仕事に、そしてプライベートにバイクを乗り倒していることを自他ともに認め、そしてメッツラータイヤを愛用している業界著名ライダーに、メッツラータイヤについて熱く語っていただく「メッツラー・ラバーズ」。
第6回目は、オフロードレース界では知らない人がいないほどの存在であるM.C.S.クリタとそのファミリー。日本と世界をつないで活動するのに加え、自前で本格的なオフロードコースまで作ってしまった熱い志を持つ太田ファミリーは、世界で戦うためにメッツラータイヤをチョイスしているという。
本格的エンデューロレースには6Days Extremeの一択!
静岡県・清水にあるバイクショップ・M.C.Sクリタ。お店の外観はよくある地方のノンブランドのバイクショップで、失礼ながら日本中に名の通ったショップという感じはしない。
しかし、いったんショップに足を踏み入れると、所狭しと天井や壁に掛けられている外国人ライダーのエンデューロジャージや、オフロード用ヘルメットとそのバイザーの数に驚かれるはず。
そして、社長の太田誠さんが年季の入った手つきでマシンを整備しているシーンを目撃できるかもしれない。
そう、M.C.Sクリタは何でも直してしまう凄腕の職人である社長で父親の誠さん、店長で国際ライダーの長男・真成さん、そして現役国際ライダーの幸仁さんの太田ファミリーが運営しているオフロードの世界では知らない人がいない有名なショップなのである。
太田ファミリーが注力しているのがエンデューロレースで、国際ライダーの真成さん(現在は競技休止中)は世界のエンデューロレースなどに参戦経験があり、全日本でもトップライダーだった方。
次男の幸仁さんも、現在、日本のトップ5に入るエンデューロライダーで、2013年には家族3人で6日間にわたって1000㎞以上を走破する、国別対抗で行われる世界最大のエンデューロレースであるインターナショナル・6デイズ・エンデューロ(ISDE)のイタリア大会に参戦。真成さん、幸仁さんは見事完走して、シルバーメダルを獲得した。
このISDEに代表されるエンデューロレースはオンタイム方式といって、設定されたコース内のいくつかのチェックポイントを決められた時間内に通過し、用意されたスペシャルステージでタイムを競うというもの。決まったコースをぐるぐると周回するのではなく、本場のヨーロッパでは公道まで含み、かつ自然の地形を生かした50㎞ほどのコースが設定され、1日で250~300㎞を走破する。
日本ではさすがにそこまでの長距離コースは設定できないが、オンタイム方式は同様で、公道走行も含まれるコースもある。
このエンデューロレースで使用するタイヤとして太田ファミリーがチョイスしているのが、6Days Extreme(シックス・デイズ・エクストリーム)。
元々は、ISDE用に開発されたモデルで、開発にはこのタイヤを純正装着するKTM社のワークスライダー等、多くのトップライダーが関わっているそうだ。
使い古しのタイヤを「捨てるなら売ってくれ!」と言われるほどライフが長い
このオフロードコースだけではなく、一般公道も含む長距離を走るというシチュエーションで圧倒的なパフォーマンスを発揮してくれるのが6Days Extremeだと長男の真成さん。
「タイヤのブロックの角が減って丸くなってきてもグリップが持続するんです。それも、しっかり体感できるくらいに。経済的にあまり裕福ではない国のレースでは、ボクがレースで300㎞以上走った6Days Extremeを捨てようとしたら売ってくれと言われるほどです。新品他のメーカーのタイヤよりも、使い古した6Days Extremeのほうがいいと」
角が丸くなるほど摩耗してもまだ性能を維持してくれるコストパフォーマンスの高さは、一般ライダーにとっては6Days Extremeをチョイスする大きな理由になるだろう。
さらに、世界中どこでも同じ内容のサポートが受けられるのもメッツラーを使う理由とも言う。レースでは何かひとつが欠けても本来のパフォーマンスを発揮できなくなるので、常に万全の体制を提供してくれるメッツラーは海外レースではとくに頼りになる存在なのだ。
