WSBK第4カタルーニャラウンド 5月5日~7日/バルセロナ‐カタルーニャ・サーキット
スーパーバイク世界選手権(WSBK)の第4戦カタルーニャラウンドが、5月5日から7日にかけてスペインのバルセロナ‐カタルーニャ・サーキットで行われました。今大会を席巻したのは、2022年チャンピオン、アルバロ・バウティスタ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)です。前戦オランダラウンドの3レースで3勝を挙げたバウティスタの勢いは止まらず、カタルーニャラウンドでも3レースすべてを制しました。
バウティスタは予選でこれまでのオールタイム・ラップ・レコード、1分40秒408を更新する1分40秒264を記録し、ポールポジションを獲得しました。レース1ではスタートから先頭に立つと、後方を引き離していきます。4周目に11コーナーで発生した転倒により赤旗中断となりましたが、このときすでにバウティスタは、チームメイトであり2番手を走行していたライダー、マイケル・ルーベン・リナルディ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)に対して1秒近くの差をつけていました。バウティスタが序盤からハイペースだったことが窺えます。
17周で再開されたレースでも、展開はほとんど変わりませんでした。バウティスタがトップに立ち、アドバンテージを広げていきます。後方との差はあっという間に開いていき、2周目には、トップのバウティスタと2番手のライダーとの差は1秒以上になっていました。その差は周回を重ねるごとに開いていき、バウティスタは2位でゴールしたトプラク・ラズガットリオグル(パタ・ヤマハwith・プロメテオン・ワールドSBK)に対して8.8秒の差をつけて、優勝を飾ったのです。
日曜日のスーパーポール・レースは開始前、それからレース終盤にも小雨が降ったために難しいコンディションとなりました。レースには、全ライダーがドライコンディション用のスリックタイヤを選択しました。
スーパーポール・レースは10周で行われる超スプリントレースです。短い周回数で行われるため、ライダーの走りもよりアグレッシブになり、レース1、2に比べて大きな差が生まれにくいレースとなります。しかし、バウティスタはこのレースでも17周で行われたレース1のようなレース展開を繰り広げました。ポールポジションからスタートしてトップを奪い、1周目、2周目……と2番手に対してギャップを広げていき、バウティスタは約2秒差で優勝しました。
レース2もまた、レース1とスーパーポール・レースの再現のようでした。違っていたのは、スタートでトップに立ったのちに5コーナーでラズガットリオグルにかわされて、数コーナーの間、2番手を走ったことだけでしょう。2周目の1コーナーでラズガットリオグルからトップを奪い返したバウティスタは、その後、どんどん差を広げて独走態勢を築いて優勝しました。バウティスタはカタルーニャラウンドの3レースすべてで、独走というレース展開で優勝を飾ったのです。まさに他の追随を許さぬ強さでした。
今大会前、序盤の3戦を終えて相対的なパフォーマンスの分析が行われ、ドゥカティのエンジンのレブリミットは250回転減少され、一方、カワサキはコンセッション・ポイントを5ポイント使用してレブリミットを250回転増加させることを選びました。しかし、少なくとも今大会に関して言えば、そうした性能調整はバウティスタの連勝の妨げにはならなかった、と言えるでしょう。カタルーニャラウンドの3勝により、バウティスタはここまで12レース中11勝、7連勝を飾っています。
ランキング2番手のラズガットリオグル、3レースで2位獲得
無双状態のバウティスタが席巻したカタルーニャラウンドとなりましたが、3レースすべてで2位を獲得したのもまた、同じライダーでした。ラズガットリオグルです。ラズガットリオグルはスーパーポール終盤の赤旗中断によりタイム更新ができず、3列目8番グリッドからレース1とスーパーポール・レースを迎えました。レース1では6周目に3番手に浮上してジョナサン・レイ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)と2番手争いを展開し、最終ラップの1コーナーのハードブレーキングでレイをパスして2位を獲得しています。
2番グリッドからスタートしたレース2では、1周目の5コーナーでバウティスタをパスしてトップに立ちました。カタルーニャラウンドのレースで、バウティスタを除きトップを走ったのはラズガットリオグルのみです。2周目に入るメインストレートでドゥカティ・ パニガーレV4Rのエンジンパワーに後塵を拝して3番手に後退し、さらに一時は4番手にポジションダウンしましたが、その後3番手に浮上して最終ラップの最終コーナーでリナルディをかわし、2位でゴールしました。リナルディとの差は、わずか0.06秒でした。ラズガットリオグルは、カタルーニャラウンドを終えてチャンピオンシップで69ポイント差のランキング2番手につけ、ランキングトップのバウティスタを追っています。
スーパースポーツ世界選手権(WSSP)では、WSSPルーキーの岡谷雄太(プロディーナ・カワサキ・レーシング)がレース1を22位、レース2を21位でゴールしました。同じくWSSPルーキー、阿部真生騎(VFTレーシング・WEBIKEヤマハ)は、レース1はマシントラブルによりリタイアとなり、レース2は27位で終えました。