2月23日からオーストラリア・フィリップアイランドで開幕したWSBK第1戦は、WSBK、WSSPともにレース中に1回のタイヤ交換が義務付けられました。
新しいアスファルトになったフィリップアイランドのコースは、事前テストでBMWのトプラク・ラズガットリオグルが1分28秒511のオールタイムラップレコードを記録。新しいアスファルトが以前よりもはるかに高いグリップ力を発揮することが証明されましたが、一方、タイヤに対しても非常に攻撃的なことも判明しました。
また、路面温度が上昇し、50℃近くになった際にはさらなる摩耗が浮き彫りになりました。
このため、ドルナ、FIM、レースディレクション、ピレリの4者で協議をした結果、WSBKとWSSPの両クラスのレースは、ライダーの安全を考えてタイヤ交換のためのピットストップを義務付けることと決定しました。
ピレリのモーターサイクル・レーシング・ディレクターのジョルジョ・バルビエールは以下のように語っています。
「私たちはこのコースをよく知っていますが、ここではタイヤの挙動に与える可能性のある変数が非常に多く、毎年まったく別の話になります。今年もっとも重要な要素は、これまでの基準を完全にリセットした新しいアスファルトです。サーキットの改修が2週間前に終わったのに対し、今回のレース用のタイヤは、過去のデータを基にして11月末にヨーロッパから出荷されました。しかし、レース前のテストでは、新しいアスファルトはラップタイムを向上させる一方で高温になるとタイヤに対して非常に攻撃的で、タイヤのトレッドコンパウンド温度が異常に高温になることが明らかになり、そのピークは200℃に達する可能性があると推定されました。このデータを踏まえて、ドルナ、FIM、レースディレクションとの合意の下、両クラスのレースにおいてタイヤ交換のためのピットストップを義務付けることにしました。難しい決断でしたが、ピレリはこのような状況ではライダーの安全が最優先されるべきだと考えたのです」
〇レースディスタンス
WSBKのレース1と2は、22周から20周に減算。スーパーポールレースは10周のまま。WSSPは予定通り18周で開催されます。
〇ピットストップ
WSBKでは、9週目から11週目、WSSPでは8周から10周目にピットストップして、すべてのライダーはリヤタイヤの交換が義務付けられます。フロントに関しては、それぞれが状況に応じて判断します。
スプリントレースなのに、ピットイン→タイヤ交換が義務付けられるとはあまり聞いたことのない事態ですが、なによりライダーの安全を優先するために必要な処置なのです。 いつものスプリントレースに対し、ピット作業という要素が加わり、WSBK開幕戦はスリリングなレースが展開されそうです。