元ロードレースの国際ライダーで、エンデューロレースにも参戦するなど、いまだ現役のライダーであるとともに、ライディングインストラクターとしてライダーのスキルアップの手助けもする。本職はというと、東京都日の出町にあるバイクメンテナンスショップの鈴木オートの経営で、その丁寧かつ的確な仕事ぶりで多くのライダーの信頼を集めているのが鈴木商店代表の鈴木正彦さん。

ロードもオフロードも、昔からメッツラーを履いているという鈴木さん、メッツラーを初めて履いたのはいまから25年以上前と言うから、筋金入りのメッツラー・ラバーズなのだ。

最初のメッツラーはBIG-1用のME-Z1/2だった

1992年に登場し、一世を風靡したホンダ・CB1000SUPER FOUR=BIG-1。ただ、前後18インチという一般的ではないタイヤサイズのため、ユーザーは選択肢が少なく苦労していた。

20歳で限定解除してBIG-1に乗っていた鈴木さんも例に漏れなかったが、ある日、オイル関連会社の職場で、当時、メッツラータイヤの輸入元だった岡田商事の方から新作のME-Z1/2を履いてみないかと言われてすぐに購入。履き始めた当初は、硬くてグリップしない特性に戸惑ったが、しっかり暖気すればグリップ力も発揮してくれたし、なによりラジアルらしい剛性の高さから高速道路での安定性はピカイチ。そして、耐久性、耐摩耗性ではそれまで履いていた国産タイヤとは比べ物にならなかったそうだ。

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大人気モデルだったホンダ・CB1000SUPER FOUR(写真右側のバイク)だが、前後18インチのためタイヤの選択肢が狭かった。そんな中、登場したのがメッツラーのME-Z1/2だった

そして2000年代初頭、98年に登場したヤマハ・YZF-R1により1000㏄スーパースポーツが全盛になり、プロダクションレースも過熱。そんなときに登場したのが、メッツラーのレンシュポルトだった。

当時、スズキ・GSX-R1000でプロダクションレースに出場していた鈴木さんは、すぐにレンシュポルトを購入してレースに使うことにした。

「初めて感じるようなコンパウンドの柔らかさと軽さで、すぐに自分のベストタイムが出たんです。レンシュポルトに合わせたセッティングなどもまったくしていないのに。タイヤ自体は柔らかいのに、剛性は恐ろしいほど高くて、滑り出しもスライドからの回復性も緩やかなのでハイサイドのリスクも減りました。この瞬間から、私のタイヤに対する見方が大きく変わりましたね。それほど衝撃的でした」

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鈴木さんにとって衝撃的だったレンシュポルトとの出合い。タイヤに対する考え方を一変させるほどのものだった

さらに、ROADTEC™Z8インタラクトとの出合いも非常に印象的だったそうだ。

「2016年式のBMW・S1000RRに履いたんです。スーパースポーツにツーリングタイヤですが、ストリートで使用するには排水性に不安のあるSPタイヤは履きたくなかったんです。お客様にも薦めたくないですしね。その目論見は的中して、どんなシーンでも高いパフォーマンスを発揮してくれて、バイクの電子制御とも相まって雨天でもまったくコケる気がしませんでした。

そして、あえてZ8のままS1000RRをサーキットに持ち込んで走らせて、スピードメーターを見たらとんでもない速度を表示していました。Z8はツーリングタイヤだからこそ、さまざまなシーンに対応してくれて、高い次元でバランスしていて、さらには電子制御ともとても相性がいい。メッツラーはメッツラーらしく進化していると感じました」

最近のメッツラーが重視している、電子制御とタイヤのマッチングのよさを、鈴木さんは確実に感じ取っていらっしゃったのだ。

S1000RRにはレーステック、KTM・250EXC SIXDAYSには6DAYS EXTREMEを使用中

現在、サーキット走行でのインストラクター用に使用するS1000RR(Mパッケージ)にはRACETEC™ RR K1、エンデューロレース用のKTM・250EXC SIXDAYSには6DAYS EXTREMEを使用している鈴木さん。

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MFJ公認インストラクターとして走行会などで先導ライダーなどを務める際は、レーステックを装着したBMW・S1000RRを使用している

最近は、ネオラシックブームということもあってROADTEC™01シリーズに注目しているという。

「ROADTEC™のラウンド形状、剛性感としなやかさ、乗り心地や摩耗が進んだときのハンドリングへの影響などを詳しくチェックしたいと思っています」

また、アドベンチャー系用のTOURANCE™シリーズ、KAROO™シリーズも気になっているそうだ。

「ウチのお店では、このカテゴリーは他メーカーを履いている方が多いのですが、メッツラーのこの2シリーズもデュアルパーパスモデルならではの汎用性や、所有欲を満たすトレッドパターン、そしてシニアライダーのライディングをサポートしてくれる性能を満たしているかが気になります」

メッツラータイヤの持つバランスのよさ、サスペンションの機能まで果たしてくれるしなやかな剛性感とニュートラルなハンドリング特性から、メッツラーはどんなライダーにも薦められるタイヤだと鈴木さん。

「懐の深いタイヤというか、膨大なテストデータをもとに設計されているメッツラータイヤは、ストリート主体のツーリングユーザーにこそオススメしたいタイヤです」

いま鈴木商店では、鈴木オートの店内に「73+Café」というカフェスペースを8月にオープンさせるための準備が進んでいる。何事にもこだわりの強い鈴木さんらしく、自ら淹れてくださるコーヒーの味も絶品(ご馳走になりました!)。

鈴木オートに愛車のメンテナンスを依頼した際に、このカフェスペースでメッツラータイヤのウンチクを鈴木さんに聞く楽しみが、もうじき加わりそうである。

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8月のオープンを目指して、着々と準備が進んでいる「73+CAFÉ」。鈴木さんのマスター姿もなかなか堂に入っている。ちなみに、73は鈴木さんのレース時代からのパーソナルナンバーだ
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<プロフィール>
1971年、東京都立川市出身。16歳からバイクに乗り始め、20代の後半からロードレースを始め、97年以降、もてぎ7時間耐久ロードレースやプロダクションレースに出場し、GP250マシンで地方選手権にも参戦。2006年には全戦ポールtoウインを成し遂げ国際ライダーに昇格。全日本選手権のトップカテゴリーで戦うことになったが、開幕2週間前の練習中にアクシデントで右足首を複雑骨折。その後、2回の手術とリハビリを経てレースに復帰するも、自分の目指す走りができないと現役を退いた。一時、あえてバイクとは無縁の生活を送っていたが、レース時代の先輩に誘われて林道ツーリングに行った際、まったく先輩たちについていけない自分のふがいなさに一念発起してオフロードにのめり込み、同時に鈴木オートをスタート。バイクを預かって整備するには広い場所が必要と、開店場所に日の出町を選んで現在に至る。本文中にあるように、日々のメンテナンスやサスペンションのオーバーホールなどをたったひとりでこなすほか、オン・オフ両方のライディングインストラクター業務、エンデューロレースへの参戦なども行っている。そして、8月には新たなビジネスとしてカフェをオープンする予定だ。

<SHOP DATA>
●鈴木商店(鈴木オート)
東京都西多摩郡日の出町大久野4270
電話:042-518-2162
営業時間:10:00~19:00
(ご来店の際は、要電話予約)
定休日:不定(イベント開催時など)
https://www.facebook.com/masahiko.suzuki.180