ワインディングを楽しんだその先に、サーキット走行まで視野に入れたい。けれど、走る場所が変わるたびにタイヤを交換するのではなく、公道を走れる一台のまま走行会へ向かいたい。

SPORTEC™ 01 RSは、そんなライダーに向けて開発された、メッツラーの新しいRacing Streetタイヤです。

公道用タイヤとしての現実性を残しながら、強いブレーキングや加速、深いバンク角など、タイヤに大きな負荷がかかる領域へ踏み込んだ性能を追求しています。

同じ新世代のSPORTECシリーズとして登場したSPORTEC™ 01が、公道で出会う幅広い状況への対応を重視しているのに対し、SPORTEC 01 RSが見据えているのは、その先にある、より積極的なスポーツライディングです。

この記事では、SPORTEC 01 RSがどのようなタイヤなのか、SPORTEC 01や従来のM9 RRとどう違うのかを整理しながら、その性能を支える技術について解説します。

メッツラー SPORTEC 01 RSの製品写真
公道でのスポーツライディングからサーキット走行までを想定して開発された、メッツラー SPORTEC™ 01 RS。

SPORTEC 01 RSとはどのようなタイヤか

SPORTEC 01 RSは、メッツラーが「Racing Street」という考え方で開発した、公道走行可能なスポーツタイヤです。

主な対象となるのは、スーパースポーツ、ハイパーネイキッド、高性能ネイキッド。公道での積極的なスポーツライディングに加え、サーキットでの走行まで想定しています。

目指したのは、日常走行からツーリングまで、あらゆる用途を広くカバーすることではありません。

ワインディングでペースを上げたとき。コーナー手前で強くブレーキをかけたとき。深くバンクし、高出力マシンのスロットルを開けて立ち上がるとき。そうした高い負荷が連続する場面で、グリップと安定性を発揮することに重点を置いています。

製品カテゴリー Racing Street
主な用途 公道でのスポーツ走行、ワインディング、サーキット走行
主な対象車種 スーパースポーツ、ハイパーネイキッド、高性能ネイキッド
重視する性能 ドライグリップ、高負荷時の安定性、正確なハンドリング
導入年 2026年
サイズ展開 フロント1サイズ、リア4サイズ

公道からワインディングへ、さらに走行会へ。同じマシンと同じタイヤのまま、走りの領域を広げていきたいライダーのためのモデルです。

SPORTEC 01 RSを装着したモーターサイクルのスポーツ走行
SPORTEC™ 01 RSは、積極的なワインディング走行に加え、公道走行可能なタイヤのままサーキットを楽しみたいライダーを主な対象としています。

SPORTEC 01とSPORTEC 01 RSの違い

SPORTEC 01とSPORTEC 01 RSには、走行時の負荷に応じてトレッドの働きを変えるDYNATREAD™をはじめ、共通する新技術が採用されています。

ただし、両者は標準モデルと上位モデルという単純な関係ではありません。重視している使用環境と性能が異なります。

SPORTEC 01は公道での総合性能を重視

SPORTEC 01は、公道でスポーティな走りを楽しみながら、ウェットグリップ、滑らかなハンドリング、タイヤライフを含む総合的な性能を重視したモデルです。

晴れた休日のワインディングだけでなく、ツーリング中の天候変化や、日常的な公道走行まで幅広く対応することを想定しています。

SPORTEC 01 RSは高負荷領域の性能を重視

SPORTEC 01 RSは、SPORTEC 01に対して、ドライグリップ、強い入力に対するハンドリング、高いペースでの安定性、サーキット性能を重視しています。

公道走行可能なタイヤでありながら、設計の重点は、より積極的なワインディング走行やサーキット走行に置かれています。

※表は横にスクロールしてご覧いただけます。

比較項目 SPORTEC 01 SPORTEC 01 RS
主な用途 公道でのスポーツ走行 高いペースの公道走行、サーキット走行
重視する性能 ウェット性能、扱いやすさ、総合バランス ドライグリップ、高負荷時の安定性
ハンドリング 滑らかで幅広い状況に対応 強い入力に対する正確さを重視
タイヤライフ RSより重視 グリップとサーキット性能を優先
適した使い方 ツーリングや日常走行を含む公道中心 ワインディングや走行会を積極的に楽しむ

雨の日も含めて公道を走り、ツーリングや日常使用まで一台で幅広く楽しみたいなら、SPORTEC 01が自然な選択です。

一方、休日の目的地がワインディングだけでなく、ときにはサーキットにもなる。タイヤライフやウェット性能より、ドライ路面でペースを上げたときのグリップと正確さを優先したい。そうした使い方には、SPORTEC 01 RSがより適しています。

どちらが上かではなく、普段どこを走り、どこまで走りを求めるのか。その違いが、SPORTEC 01と01 RSを選び分ける基準になります。

SPORTEC 01とSPORTEC 01 RSのトレッドパターン比較
公道での総合性能を重視するSPORTEC™ 01と、より高い負荷がかかる走行に重点を置いたSPORTEC™ 01 RS。

