9月20日・21日、北海道日高町で全日本エンデューロ選手権の第3戦、日高2デイズエンデューロが行われました。ひだか高原荘をメイン会場に、林道、沢筋、スキー場のゲレンデを公道区間を含むリエゾンでつなぐ、日本で唯一のクラシックエンデューロです。IA・IBはDAY1に8本のテストを走りますが、そのうち2本を占める三島のエンデューロテストは1本6分台。ほかのテストが2分前後なので、ここでの数秒がそのまま順位に響きます。DAY1は前夜からの雨がスタート直前にふたたび強まり、三島には濡れた木の根と丸太、ゴロゴロと置かれた岩が待ち構えていました。DAY2はテストを5本とし、林道の下りでは土がえぐれる一方、ゲレンデのライン上は日が差すにつれて乾いていきました。

IAクラス|太田幸仁選手がDAY1・5位、DAY2・4位で総合4位。開幕から連勝の馬場亮太選手はDAY2の三島でリタイア

IAはDAY1を勝山聖選手(K's racing KTM名古屋/500EXC-F)、DAY2を酢崎友哉選手(SHERCO 成田MXパーク/250SEF)が制し、2日間総合は勝山選手が41分23秒49で優勝しました。

太田幸仁選手(TEAM RABBIT with 太田塾/350EXC-F)はDAY1を27分50秒64の5位、DAY2を15分00秒33の4位でまとめ、総合42分50秒97で4位に入りました。DAY2は最終テストを迎えた時点で上位4人が6秒84の中にひしめき、太田選手はその4番手で最後のゲレンデに向かっています。

日高2デイズエンデューロに参戦した太田幸仁選手
DAY1は5位、DAY2は4位で、IAクラス総合4位に入った太田幸仁選手。

「いつも通りと言えばいつも通りなんですけど、初日は自分の中ではまあまあプッシュしたつもりで、ゲレンデは4番タイムくらい、ほかも3番タイムとか、前とそんなに変わらず走れていました。ただ三島がうまく攻められなかった。体がなんとなく動かなくて、思ったように走れないのがモロにタイムに出て、そこだけみんなに離されてしまった。今回は三島の比重が高かったうえに2回走るので、それがそのままタイムに響きました。トップグループについていけなかったのは三島だな、と反省して2日目に臨みました。

2日目は1本目のゲレンデで、RB(馬場亮太選手)と数秒差の3番タイム。三島も今日こそはと思って結構プッシュしたら、渋滞しないようにテストにも手が加えられていたこともあって、かなりタイムが上がったんです。2本終わった時点でトップと5、6秒の圏内にいたので、今日はいけるぞと。3本目の貯木場、4本目のエクストリームが2番タイムで、ラスト1本を残して6秒以内に4人がいる状態まで持っていけた。いつもはセカンドグループのトップあたりを単独で走っているんですけど、今回は最後までトップグループで戦えたので、自分の中では今回の日高の評価は高いです。

僕も40歳なので、体的にはしんどいですけど、平成生まれの若い子たち相手に、自分を攻めて攻めてしっかり戦ったら、意外と戦えるじゃんと自信になりました。本当は親父も2日目を走りたかったと思うんですけど、いろいろな事情で走れなかったので、僕が頑張るしかない。家族も来ていたし、子供の前で頑張っている親父を見せたかった。結構腹をくくってプッシュしました。」

太田幸仁選手と日高2デイズエンデューロ
太田選手は両日とも新品のタイヤとムースを使用。DAY2は最終テストまでトップ争いに加わった。

■使用タイヤ(太田幸仁選手)

  • フロント:METZELER MCE 6 Days Extreme(スタンダード/両日とも新品)
  • リア:METZELER MCE 6 Days Extreme(ミディアム/両日とも新品)
  • ムース:METZELER(両日とも新品)

「新品同士の組み合わせは、自分のわかっている感覚通りに走れるので間違いないですね。最後までタレないし、変化も少ない。ヘタったものでも最初の感触だけはいいんですけど、日高は長いので、その中でヘタリが進むとリム打ち感やヨレ感につながってくる。その変化が最後にプッシュしたときに出たら、タイムに多少影響してくるので、新品からスタートして早めに自分で馴染ませながら走ります。初日は雨でしたけど、コンディション自体はまったく苦手ではなかったし、タイヤも自分の思っている通りに走ってくれました。トータルでもタイヤはいつも通り安心してパフォーマンスしてくれましたし、自分自身もいつも以上に集中して攻めきれたので、良かったと思います。」

