SPORTEC™01がSPORTEC™ M9 RRから大きく進化したのがトレッドパターンです。

ギリシャ文字のπ(パイ)から着想を得たトレッドの曲線は、センターから外側に向かって水を排出し、特に高速走行時や悪天候時におけるウエット性能と直進安定性を向上させます。この設計思想により、フロントでの強力な制動力と、リヤでの荷重時の高いトラクションを支えています。

そして、SPORTEC™01ではフロントとリヤで同一のトレッドパターンを採用しました。これによりブレーキング時と加速時で一貫した挙動が保証され、予測可能なフィードバックとバランスの取れたグリップを提供します。

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SPORTEC™M9RRから大きく変化したのがトレッドパターンだ。左のSPORTEC™01はフロントとリヤで同一デザインを採用して一貫したフィーリングを実現している。

フロントとリヤを個々に見ていくと、フロントのトレッドはブレーキング時のグリップ、ライン保持、安定性に最適化されています。そして、中央の溝構造は荷重がかかると閉じる仕組み=DYNATREAD™が採用され、接地面を確保してコントロール性を高めています。

また、横方向の溝はバンク角に応じて段階的に機能し(バンク角が深まると溝が閉じる)、高いコーナリングフォースを生み出します。

また、M9 RRと溝の向きを変えることでウォームアップ時間を短縮し、より短時間で高いパフォーマンスを発揮することを可能にしました。また、ショルダー部の溝は、排水性を損なうことなくドライ路面での接地面積を最大化するため、逆角度に配置されています。

リヤのトレッドはフロントのレイアウトを反映したもので、センターの溝は高負荷時でもグリップを維持し、コーナー出口や中間加速時のトラクションを高める設計になっています。この構成により、ダイナミックなライディング中も一貫したリヤの挙動を確保します。

M9RRに対して、ボイド比(溝の割合)を低く設定して(溝が少なくスリックライクにしている)、路面への接地面積を増加してドライグリップを向上させた点も進化のポイントです。

M9RRは、バンク角が深くなるにつれ(ショルダー部は溝が少ないため)ボイド比が段階的に減少する特性でしたが、01はDYNATREAD™の採用によってリーン角に頼らずに安定したボイド比を保持し、常にレスポンスのいいハンドリングを提供してくれます。

横溝の深さと向きも再設計され、SPORTEC™01はタイヤのウォームアップ性能が向上したことを受け、熱発生よりも接地面(フットプリント)の確保を優先してショルダー部の溝が逆角度(カウンターアングル)に配置されました。

この設計によって、素早い切り返しにおいてもより安定して予測可能なレスポンスを確保しました。この新しいデザインの特徴は、特定のポイントで溝が閉じるように設計されていることで、ライダーのパフォーマンスをさらに引き出してくれます。

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M9と01のボイド比を比較すると、01は低速/高速、リーン角(バンク角)に依存しないボイド比を実現していることが分かる。とくに、M9のリヤタイヤがバンク角が増すごとにボイド比が大きくアップするのが象徴的で、01はバンク角+DYNATREAD™の効果が安定した性能発揮に貢献していることが分かる。

進化の核心はDYNATREAD™

ROADTEC™ 02に続いて、SPORTEC™01に新たに採用されたDYNATREADこそが大幅な進化の核心です。 タイヤに負荷がかかった際に、トレッドの溝が自動的に閉じて接地面を拡大させる「2段階の適応型レスポンス」により、ライディングにおける重要な局面で圧倒的なグリップとコントロール性を提供します。

タイヤ自体が知能を持ったようなこのインテリジェントな変形メカニズムにより、深いバンク角でのコーナリングでも、高速域での加速でも、DYNATREAD™はより安定し、精密で、そして何よりスリリングなライディングを実現してくれます。

負荷のかかったブレーキング時に、フロントタイヤは中央のトレッド要素が圧縮(増える)されることで接地面が増加してグリップが向上し、シビアな条件下でも自信をもってブレーキングと方向制御が行えます。

フロントと同じデザインのトレッドレイアウトを持つリヤタイヤは、フロントに追随して一貫したフィードバックとトラクションを確保。直線でもコーナー出口でも、加速時には段階的に溝が閉じることで路面との接地面積が増加し、優れたグリップ力と路面に吸い付くような接地感を生み出してくれるためライダーは躊躇なくスロットルを大きく開けられます。

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荷重がかかると、図の黄色い部分の溝が自動的に閉じて接地面積を増大させるDYNATREAD™。まるでタイヤ自体が知能を持ち、最適な状況を作り出してくれるようだ。

特許取得済みのDYNATREAD™テクノロジーは、タイヤ自体がライダーの「能動的なパートナー」として、タイヤ自体のパフォーマンスを自ら向上させる能力を身に着けました。SPORTEC™02が、DYNATREAD™によってスポーツツーリングタイヤからスーパースポーツ・ツーリングタイヤに進化したように、SPORTEC™01はスーパースポーツタイヤからハイパースポーツタイヤに進化したと言えるでしょう。