M9 RRから続くSPORTECシリーズの進化

SPORTECシリーズは、M7 RRやM9 RRを通じて、公道でのスポーツ性能と、さまざまなコンディションへの対応力を進化させてきました。

SPORTEC 01とSPORTEC 01 RSは、その系譜を受け継ぎながら、異なる使い方に向けて役割を分けた新世代のモデルです。

そのため、M9 RRから履き替える場合も、単純に一つの後継モデルを選ぶのではなく、自分が何を重視していたのかを考える必要があります。

公道での扱いやすさ、ツーリング、雨天時の性能を含むバランスを求めるなら、SPORTEC 01が候補になります。

一方、M9 RRからさらにドライグリップや高負荷時の安定性を高め、ワインディングの先にサーキット走行まで見据えるなら、SPORTEC 01 RSが有力な選択肢です。

SPORTEC 01 RSだけがM9 RRの直接的な後継モデルと定義されているわけではありません。M9 RRまでに培われたSPORTECシリーズの特性を、SPORTEC 01と01 RSが、それぞれ異なる方向へ発展させたと捉えると分かりやすいでしょう。

高い負荷がかかったときに接地面を広げるDYNATREAD™

速いペースで走るほど、タイヤには大きな力が加わります。

コーナー進入でのブレーキング、旋回中の横方向の力、立ち上がりでの加速。SPORTEC 01 RSでは、その負荷をただ受け止めるのではなく、負荷に応じてトレッド自体の働きを変えるDYNATREAD™を採用しています。

DYNATREAD™は、ブレーキングや加速によってタイヤに力が加わった際、トレッドグルーブの断面が閉じるように変形する技術です。

グルーブが閉じることで路面に触れるゴムの面積が広がり、高負荷時のグリップと安定性を支えます。

↑DYNATREAD™によって、ブレーキングや加速による負荷に応じてグルーブが変形し、必要な場面で接地面を広げる様子を可視化したグラフィック映像。

フロントはブレーキングとライン保持を重視

フロントタイヤでは、強くブレーキをかけた際に中央部のグルーブが圧縮され、接地面が広がるように設計されています。
狙っているのは、ブレーキング時の安定性と、コーナー進入時の正確なライン保持です。

ショルダーのグルーブは、バンク角が深くなるにつれて段階的に働き、旋回中に発生する横方向の力に対応します。

リアは加速時のトラクションを重視

リアタイヤでも、加速によって負荷が高まるとグルーブが閉じ、路面に接するゴムの割合が増加します。
高出力マシンでスロットルを開けたときや、コーナーの立ち上がりで、トラクションとリアタイヤの安定性を確保するための設計です。

SPORTEC 01 RSのトレッドは、SPORTEC 01よりも溝の割合を抑え、より多くのゴムを路面に接触させる方向へ設計されています。
低い負荷ではグルーブが排水性やウォームアップを担い、負荷が高まると接地面を広げる。ゆっくり走るときと、強くブレーキをかけて加速するときで、同じトレッドに異なる役割を持たせています。
この変化するトレッドの働きが、公道だけでもサーキットだけでもない、SPORTEC 01 RSの性格を形作っています。

公道とサーキットを両立するコンパウンド

公道を走り始めた直後と、サーキットを連続して走った後では、タイヤが置かれる温度条件は大きく異なります。

SPORTEC 01 RSでは、その幅を一種類のコンパウンドだけで処理するのではなく、センター、ショルダー、さらにその下のベース層に、それぞれ異なる役割を持たせています。

SPORTEC 01 RSのフロントタイヤとリアタイヤのコンパウンド配置
センター、ショルダー、ベース層に異なる役割を持たせ、公道での低温域からサーキットでの高温域まで対応します。

センターにはフルシリカコンパウンド

前後タイヤの中央部分には、フルシリカコンパウンドが採用されています。

フロントでは、ブレーキング時の安定性と低温時のグリップを支えます。一方リアでは、直立状態での加速や、公道走行時の安定性を担います。

サーキットでの高温域だけでなく、公道で走り始めたときや、タイヤ温度が十分に上がっていない状況にも対応するための構成になっています。

ショルダーにはK2由来のレーシングコンパウンド

前後タイヤのショルダーには、K2グレードに由来するレーシング仕様のカーボンブラックコンパウンドが採用されています。

深いバンク角でのコーナリンググリップ、旋回中の安定性、コーナー立ち上がりでスロットルを開けた際のトラクションを重視した領域です。

センターとショルダーで異なる性質のコンパウンドを使い分けることで、公道で必要となる低温時の性能を残しながら、高い負荷がかかる場面でのグリップを引き出します。

ベース層が温度変化への対応を支える

表面のコンパウンドの下には、ウォームアップと温度安定性を支えるベース層が配置されています。

走行開始後の温度上昇を助けるとともに、連続走行によってタイヤの温度が高まった際には、過度な発熱や性能変化を抑えることを狙っています。

公道で走り始めた瞬間から、サーキットで周回を重ねる場面まで。SPORTEC 01 RSのコンパウンドは、異なる温度領域を一つのタイヤでつなぐために組み立てられています。

