タイヤメーカーって日本にも海外にもたくさんあるけど、そんなに違いってあるのかな? ゴムで出来ていて黒くて丸くて、バイクの車体ほど見た目も変わらないよね……。 性能の違いが分かるほど過激に走ることはないし、そもそも外国製のタイヤって値段が高いイメージがあるんだけど?
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タイヤって、世界中に色々なメーカーが存在していて、自分に合ったタイヤを選ぶのが良いって言われるけど、メーカーも種類もたくさんあるから迷っちゃいます。
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まずは自分がどのジャンルのバイクに乗っていて「どんな使い方、どんな遊び方」をするのかを考えてみよう。例えばグリップを重視するスポーツ性なのか長持ちするライフなのか、求める優先順位でタイヤのカテゴリーが決まるよね。
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私はミドルネイキッドで街乗りが中心だけど、時々行くツーリング先ではワインディングも楽しみたいです。
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なるほど、それならストリート&ツーリングでスポーツ寄りのタイヤを考えてみようか。 例えばピレリだったらDIABLO ROSSO Ⅳ(クワトロ)、あとはメッツラーのSPORTEC M9 RRも良いかな。
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タイヤの銘柄どころかメーカーも違うんですけど……。 その2つのタイヤはどう違うんですか?
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メッツラーは、今はピレリ傘下のグループ企業で、開発チームも共有しているんだ。でもきちんとブランドの棲み分けはしていて、ピレリはハイエンドなパフォーマンスを誰でも購入して使える、よりしなやかでスポーツライクなフィーリング。メッツラーは全天候型で信頼感やタフさを重視していて、スポーツタイヤであっても質実剛健というイメージだね。
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そういうイメージで分けているんですね。もう少し詳しく教えて欲しいな!
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お! 興味が湧いてきたね(笑) まず、ピレリのDIABLOシリーズはそのままレースに出られるようなハイグリップタイヤのSUPER CORSAが頂点にあるんだ。ROSSO Ⅳはサーキットでのレースシーンからフィードバックされた性能やコンセプトを受け継ぎ、一般道でもスポーツライクな走りが出来つつも、低温時やウエット時のパフォーマンスを上げて、ストリートでのオールマイティな状況で安心して楽しめるタイヤに仕上げてあるんだよ。ちなみに、サーキットでの走行会に自走で行くライダーには、移動の道中もハイペースなスポーツ走行も難なくこなせる、よりスポーティなDIABLO ROSSO Ⅳ CORSAというタイヤもあるよ。
メッツラーのSPORTEC M9 RRは、低温時での素早いウォームアップ特性や、排水性を最適化したパターンによる優れたウエット性能で、晴れて乾いた路面も雨で濡れた路面でも性能差が出にくいように作られていて、タイヤのライフが終わるまで最大限パフォーマンスを発揮出来るような全天候型スポーツタイヤだよ。
もちろん、どちらのタイヤも通常の使用には必要以上のパフォーマンスがあるけど、あえてざっくりと分けるならよりピンポイントな範囲で楽しむのならDIABLO ROSSO Ⅳ(CORSA)、移動距離が長くて常に状況の変化が予測されるならSPORTEC M9 RRてところかな。
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メーカーは違うけど、なんとなくタイプが似ているオールマイティなタイヤなんですね。
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そうだね。日常的な使用では季節の変化や路面状況も頻繁に変わるし、ツーリング先でも標高の高いワインディングが寒かったり、天気予報は大丈夫だったのに急に雨が降ったりとかね。ちょっとしたカーブやワインディング等で、より感性に訴えかけてくるようなスポーツ性があるのがピレリ。気候や路面状況の変化に強いのはメッツラーかな。メッツラーは条件が悪い時でもネガティブなところを抑えた作りになっているんだ。
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そうか~。私はどっちが合うんだろう? やっぱりパターンもカッコいいしスポーツ性を大事にしたいかな……。
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何気に見た目のトレッドパターンも大事だね、もちろん性能に繋がっているんだけど、ビジュアル的なパターンもタイヤの魅力のひとつだよね。特にピレリの稲妻のようなフラッシュパターンはドレスアップ効果としても、とても人気が高いんだ。
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そう聞くとやっぱりピレリを履きたくなります(笑)。でもそうなるとピレリのツーリングタイヤってどうなんですか? 「最近はグリップ性能も高いし、かなり長持ちする」ってバイク仲間から聞いたんだけど。
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ANGEL GT IIのことだね! このタイヤは一度に遠くまで走る長距離ツーリングに向いているよ。他のメーカーのツーリングタイヤと比較するとかなりスポーティな乗り味だから、途中のワインディングも楽しめるし、2人乗りや荷物をたくさん積んだツーリングも問題なくこなせて、もちろんライフも長いからコスパも良いね。
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それ良いかも! 長持ちするとお財布に優しいから嬉しいですね!
