カーカスは、回転するタイヤが遠心力により膨張するのを抑えたり、タイヤのトレッドが理想的な接地形状を作るためにある繊維、スチールベルトなどをゴムで覆ったタイヤ内部の構造体です。

もう一つの大切な役割は、直進時、ブレーキング時、車体を寝かせながらコーナリングする時など、路面の衝撃を吸収と支える働きを持ち、サスペンションに例えるならダンパーとしての役割があります。
たわみながら吸収しつつ腰くだけにならない、そういった二律背反をこなす難しい特性が求められています。そのため、カーカスに使われる繊維には、吸収しながらタイヤ全体に振動が伝わらないよう、レーヨンやポリエステテルのような短繊維、引っ張り強度が金属並でありながらしなやかさも持ち合わせるポリアミドなどが使われています。

ベルト状になっているカーカースを、斜め方向に巻いたバイアス構造、放射線状に巻いたラジアル構造があります。言葉で書くとシンプルですが、車体を寝かせて旋回する2輪車の場合、実際は理想のハンドリングとグリップを生み出すタイヤ構造作りには多くのノウハウがつぎ込まれます。

carcass_01.jpg
イラストはラジアル構造のカーカス構成。回転方向に平行な繊維のように細いスチールを並べたベルト層が最も外側にあって、高速域の遠心力でタイヤが膨張しないよう抑える役割と、路面追従性と減衰特性のバランスを保つ。その下の放射状(ラジアル)90°の方向に巻かれたカーカスが、全体のクッションや路面のうねりなどへの対応と、衝撃などをホイールへ伝えない役割も兼ねる。レーヨンやポリエステルなど短繊維で、振動を吸収する繊維が採用されることが多い

メッツラータイヤは1980年代中盤に2輪用ラジアルタイヤの販売を開始した後、4輪用ラジアルで確立されていたスチールベルト技術を2輪用ラジアルに最適化することで、円周方向に働く遠心力への強度と、路面追従性に優れたしなやかさも両立。
様々な路面状況、走行状況での実走テストも行うことで、装着しただけで楽しく、安心感があり、かつ頼れるグリップを発揮する製品に仕上げています。