V4のタイヤプロファイルは、WSBKで使用しているDIABLO™ SUPERBIKE、DIABLO ROSSO™Ⅳ、DIABLO ROSSO™Ⅳ CORSAと共通ですが、一般道とサーキットでの走行を前提にしているV4SPのフロントタイヤは特殊なタイヤビード形状を採用しています。

これは、一般道での内圧(乗っているバイクのメーカー指定空気圧)とサーキットでの低い内圧(推奨空気圧はフロント2.3bar、リヤ2.1bar)の両方で最大限の性能を発揮させるため。内圧を低くしてもサイドウォールが変形しにくく、安定した走行が可能になるよう配慮しているのです。

とくに、走行前にわざわざタイヤウォーマーを巻くようなことのない一般道では、内圧が高まるまでは変形によるリスクを防ぐためでもあります。

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V4SPは特殊なビード形状を採用することで、ビードの変形を抑え安全性を強化している。この図でも、V4SP(赤いライン)は他のDIABLO™シリーズ(白いライン)のビードより変形しにくいことが分かる。

高強度の最新の繊維を採用することで強くしなやかで、高いコントロール性を生んでいる

そして、一般道での内圧とサーキットでの温感内圧の両方で有効に機能するように、V4SPのタイヤ構造、プロファイル、コンパウンドは設計されていますが、構造に関しても新たな技術が取り入れられています。

タイヤの基本骨格を作っている構造用の繊維コードは、強度の高い最新素材を使用することで従来よりも繊維の本数を減らし、繊維と繊維の間に入るゴム量を多くして強くしなやかで、高いコントロール性を生んでいます。

これも、ピレリ独自のラジアル+ベルト付き0度スチールベルトというベース構造で基本的な剛性と乗り心地のよさを担保して、さらにその上のカーカス部分にもタイヤ特性に合ったアレンジを加えることで目標とする性能の実現を果たしているのです。

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図の紺色の繊維の幅を広げ強度を確保したうえで、間隔を粗くすることで間にゴムが入りやすくしている。

それでは、V4SPのまとめとしてV3と比較した性能レーダーチャートを見てみましょう。

究極のエッジグリップ、乗りやすさの向上、卓越したスポーツ性能を目標としたV4SPはグリップ、ソフト&ハードハンドリング性能、サーキットでの一貫した性能、ラップタイム、ウエット性能のすべてでV3を上回っているのが分かります。

まさに、WSBKで磨き込んできたピレリの最新タイヤテクノロジーがこれでもかと注ぎ込まれたのがDIABLO™ SUPER CORSA V4なのです。

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すべての性能がV3(ピンクの線)を凌駕しているのが分かるレーダーチャート。とくにグリップとソフトハンドリング、サーキットでの一貫性、ラップタイムの向上は飛躍的に向上している。

次回は、よりサーキット走行やイベントレースに特化したDIABLO™ SUPER CORSA V4SCについて解説します。来週水曜日に公開予定です。