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ん…もしかして、長持ちするから何年もタイヤ交換しなくて良いとか思っていない?
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えっ(ドキッ)、そうじゃないんですか?
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たしかにANGEL GT Ⅱのライフは長いけど……。たとえば1年間に1000キロ乗るから10年で1万キロ。それなら10年使っても溝も残っているし大丈夫、ってワケじゃないんだよ。タイヤにも「鮮度」があるから、楽しく安全に使えるのは走行距離が短かくて溝が残っていても2~3年、長くて4年くらいなんだよ。
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え!そうなんだ…何となく溝がなくなったら交換すれば大丈夫だと思っていました…。
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タイヤは賞味期限のある生鮮品なんだよ。常に鮮度や保管状況に気を配ってほしいな。 それが性能の維持やライフにも大きく影響してくるんだよ。 適正な空気圧の維持管理もそのひとつだね。
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そうなんですね、認識を改めてもっとタイヤに気を配らないと! と思いました。 他にもピレリならではのこだわりってありますか? ピレリはメーカーによる違いをどうやって出しているのかな?
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メーカーによる違いは、設計思想や製法の違いもあるけど……、実はタイヤの性能は「数値」だけでは表しにくいんだ。たとえばエンジンなら2気筒とか4気筒、100馬力とか150馬力とか形式やスペックで比較できるよね。そのエンジンも、机上の設計値や計算値だけでは、なかなか狙った乗り味にならないんだ。だから、タイヤでもエンジンでも実際に乗って走った時の「官能評価」が大切なんだよ。俗にいう、ドライバビリティと言われる項目だね。そこでの味付けの差がメーカーの特色や違いになるんじゃないかな。ピレリはメーカーの特徴として、レースで培った技術を市販品にフィードバックして、誰が乗っても安全に性能が出せる使いやすいスポーツタイヤを目指しているんだ。さらに、技術的な数字に出てこないような、ライダーが感じるフィーリングの官能性能も大切にしている。ピレリのタイヤは車両のジャンルやライダーを選ばず、様々なシチュエーションにおいてスポーティな走りで爽快な気分を味わえるんだよ。
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なるほど! ピレリのタイヤは感性に訴えかけてくるようなタイヤなんですね。具体的にはピレリはどんなふうにタイヤを開発しているんですか?
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ピレリはレース以外にも「テストライディング」を重視してたくさんの距離をテストするんだ。これはライバルに負けない自信がある。一般道はもちろん、シチリア島のシラクーサのサーキットを年間200日以上借りて走っていたり。夜や雨、時間や天気、季節に関係なくとにかく走る。一年中テストができるように、イタリアだけじゃなくて南半球のブラジルとかでも走っているんだよ。 タイヤのフィーリングとしての官能評価はもちろん、雨で濡れた路面や、寒くて冷えた路面での安全性や摩耗や、ライフの長さなどのタイヤの性能は、とにかく走ってテストした量を信頼材料にするしかないからね。しかもテスト部隊はメッツラーも開発しなければならないから、走行距離は膨大になるんだ。 でもその膨大な走行距離が貴重な財産だよね。
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それを聞くと、テスト部隊って本当に凄いんですね。 でも、ピレリとか外国製のタイヤって、値段が高いんじゃ…。 そこが気になるんだけど…。
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たしかに、昔は高かった時期もあるからそんなイメージが残っているのかな。でも今は全然そんなことないんだよ。安価な価格帯のスタンダードなタイヤは割高かもしれないけれど、250cc以上のスポーツバイクが履くラジアルタイヤで、同じカテゴリーで競合するタイヤなら、今は日本メーカーもピレリもそんなに価格は変わらないんだよ。
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そえっ、そうなの? 絶対高いと勝手に思い込んでいました。それならタイヤ交換するときは選択肢に入れないともったいないですね。
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そうだね! いろいろなタイヤを履いて傾向や好み分かってくれば、より自分に合ったタイヤを選びやすくなるからね! DIABLOMANとしては、ぜひピレリの官能的なスポーツ性を多くの人に体験してほしいな!