年に2回、筑波サーキットで開催されているイベントレースの「Taste of Tsukuba(テイスト・オブ・ツクバ、以下TOT)」の最速クラスである「ハーキュリーズ/スーパーモンスターEvo」クラスで表彰台常連のスズキ・カタナを走らせるカスタムファクトリー・刀鍛冶。その手で極限までチューニングされたカタナは、油冷エンジンにもかかわらず59秒台で激走し、その足元を常に支えているのがメッツラータイヤである。

「TOTでは、メッツラーのトップチームとして頑張っています」と語る石井さんに、カタナにメッツラーを履かせ続ける理由をお聞きした。

最初のメッツラーは20年前に履いたレンシュポルト

いまから20年以上前、当時、岡山国際サーキットで開催され、非常に賑わっていたイベントレース「モトルネッサンス」に出場していた刀鍛冶のカタナに、レンシュポルトを履かせたのが石井さんとメッツラーの出合いでした。

「バイクショップの知り合いから、当時、メッツラーを扱っていた岡田商事の方を紹介されて、レンシュポルトを使ってみませんかと言われました。ただ、その頃のメッツラーは、純正タイヤのイメージで、ハイグリップタイヤがあるなんて思っていませんでした」

ところが、初めてレンシュポルトを履いた1100カタナは、ポンと2~3秒もタイムアップ。刀鍛冶のチームメンバーがなにを履いてるんだと騒ぎになり、すぐにみんなレンシュポルトに履き替えたそうです。

レンシュポルトからRACETEC™ RRに変わりはしたものの、刀鍛冶のカタナはずっとメッツラーを履いています。

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筑波サーキットで開催されているTOTのハーキュリークラスでは表彰台の常連で、タイムは現在59秒台だが、58秒の中盤を狙っているという
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昨年11月のTOTに参戦した刀鍛冶カタナ。排気量は1277㏄で、最高出力は160ps以上。フレームは、ピボット部のワイド化や各所の補強で、90%以上はオリジナルとなっている。タイヤサイズはF120/70ZR17、R200/55ZR17で、RACETEC™ RR K1を装着している。

「たとえば国産タイヤメーカーなどは、まったく新しいタイヤを出してくることがありますが、メッツラーは長年同じ銘柄で中身を少しずつ進化させているので、安定したパフォーマンスを発揮してくれるのが大きなメリットです。だから、タイヤに合わせてサスペンションなどバイクのセッティングを大きく変える必要がないので助かります」

2013年に、公道レースでの活動を積極的に製品開発に生かすプロジェクト「ROAD TO LEGEND」を立ち上げ、その中で公道レースで勝つために生まれ、マン島TTレースなどに実戦投入されたRACETEC™ RRは、デビュー以来、2年毎くらいにコンパウンドや構造、プロファイルなどを、最新のスーパースポーツモデルのアップデートに合わせて進化させてきています。名称は同じRACETEC™ RRですが、基本的な方向性は変えることなく中身は別物と言っていいほど確実に進化を遂げてきているのです。

これが、石井さんが感じられている安定性につながっているのでしょう。

「サーキット走行会に行くお客さんには、RACETEC™ RRを薦めています。RACETEC™ RRに関してならどんなことにでも答えられますしね。」

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METZELER - RACETEC™ RR

ツーリング中心ならSPORTEC™ RRをお薦めしています

RACETEC™ RRを知り尽くしているからこそ、誰にでもRACETEC™ RRを薦めているわけではありません。お客さんに乗り方や使い道を聞いて、それに合ったタイヤをオススメしているそうです。

「前後17インチに変更している刀に乗っていて、ツーリング中心の方にはSPORTEC™M7/9RRをオススメしています。また、カスタムカタナに多い前後18インチならZ8ですね」

とくにリクエストがない限り、お客さんのタイヤは常にメッツラー。お客さん同士でも、メッツラーを入れてよかったという会話をしているようで、刀鍛冶=メッツラータイヤというイメージがすっかり出来上がっているのです。

次戦は11月5~6日の日程で開催されるTOTでは、58秒台中盤あたりのタイムを目標に設定していて、高いポテンシャルを持つRACETEC™ RRなら滑らずに安定して走れるので十分に実現可能だと石井さん。

限界までチューニングされたカタナとRACETEC™ RRの組合せが、どんな速さで筑波サーキットを駆け抜けるのか、見逃せませんね。

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オリジナルフレームをベースにしながらも、ほぼすべての部分に手が入れられたカタナレーサー用フレーム。このシャーシと極限までチューニングされた油冷エンジン、そしてRACETEC™ RRの組合せで最強のカタナレーサーが出来上がるのだ。
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<プロフィール>
1963年、大阪府出身。もともとは四輪の整備士をしていたが、23歳のときに「GRS」というレース車両のメンテナンスやカスタムを行うショップを始めた。昔からヨシムラのファンで、カタナも自分で買っていじり始めたころに、TAVAXエンジニアリングというカタナカスタムで有名なショップに行き、フレーム補強のノウハウを教えてもらい、それから本格的なカスタムを行うようになった。エンジンも独学でいじり始め、イベントレースに出るようになってお店の名前も徐々に知られるようになってきた。TOTに参戦を始めたのは6~7年前からで、初めてのレースで3位に入賞。以来、最高峰クラスで表彰台の常連となっている。レース以外のカスタムもカタナおよびスズキ油冷エンジン系バイクが専門で、ショップ内には美しいフィンが刻まれたシリンダーがそこかしこに置かれていた。


<SHOP DATA>
●Custom Factory 刀鍛冶
大阪府富田林市新家1-2-18
電話:0721-55-2614
営業時間:11:00~20:00(月~土)
10:00~19:00 (日)
定休日:火曜日・レース及びイベント開催
http://www.katanakaji.com/index.html