PETを採用した新構造が正確なハンドリングを支える

高いグリップがあっても、強いブレーキングでフロントの動きが曖昧になれば、ライダーは安心してコーナーへ進入できません。

タイヤがどのように変形し、その変化をライダーへどう伝えるのか。SPORTEC 01 RSでは、トレッドやコンパウンドだけでなく、内部構造も新しく設計されています。

SPORTEC 01 RSのPETと0度スチールベルトを使用した内部構造
フロントには2層のPET、リアにはPETとナイロンを用い、前後とも0°スチールベルトを組み合わせています。

フロントにPETを用いたカーカス構造を採用

フロントタイヤには、従来のレーヨンに代わり、PETを使ったカーカス構造が採用されています。

2層のPETと0°スチールベルトを組み合わせ、走行中のタイヤの変形をより正確にコントロールする設計です。

これにより、強いブレーキング時の安定性、コーナリング中のライン保持、接地状態を把握するためのフィードバックを高めることを狙っています。

リアはPETとナイロンを組み合わせた構造

リアタイヤでは、PETとナイロンを組み合わせています。

PETによる安定性と正確なフィードバックに加え、ナイロンによる軽快さや応答性を生かし、高いグリップと俊敏なハンドリングの両立を図っています。

リアにも0°スチールベルトを採用し、タイヤの中央部分とショルダー部分で必要となる剛性を調整しています。

強いブレーキングから旋回へ入り、バンクした状態からスロットルを開けて立ち上がる。その一連の動きの中で、車体の状態をつかみやすくし、ライダーの操作に対してより正確に反応することが、SPORTEC 01 RSの構造に与えられた役割です。

SPORTEC 01 RSのサイズラインナップ

SPORTEC 01 RSは、17インチホイールを装着するスーパースポーツ、ハイパーネイキッド、高性能ネイキッドを主な対象としたサイズ構成です。

装着位置 サイズ
フロント 120/70 ZR 17 M/C(58W)TL
リア 180/55 ZR 17 M/C(73W)TL
リア 190/55 ZR 17 M/C(75W)TL
リア 200/55 ZR 17 M/C(78W)TL
リア 200/60 ZR 17 M/C(80W)TL

SPORTEC 01 RSについてよくある質問

SPORTEC 01 RSは一般公道でも使用できますか?

はい、SPORTEC 01 RSは公道走行可能なタイヤです。サーキット専用ではなく、公道でのスポーツライディングからサーキット走行までを想定して開発されています。

ただし、使用の大部分が一般公道で、雨天走行やツーリング、日常域での扱いやすさ、タイヤライフまで含めた幅広い性能を重視する場合は、SPORTEC 01の方が用途に適している可能性があります。

Q. SPORTEC 01 RSはM9 RRの後継タイヤですか?

SPORTEC 01とSPORTEC 01 RSは、M7 RRやM9 RRから続くSPORTECシリーズの新世代モデルです。

ただし、SPORTEC 01 RSだけがM9 RRの直接的な後継モデルと定義されているわけではありません。

公道での総合性能を重視する場合はSPORTEC 01、より高いペースでのワインディング走行やサーキット性能を重視する場合はSPORTEC 01 RSが候補になります。

Q. タイヤの寿命はどのくらいですか?

タイヤライフは、車種や走行する場所、空気圧、ライディングスタイルなどによって大きく異なります。SPORTEC 01 RSは、タイヤライフよりもドライグリップや高負荷時の安定性、サーキット性能を重視したモデルです。ツーリングや日常走行を含めた総合的なバランスを求める場合は、SPORTEC 01も比較して選ぶとよいでしょう。

Q. SPORTEC 01 RSの推奨空気圧は?

一般公道では、車両メーカーが指定する空気圧を基本としてください。

サーキット走行時の空気圧は、車両、路面、気温、走行条件などによって異なるため、走行会のタイヤサービスやメッツラー正規販売店などへ確認してください。

まとめ|公道の先にある走りまで、一つのタイヤでつなぐ

公道を走れることと、サーキットを走れること。その両方を掲げるだけなら、決して珍しいコンセプトではありません。

SPORTEC 01 RSが目指したのは、その二つを単に並べることではなく、公道からワインディングへ、さらに走行会へと、ライダーの走りが深まっていく過程を一つのタイヤでつなぐことです。

ウェット性能、ツーリング、タイヤライフまで含めた幅広い対応力を求めるならSPORTEC 01。ドライ路面でのグリップや、強い入力に対する正確さを優先し、その先にサーキットまで見据えるならSPORTEC 01 RS。

いつものワインディングを、もう少し積極的に走りたい。自走でサーキットへ向かい、同じタイヤのまま走行を楽しみたい。

SPORTEC 01 RSは、そんな次の一歩を考え始めたライダーに向けたタイヤです。

【関連リンク】

METZELER公式|SPORTEC™ 01 RS 製品ページ

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