写真:Pirelli
テキスト:伊藤英里

MotoGP第1戦タイGP
2月28日~3月2日/タイ チャン・インターナショナル・サーキット

2025年シーズン開幕。4名の日本人ライダーがMoto2、Moto3に参戦

 2025年シーズンのMotoGP開幕戦は、タイのチャン・インターナショナル・サーキットで行われました。

 今季、Moto2クラスとMoto3クラスには4名の日本人ライダーが参戦します。

 Moto2クラスには、佐々木歩夢(RW – インドロフォーリア・レーシングGP)、國井勇輝(イデミツ・ホンダチームアジア)が参戦します。

 佐々木は、Moto2クラス参戦2年目となります。昨年からチームを移籍し、ゼッケンナンバーもMoto3時代に使用していた「71」に戻して、心機一転、新しいシーズンを迎えました。1年目の経験を生かして、今季を戦います。

 國井は、ロードレース世界選手権に復帰となりました。過去、Moto3クラスで戦っていましたが、2021年シーズンを限りにシートを失い、その後の3年間を全日本ロードレース選手権で戦いました。2024年シーズンは全日本ST1000とアジアロードレース選手権ASB1000でチャンピオンを獲得。今季はイデミツ・ホンダチームアジアから世界選手権Moto2クラスに参戦します。

 Moto3クラスに参戦するのは、古里太陽(ホンダ・チームアジア)と山中琉聖(フリンサ-MTヘルメット-MSI)です。

 古里も山中も、クラス、チームともに変わらず、継続参戦となります。古里はMoto3クラス4シーズン目、山中は6シーズン目を戦います。ともに2024年シーズンは表彰台を獲得しており、今季も活躍が期待されます。

Moto2:國井勇輝が「手応えあり」の初戦19位

 タイGPの週末は気温が上がり、決勝日は気温が35度以上になりました。それにともない路面温度も50度を超え、非常に厳しいコンディションでのレースウイークでした。

 國井は、Moto2マシンへの適応に苦しんでいましたが、金曜日に施した大きなセッティングの変更が奏功しました。この大会には、前年まで全日本でともに戦ってきたハルク・プロ代表の本田光太郎さんが駆け付け、セッティングについてアドバイスをもらったのだそうです。

 この結果、今年から乗り始めたMoto2マシンに対しての信頼度について、まったく持てなかったところから、國井は少しずつ信頼を築きつつありました。決勝レースでは、レース後半にペースを上げ、Moto2初レースを19位でゴールしました。

「初めてのMoto2のレースで、4年ぶりの世界選手権1戦目でしたから、最初はちょっと自信がなかったんです。でも、周回を重ねるごとに自信を取り戻して、そのおかげで最終的にはいいフィーリングで終えられました」

 レース後、汗をびっしょりかいた國井は、頭から水をかぶって「気持ちいい!」と声を上げます。そして、したたる水をタオルでぬぐいながら、取材に応じてそうコメントしました。それほど暑い中でのレースだったのです。

「テストからここまで、すごく不安だったのが、やっと自信につながってきました。次からはもう少し、いけるんじゃないかなと思います。手応えはすごく感じました。次戦、常にポイント獲得を目指して、レースを組み立てていけたらと思います」

 レースを終えてそう語った國井は、明るい表情を浮かべていました。
一方、佐々木は2年目のシーズン、チームを移籍しての初戦を23位で終えました。レース中、他のライダーの後ろでスリップストリームを使って走った際に、フロントタイヤの温度が上がりすぎてしまいタイヤを傷めたことが苦戦の理由でした。

「レース中盤、デニス(・オンジュ)の後ろを走っていたときはけっこういい感じだったのですが、5、6周にわたってスリップを使ったためにフロントタイヤの温度がすごく上がってしまったんです。そのときだけ一気に10度くらい(タイヤの温度が)上がっちゃって。たぶん、そのときにフロントを傷めてしまったのかなと思います」

「学ぶことが多いウイークでした。ただ、なぜ遅いのか分からない、というわけではなく、理由は分かっているので。それは、この状況でも救いだと思っています。アタックラップも同じなのですが、しっかりバイクを止められていない、というのが問題なんです。その部分を改善できれば上位を走れると思うので、チーム一丸となってしっかり改善していきたいと思います」

Moto3:山中、古里ともに転倒リタイアの初戦

 Moto3クラスでは、山中、古里がともに決勝レースを転倒リタイアで終えました。

 山中は14番手からスタートし、表彰台を狙える位置でレースをしていましたが、10周目、5コーナーで転倒を喫しました。

「転倒前までは作戦通りでした。ペースとしても自分が予想していたものだったし、レースをマネジメントできていたので、よかったと思います。ただ、5コーナーに内側から入ったときにギャップを拾ってしまい、それによって転倒してしまいました。それは自分のミスですね」

 とはいえ、「レースウイーク全体の流れとしては、非常にいい出来だったと思います」とも語っていました。結果は転倒でしたが、今季への期待を抱かせるレースではありました。

 また、古里は9番手からスタートし、8周目、自身のミスによって3コーナーで転倒を喫してリタイアでレースを終えています。

MotoGP第2戦アルゼンチンGPは、アルゼンチンのテルマス・デ・リオ・オンド・サーキットで、3月14日から16日にかけて行われます。