスーパーポール・レースではスリックタイヤで勝利し、雨となったレース2ではレインタイヤで優勝を飾りました。コンディションの変化に左右されない総合力が際立つ開幕戦となりました。
ドライコンディションの戦いと精緻なタイヤ戦略(レース1 & スーパーポール・レース)
レース1:ドゥカティ勢の表彰台独占
気温22度、路面温度45度のコンディションで行われたレース1では、ブレガがポールポジションからスタートし、レース全体をコントロールして優勝。2位にヤリ・モンテッラ、3位にロレンツォ・バルダッサーリが入り、ドゥカティ勢が表彰台を独占しました。

ドライの全セッションおよびレースにおいて、フロントタイヤは全ライダーがソフトコンパウンド「SC1」を選択。一方、リアタイヤは、ライダーごとのフィーリングや求める挙動に応じて選択が分かれる展開となりました。
- ブレガは、昨年すでにテストしていたミディアムコンパウンドの「D0922」仕様を選択。3位のバルダッサーリも同じ「D0922」を使用。
- 2位のモンテッラは、新仕様の「E0829」を選択。
なお、レース前の予選では、多くのライダーが開発用ソリューション「E0125」を選択しました。このタイヤはフリー走行およびスーパーポール・セッション限定で提供される仕様で、標準ソフトと同じコンパウンドを採用しながら、レース距離には柔らかすぎる特性を持つため、最大3周のフライングラップ向け、いわば「タイムアタック専用タイヤ」として使用されました。レースで主流となった2種類のミディアムコンパウンドを上回るグリップで、ラップタイム向上に貢献しています。
スーパーポール・レース:雨粒を跳ね返す驚異のペース
スーパーポール・レースでもブレガの速さは際立ち、ビモータ勢のアクセル・バッサーニ(2位)、アレックス・ロウズ(3位)を抑えて勝利。このレースでもブレガはレース1と同じD0922仕様を選択し、ビモータの2台はE0829仕様を使用しました。
特筆すべきは、ブレガが7周目に記録した1分28秒688のファステストラップです。終盤にわずかな雨粒が落ちる状況下でも高いレースペースを維持し、2025年の同レースと比較して2.7秒速いペースを示しました。タイヤ性能と車体セットアップ、そしてライダーのパフォーマンスが高い次元で噛み合ったことを示す内容と言えます。

ウェットコンディションでの圧倒的な強さ(レース2)
気温21度、路面温度22度のウェットコンディションとなったレース2では、全ライダーが「DIABLO Rain(レイン)」タイヤを装着してスタートしました。こうした条件でもブレガは高い再現性を発揮し、ドライで示した競争力をウェットでもそのまま結果につなげます。
2位アクセル・バッサーニ(ビモータ)、3位アルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)に11秒以上の差をつけて優勝。開幕ラウンドでの完全制覇を達成し、2026年シーズンに向けて強いメッセージを残しました。

WorldSSP(スーパースポーツ):スリックかレインか、究極の戦略戦
レース1:マシアのポール・トゥ・ウィン
WorldSSPレース1では、ジャウメ・マシア(ドゥカティ)がポールポジションからスタートし、そのまま勝利。2位は同じくドゥカティのフィリップ・エッテル、3位にはオーストラリアの二世ライダー、オリ・ベイリス(トライアンフ)が続きました。
- リアタイヤ: WorldSBKでも使用されるサイズ200/65のミディアムコンパウンド開発仕様「D0922」が、実質的に一択のソリューションとなりました。
- フロントタイヤ: 標準サイズ「120/70」と、スーパーバイクで使用される大径の「125/70」の2種類から選択可能。優勝したマシアを含むグリッドの約3分の2が「125/70」を採用し、エッテルを含む10名が標準サイズのSC1を選択しました。
同一カテゴリー内でも、コース特性やライダーの好みに応じてフロントサイズ選択が分かれた点は、非常に興味深いトピックとなりました。

レース2:アレナスのスリックタイヤ・ギャンブル
続くレース2は、コンディション変化が勝敗を大きく左右する波乱の展開となりました。優勝はアルベルト・アレナス(ヤマハ)、2位は最後尾グリッドから追い上げたアルディ・マヘンドラ(ヤマハ)、3位はマッテオ・フェラーリ(ドゥカティ)、4位はアンドレア・ジョンビーニ(MVアグスタ)でした。
最大の焦点となったのはスタート時のタイヤ選択です。ウェットレースにもかかわらず、上位4名とドミニク・エガーター(カワサキ)の計5名だけが、スタート時からスリックタイヤを選択。ほかのライダーがウェットタイヤを履く中、路面は急速に乾き、数周後にはスリック勢が明確なアドバンテージを得る展開となりました。
結果として、ウェットタイヤ組はスリックへ交換するためのピットインを余儀なくされました。なお、シャビ・カルデルス(ヤマハ)のみがピットインを行わず、ウェットタイヤのまま走り切るという独自の戦略を採用しました。タイヤ戦略の判断が、リザルトに直結したレースと言えるでしょう。

ピレリ・モータースポーツ・ディレクターの総括
週末の全セッションを終え、ピレリのモーターサイクル・レーシング・ディレクター、ジョルジオ・バルビエは、ドライ/ウェット両コンディションでのタイヤパフォーマンスに高い満足感を示しました。
バルビエは、「このオーストラリアでの週末では、ドライタイヤとウェットタイヤの両方が活躍し、そのどちらにも満足している」とコメント。レース1とスーパーポール・レースでは、DIABLO Superbikeのミディアムコンパウンド開発仕様リアタイヤ(D0922、E0829)の両方が優れた性能を発揮し、表彰台ライダーの選択が分かれたこと自体が、その有効性を示していると強調しました。
また、レース2で使用されたDIABLO Rainについても、使用機会は多くないものの、フィリップ・アイランドのような負荷の高いトラックにおいて安定した性能を発揮し、雨天レースでライダーを支えたと評価しています。
さらに、波乱となったスーパースポーツクラスのレース2にも触れ、「ウェットレースにもかかわらず、最初からスリックを選んだライダーたちが優位に立った。よく言われるように、幸運は勇者に味方するものです」とコメント。リスクを取った戦略判断を称えました。
最後にバルビエは、チャンピオン候補としての強さを示したブレガとAruba.it Racing - Ducatiチーム、そしてバウティスタに加え、独立系チーム(インディペンデントチーム)のライダーとして重要な表彰台を獲得したモンテッラ、バルダッサーリを名指しし、開幕戦で結果を残したライダーと、週末を支えたすべてのチームに祝意を表しました。
WorldSBK第2戦は「Pirelli Portuguese Round」として、2026年3月27日〜29日にポルトガル・ポルティマンのアウトドローモ・インテルナシオナル・ド・アルガルヴェ(Autódromo Internacional do Algarve)で開催されます。