開幕戦の御所、第2戦の阪下と4日間すべてを制してきた馬場亮太選手(BABANASHOX/FE450)は、今大会、借りた車両で臨みました。DAY1は1本目のクロステストで1分53秒41の区間最速を記録して総合首位に立ちましたが、三島の2本で勝山選手に合わせて40秒あまりを奪われ、19秒66差の2位。

日高2デイズエンデューロに参戦した馬場亮太選手
借りた車両で日高に臨んだ馬場亮太選手。DAY1はトップと19秒66差の2位に入った。

「北海道はなかなか勝てないことが多いですね。バイクも変わりますし、そこにプラスして雨が重なるとしんどい。セッティングを出せずに臨んで、雨で滑るわけですから。今日はよく転びました。原因は乗り込み不足です。乗れていないわけではなくて、乗っていない。練習しようと思えばいくらでもできる環境はあるんですけど。三島はイメージしたくてもコースが変わりすぎていて、もうイメージできないんです。進行方向はわかっても、その場で何が起きているかは行ってみないとわからない。2回目の貯木場のときに、あと2本テストが残っていたので、十何秒差ならワンチャンあるかもしれないと思って少し無理をしたら、1本目のテストで転んだので諦めました。」

DAY2もCT1を1分57秒85の区間最速で滑り出しましたが、続く三島の終盤、木の根が続く区間で転倒し、4分ほどを失ったところでレースを終えています。今季初のノーポイントとなり、タイトルの決着は最終戦に持ち越されました。

「どちらかというと、攻めた結果のリタイアです。昨日は三島が2回あって両方ミスしてしまった。三島の路面もちょっと良くなっていて、自分でもそんなにミスしていなかったので、ある程度のところで抑えられれば、残りの3本は得意なテストだったんですよ。ここをミスらなきゃいけるぞ、という雰囲気があって、最後の最後までミスなく来て、最後で大きくいっちゃいました。気持ちは攻めているんですけど、バイクはスムーズに走らせないとタイムが出ないので、すごく丁寧に走れていたんです。1個先にガッツリ根っこが見えているところがあって、そこだけ注意しないとと頭にあった。斜めに行けるなと思ったらそこで落ちて、ぶっ飛んだ先にも石と木があって、それに突っ込んで終わりでした」

馬場亮太選手と日高2デイズエンデューロ
馬場選手は前後ともミディアムを選択。フロントはDAY2も交換せずに使用した。

■使用タイヤ(馬場亮太選手)

  • フロント:METZELER MCE 6 Days Extreme(ミディアム)
  • リア:METZELER MCE 6 Days Extreme(ミディアム)
  • ムース:ミディアム(少し慣らしたもの)

「日高は基本的にハードエンデューロ的な難しいところがないので、ミディアム一択です。去年もミディアムでした。ハードなところがないと言っても、一瞬だけ石が埋まっているセクションや、ガレをちょっと越える場所があるんですよ。エクストリームテストなんかがそうですけど、そこに何も気にせず入っていける安心感は絶大ですね。柔らかいタイヤだと、僕はああいうところを走れないんです。コンパウンドは硬めですけど、ムースもミディアムとの組み合わせで、硬めでも初期のクッション感はある。だから言うことがないというか。

フロントは2日目まで替えていません。耐久性がいいので全然持ちますし、使っていくほどたわみ感が出てくる。たわんでくれればくれるほどいいんです。2日目は晴れていたけど山のほうはまだ暗かったので、向こうで雨が降っていたら嫌だなと思って、あえて替えずに行きました。新品でも5分も走ればなじむんですけど、日高はスタートしてすぐ1本目のテストなので。ムースも同じで、新品同士の組み合わせだと空気圧換算で0.8〜0.9くらいあるので、少し使ったものを持っていきました。」

堀越秀鷹選手(RIDGE CYCLE with Off1.jp/TF 250-E)は、ここまで乗ってきた2ストロークのYZ125から、4ストロークのトライアンフTF 250-Eに乗り換えての参戦。日高を走るのは今回が初めてです。DAY1は30分32秒35の15位と苦しみましたが、DAY2は15分57秒43で6位まで巻き返し、総合12位でフィニッシュしています。

