こんな質問を受けることがよくあります。確かにタイヤって大切だとは思うけど、しょっちゅう替えると経済的には負担ですよね。多くの方は「スリップサインが出た時」と思われているのではないでしょうか。
間違いではないですが・・・
たとえば車検で合格しないレベルまで減ったから交換という方もいるでしょう。
しかし、趣味で乗るバイクです。交換はあくまで自分のため。余計な心配をせずに安心で楽しく乗れる状態を考えるとき、タイヤは決定的な位置を占める重要パーツです。
ここではその価値観でタイヤの交換時期についてご説明します。
スリップサインが出る前でも、タイヤは機能しなくなる?
タイヤが減ってくるとどうなるのでしょうか?
2輪タイヤの中には最初の性能は良いが、40%摩耗すると急角度で性能が落ち始めるもの、最初の性能が1割低くても摩耗が50%までは性能の落ち方が緩やかなものなどがあります。
こうしてみると、スリップサインまでは大丈夫なんて本当に言えるでしょうか?
スリップサインが出るまで使用しても、新品時の性能の70%程度はどのタイヤも機能していましたが、一番性能が落ちなかったタイヤでも新品時の95%までは落ちていました。
(当社にて行われた他社製品を含む、ドライでのハンドリング比較テスト結果による)
歯磨きペーストで考えてみよう
タイヤをスリップサインまで使うイメージを歯磨きに例えてみましょう。
ペーストって通常は最後のひと絞りまで絞り出し、何ならハサミで切って中身を最後まで使い切りますよね。(私だけ?)仮に歯磨きペーストの中身が40%減ったら、お口がいつもより2割ほど不潔で臭くなるとしたら、50%減ったらいつもより40%も・・・考えるだけでも気持ち悪いですよね。お口の臭いだと気になるのにタイヤだと平気ですか(笑)。
どうして性能が落ちるのかというと
タイヤの溝は雨天時の水はけ機能もありますが、溝の縁を触ればわかるように柔らかく柔軟な部分にもなっています。このおかげで様々な路面状況に対応しているわけです。そして当然ですが、溝が減ればタイヤは硬くなっていくのと同時に柔軟性がなくなり、性能が落ちてしまうのです。
スリップサインが出る前に交換が基本。
時期的なおすすめは?
では、時期的にはいつ替えるのが良いのでしょうか?
車検ごと?2年毎?とよく言われますが、それには理由があります。
タイヤというのは新品時にタイヤ倉庫などで正しく保管されていれば、年数が経っても性能が落ちることはほとんどありません。しかし、一度装着して熱を入れてしまうと、バイクに乗らなくても劣化が始まってしまいます。ですから、距離を乗らない人でも2年に1回はタイヤ交換することをおすすめします。
フレッシュなタイヤでそのタイヤの持つ本来の味わいを楽しんでいただきたいですね。
性能の落ちにくいタイヤはあるのか?
PIRELLIのANGEL GT2(2019年発売)、METZELERのROADTEC 01 SE(2020年発売)などは、性能の落ちにくいロードタイヤです。METZELERのCRUISETEC(2019年発売)というクルーザー/アメリカンタイヤも性能が落ちにくいタイヤです。3銘柄ともに減りにくいのに性能も落ちにくい。高分子技術の進化でこのカテゴリーは目覚ましい進化を遂げているのです。最近のタイヤはニクイですね。