写真:Pirelli
テキスト:伊藤英里

WSBK第4戦イタリア
5月2日~4日/イタリア クレモナ・サーキット

今大会もリヤにスーパーソフト開発仕様E0126をアロケーション

第4戦はイタリアのクレモナ・サーキットが舞台となりました。ピレリは、前戦オランダラウンドに続き、リヤにスーパーソフトの開発仕様であるE0126をアロケーションしました。

このタイヤはレース1、スーパーポール・レース、レース2において、ほとんどのライダーに選ばれました。今大会で3勝を挙げたニッコロ・ブレガ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)もまた、スーパーソフトE0126を選択しています。

また、開幕前に負った怪我により、欠場が続いていたジョナサン・レイ(パタ・マクサス・ヤマハ)が、今大会から復帰しました。

ブレガ、苦手なサーキットで3勝達成

イタリアラウンドの優勝争いは、3レースともほぼ同じ形で展開しました。ポールポジションからスタートしたニッコロ・ブレガ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)をトプラク・ラズガットリオグル(ROKiT BMWモトラッド・ワールドSBKチーム)がかわし、序盤の数周はラズガットリオグルがレースをリードするのですが、その後、ブレガがあっさりとラズガットリオグルをパスしてトップに立ち、そのまま優勝する、というものです。

ブレガは地元イタリアで、今季2度目となる3レースの3勝を果たしました。

レース運びを見れば、この週末はブレガの週末でした。しかし、実はブレガは、クレモナ・サーキットが得意ではなかったのです。

「もし誰かに数日前に『クレモナで3レース優勝を果たすよ』と言われたとしても、信じなかっただろうね」と、WorldSBK.comのインタビューでブレガは言いました。クレモナで3勝できるとは「考えもしなかった」のだそうです。クレモナで見せたパフォーマンスは、苦手なサーキットだったところにさらに価値があるでしょう。同時に、今季のブレガとドゥカティ・パニガーレV4Rのパッケージのポテンシャルの高さを意味していました。

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3レースで優勝したブレガ(中央)と2位だったラズガットリオグル(左)。また、バウティスタ(右)も3レースで3位だった
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クレモナはとても苦手だというが、そのサーキットを制したブレガ

3レース2位のラズガットリオグル、リヤのグリップに課題

一方、3レースすべてでトップを守り切れなかったラズガットリオグルは、2位を3度獲得してイタリアラウンドを終えました。

ラズガットリオグルはクレモナでのイタリアラウンドが初開催となった昨年、負傷により欠場したため、クレモナでのレース経験がなかったのです。ただ、ブレガの後塵を拝した理由は、それだけではありませんでした。

「ここではドゥカティにアドバンテージがあり、厳しかった。特にコーナーの立ち上がりでは、ドゥカティがとてもいいんだ」と、ラズガットリオグルはWorldSBK.comのインタビューで語っています。

ドゥカティにアドバンテージがある一方で、BMWには解決すべき課題があるとも言及しました。リヤのグリップです。

「ボクたちはまだグリップを改善しようと頑張っている。いちばんの問題はリヤのグリップで、加速がよくないんだ。どのレースでも、1周目はニッコロと近いところにいる。でも、リヤタイヤが垂れ始めると、ドゥカティがアドバンテージを持つんだ」

「ただよかったとは思うよ。全ラップで優勝争いしたわけだしね。2位は何もないよりはましだ」というコメントが、ラズガットリオグルの心情と状況を表していました。

シーズンはまだ4戦を終えたところですが、チャンピオンシップのランキングトップにつけるブレガは、ランキング3番手のチームメイト、アルバロ・バウティスタ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)に対し、73ポイント差を築いています。ランキング2番手のラズガットリオグルとの差は、34ポイントです。これまでのレースを鑑みても、2025年シーズンは、やはりブレガとラズガットリオグルを中心にチャンピオンシップが進みそうです。

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ラズガットリオグルはクレモナでのレース経験がなかったことと、現在の改善点であるグリップがネックとなった
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バウティスタも3レースで3位を獲得した

第5戦チェコラウンドは、5月16日から18日にかけて、チェコアウトドローモ・モストで行われます。