日高2デイズエンデューロに参戦した堀越秀鷹選手
トライアンフTF 250-Eで初めての日高に挑んだ堀越秀鷹選手。DAY2は6位まで巻き返し、総合12位で終えた。

「とても悔しい結果になってしまいました。久しぶりの4ストロークと、長距離のレースに完全にやられました。距離が長いと集中力が切れてしまうんです。ルートは海外の女性ライダーと一緒に走っていたんですけど、その方がすごく速くて、ついていこうとルートを頑張りすぎて、テストでは疲れているという逆のことをしていました。ルートも結構難しくて、ぐちゃぐちゃの下りなんかは全然うまく走れなかった。日高は初めてでしたが、ちゃんとしたルートのあるフルレングスのエンデューロがどれだけ厳しいものか、よくわかりました。125じゃなくてよかったです。125だったら、お尻が痛すぎてどこかで座って休憩していたと思います。」

堀越秀鷹選手と日高2デイズエンデューロ
走行距離や車重、舗装路での消耗を考慮し、前後ミディアムを選んだ堀越選手。DAY2はリアのみ新品に交換した。

■使用タイヤ(堀越秀鷹選手)

  • フロント:METZELER MCE 6 Days Extreme(ミディアム/2日間同じもの)
  • リア:METZELER MCE 6 Days Extreme(ミディアム/DAY2に新品へ交換)

「1日目は前後新品で、2日目はリアだけ交換しました。フロントは2日間同じタイヤです。100キロくらいあったんですけど、耐久性はめちゃめちゃ良かった。1日目で使い切る感じもなく、フロントの接地感がなくなるようなこともなかったので、さすが6デイズだなと。ソフトだったらちょっと怪しかったと思いますが、ミディアムはやっぱり強いです。ミディアムを選んだのは、走行距離と、お借りしたバイクが4ストで重かったから。舗装路もあるので、消耗を考えて、コンパウンドがそれなりに硬めで強いタイヤにしました。

濡れたゲレンデでは、寝かせて一度滑り出すと止まらない。ただ縦のグリップというか、路面を掻く力はすごく強くて、掘ってくれる感じがありました。バイクを立てて走れば、しっかり前に出てくれるんです。貯木場テストは歩いて下見したときは跳ねられるんじゃないか、開けきれるかなと思っていたんですけど、走ってみるとタイヤが全然吸収してくれて、横滑りもなく攻めきれました。エクストリームにもガレがありましたが、2日間ともフロントがガレに入っても滑ることがない。ムースもかなり使い込んでたわむようになっていたので、安心感が増していました。モトクロスタイヤだと神経質になるような場面でも、エンデューロタイヤは気を使うことがかなり減るんです。グリップがいきなり抜けることがないので、急に岩盤が出てきても身構えずに、このまま突っ込んで大丈夫だと思える。日高のように長いレースだと、そこが効いてきます。」

NAクラス|藤岡丈瑠選手がDAY2の5本すべてで区間最速。総合優勝には9秒85届かず

日高2デイズエンデューロに参戦した藤岡丈瑠選手
マシンをYZ250Xに替えて参戦した藤岡丈瑠選手。DAY2は5本すべてのテストで区間最速を記録した。

藤岡丈瑠選手(CHARGER/YZ250X)は、マシンを125から250に替えて日高に乗り込みました。DAY1は雨のなかで電装系とみられるトラブルが続き、止まるたびにキックを繰り返して33分16秒47の4位。トップの鈴木心選手(Beta Gammy Racing/RR2T250)とは2分37秒71の差がつきました。

DAY2は一転、最初のクロステストから最終テストまで5本すべてで区間最速を記録し、15分24秒15で優勝。2位の山田礼人選手(XR250)に1分43秒76の差をつけています。三島では崖から落ちながら、区間タイムはIAに入れても5番手に相当するものでした。2日間総合は48分40秒62で、鈴木選手に9秒85届かず2位。開幕から2連勝してきたNAのタイトル争いも、最終戦に持ち越しとなりました。

「大変でした。最初のゲレンデでIAの3番手に入るタイムが出せたんですけど、三島で崖落ちして、そこでちょっと失ってしまって。三島は好きではないんですけど、今日はちょっと良さがわかりました。250は明らかに速いです。加速がいい。父が作ってくれたバイクで、最終戦も250で行きます。ここでチャンピオンが決まってほしかったので、持ち越しになったのは悔しいですね。」

次戦は最終戦。10月24日・25日、福島県・チーズナッツパークで行われます。