そして次男の幸仁さんは、強直性脊椎炎という難病を抱えながら全日本選手権に参戦中で、身体が温まって本来のパフォーマンスを発揮できるようになるレース後半でも、6Days Extremeはしっかりグリップ力を保ち続けてくれるので、病気を抱え、36歳になった自分がレースで戦い続けられるのは6Days Extremeのおかげだと言う。
ちなみに6Days Extremeには、STD、ソフト、スーパーソフトとコンパウンド違いで3タイプが用意されているが、気候や路面状況、使用用途によってチョイスすればいいとのこと。STDは林道ツーリングや舗装路向け、ソフトはオールマイティに使えるレース用、そしてスーパーソフトはハードエンデューロと言われる超過激なコースを走破するレースの中でも、とくに過激だとされる「エルズベルグロデオ」向けに開発されたコンペティション向けモデル、という棲み分けになっている。
現役国際ライダーの幸仁さんがレースで使用しているのは基本的にソフトで、スーパーソフトは温度の低い路面や、岩が出ているコースなどのオプションとして使用することで、レースマネージメントに幅ができたとのことだ。
山を自分で切り開いて作った「O LAND PARK SHISHIHARA 芝川グラウンド」
取材当日は、新東名高速道路の新清水インターから5分ほどのところにある「O LAND PARK SHISHIHARA(オーランドパーク・シシハラ)芝川グラウンド」で、エンデューロスクールの「太田塾」(講師はもちろん太田ファミリー)が開催されていた。
驚くことにこのコースは、社長の太田誠さんが知人から山を借り受けて、ご自分でユンボを運転して山を切り開いて作ったもの。モトクロスコースと、檜の木が茂る山に分け入ってゆく自然の地形を生かした林間コースが組合わされた本格的なエンデューロコースなのである。
伝統あるヨーロッパのオンタイム・エンデューロと同じく、自然と共存する形を踏襲しているのだ。
このコースではエンデューロの地方選手権(中日本エンデューロ選手権シリーズ)が開催されていて、今年は全4戦が開催される。そのほか、前述の太田塾が月に1~3回、オンタイム方式で開催される、初心者から上級者までが対象のオープンクラスハンディ戦のスモールエンデューロが年11戦と、季節に関係なくフル回転状態だ。
しかも、太田社長曰く、まだまだ未完成で、時間があると自らユンボを運転してコース拡張作業を行っているという。
太田社長の描く完成形は、「バイクが走れる森林公園」。速さを競うコースではなく、ゴルフ場のようにプロ・アマ・年齢に関係なく、同じコースで誰もがそれぞれの技量で楽しめる場所にしたいそうだ。
「競技指向の人も、趣味の人も、そしてモトクロスもエンデューロもすべて楽しめる場所にしたいんです。このコースを運営するには、地元の人たちの応援もたくさんいただいているので、そのつながりを大事にして、みんなが楽しめる場所を目指しています」
そう話す太田社長の願いは、日本中からここ「O LAND PARK SHISHIHARA芝川グラウンド」に人が集まってくること。
このコースがあることで、地域も活性化して、地元の方々も喜んでくれる。そんな多くの人とのかかわりを大切にして、自然とも共生しながら、太田ファミリーは静岡から日本中にバイクの楽しみを発信し続けているのである。
<SHOP DATA>
●M.C.Sクリタ
静岡県静岡市清水区袖師町515-1
TEL0534-364-6789
営業時間:10:00~20:00
定休日:日曜、祝日、レース・イベント開催日および参加日
http://www.mcskurita.com/
E-MAIL:keepoota@silk.ne.jp
●O LAND PARK SHISHIHARA芝川グラウンド
静岡県富士宮市内房
TEL0534-364-6789 (M.C.Sクリタ)
営業日:土、日、祝日
https://mcskurita.wixsite.com/olandparkshishihara