タイヤの外径について

タイヤ交換をするときは純正タイヤと同じサイズのタイヤを選択するのが基本です。
しかし、レースなどで使用するタイヤは年々サイズや扁平率が大きくなる傾向があり、ピレリのSUPERCORSAやSUPERBIKE(スリック)などには、190/60ZR17や200/65R17など高扁平のタイヤもラインナップされています。これらをそのまま組み付けた場合、タイヤの外径の違いから、車体のディメンションが変わってしまうため、サスセットを含めた再セットアップが必要になります。

タイヤサイズの見方

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タイヤサイズはサイドウォールに記載があります。

  • 「190」は幅を表します。
  • 「55」は扁平率です。
  • 「ZR」Zは速度指数、Rはラジアル構造であることを示します。
  • 「17」は17インチリム用であることを示します。
  • 「M/C」はモーターサイクル用という意味です。
  • 「75」は荷重指数です。
  • 「W」(W)カッコ付きのWは速度指数が270km/h以上であることを示しています。

プロファイルによる性能

このなかで今回注目したいのが「扁平率」です。扁平率とはタイヤ幅に対するタイヤ高さの比率です。この扁平率はプロファイルと密接な関係があります。最新のラジアルタイヤだとこのプロファイルがマルチラジアスと呼ばれる特殊な形状になっています。タイヤセンターとサイド付近において、タイヤ断面で見たときのカーブの曲率を変えて、俊敏な切り返しやスムーズな倒れ込みを狙う手法です。

幅と外径の関係

この扁平率を利用してタイヤのおおよその外径を求めることが出来ます。わかりやすく、200/50ZR17というタイヤのサイズを考えてみましょう

わかっている情報

①幅:200mm ②扁平率:50(幅に対して50%の扁平率)③17インチリム用

これらを使った外径(トップの直径)の計算方法は「タイヤの厚み+リムの直径」です。

*タイヤの厚み = 幅:200mm × 扁平率:50% x 2(上下なので)= 200mm
*リムの直径 = 17インチ × 2.54mm = 432mm
*200mm + 432mm = 632mm

この場合の組み込み時のタイヤ外径はおおよそ632mmということになります。
実際はリムの形状や200サイズと言っても210mm以上あるものや200mmに満たないものなどメーカーやモデルによって差はあるものの、計算上外径を求めることが出来ます。

※ちなみにDIABLO ROSSO IIの200/50ZR17サイズの外径は646mmですが、これは幅が217mmのためです。実際の外径はタイヤメーカーにお尋ねください。(本サイト内にもデータをアップする予定です)

正確な外径がわからなくても、実用レベルではこの計算方法で車高の変化の近似値を求めることが出来ます。つまり、現状のタイヤ外径と新タイヤのタイヤ外径の差の半分が車高の差になります。外径差よりも車高差のほうが誤差は少なくなります

例1)180/55と180/60の場合の車高の差(リム径は同じなので計算しません)
*180/55タイヤの厚み= 幅:180mm × 扁平率:55% × 2(上下なので)= 198mm
*180/60タイヤの厚み= 幅:180mm × 扁平率:60% × 2(上下なので)= 216mm
*216 - 198= 18mm(直径の差)
*18mm ÷ 2= 9mm(車高の差)

例2)190/55と200/55の場合車高の差
*190/55タイヤの厚み= 幅:190mm × 扁平率:55% × 2(上下なので)= 209mm
*200/55タイヤの厚み= 幅:200mm × 扁平率:55% × 2(上下なので)= 220mm
*220 - 209= 11mm(直径の差)
*11mm ÷ 2= 5.5mm(車高の差)

幅や外径を大きくする理由

そもそも、なぜ180/55180/60に、190/50190/55に、200/55200/60へと扁平率の変化を伴い、巨大化していったのでしょうか?

その理由は、レーシングバイクを始めとしたマシンの高性能化です。マシンが高性能化するとタイヤに掛かる負荷はますます大きくなります。
進化するモンスターマシンを安全にラップタイムに変換するためにタイヤの高性能化は欠かせません。扁平率が大きくなるということは即ち、内部の空気量が増えるということになります。この内部の空気量が増えることで高性能化するというところが、普段タイヤメーカーが口を酸っぱくして言っている「空気圧は大事」と言うことの本質なのです。