KAROO™3から大きく変更された点は、フロント、リヤともにラジアル構造への大幅な切り替えが行われたことです。

フロントは、とくに多くのアドベンチャーモデルに採用されている110/80サイズのみがバイアスからラジアルに切り替えられ、リヤは17インチの130/80、140/80、150/70、18インチは150/70がバイアスからラジアルに変更になっています。

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KAROO4™になって、小排気量の軽量バイク対応モデル以外は、ほぼラジアル構造を採用した。

これは、電子制御が積極的に採用されている現在のバイクに対応して、空気圧依存度を下げることで電子制御の誤作動などを防ぐのがひとつの目的。ラジアル構造にしてスチールベルトを使用することでタイヤ自体の剛性を上げて、ブレーキングなどによるタイヤのたわみの均一化を狙ったものです。

また前後ともに、広くフラットなプロファイルが与えられていて、これも電子制御の誤作動を防いで、安全性に寄与するものとなっています。

では、フロントとリヤを個別に説明していきましょう。

まずフロントですが、バイアスからベルテッドラジアルに変更することの大きなメリットは、局所的な変形はプライによって抑えられ、その代わりにベルトにその力が伝達されるため、ステアリングのニュートラルさとウエットパフォーマンスが大きく向上し、とくにウエットでのブレーキング性能がアップしています。

また、FEA設計手法という解析プログラムを用いて、最適なカーカスの組合せを決定して強化されたビードと、0°スチールベルトの組合せによって垂直方向の剛性が高められ、カーカスに加わった負荷が熱となってスチールベルトに伝わる効果も実現されています。

18インチの140/80サイズ以外はすべてスチールラジアルとなったリヤタイヤは、局所的な変形は周りの層に抑えられ、その代わりにスチールベルトに伝達されて、プロファイルが変化(膨張および偏向)することでオンロードでのハンドリング性能が向上しました。

また、ラジアル構造がトルクの伝達を最適化し、ロードグリップとオフロードでのアンチスピン特性が強化(スプリングドライブ効果と言います)されています。

そして、ラジアル構造採用の大きなメリットがオンロードでの乗り心地の劇的な変化です。とくに、高速で移動するビッグアドベンチャーやマキシエンデューロユーザーには最高のプレゼントになるでしょう。

<KAROO™4に使用されているメッツラーの特殊技術一覧>

Steel Radial(スチールラジアル)

モノプライのスチールコードをラジアルカーカスの周囲に0°で包んだ革新的なベルト構造。フロントとリヤの両方のタイヤで高いパフォーマンスを発揮するメッツラーの特許技術です。レーヨンなどのテキスタイル系素材に比べ剛性が高いというスチールの特長を生かし、タイヤの軽量化も実現。スチールベルテッドラジアルにより遠心力によるタイヤの動的変形を抑え、タイヤの高速安定性を高めています。さらに、スチールは優れた導体でもあるため均一な熱分布により長寿命で、偏摩耗も抑制します。

Interact™:multi zone tension(インタラクト:マルチゾーンテンション)

Interact™とは各スチールコードを複数の異なる張力で巻きつける技術で、これによりロードコンディションを問わず最高のパフォーマンスを発揮します。トレッドコンパウンドの性能はタイヤ構造の剛性によって左右されるため、トレッドコンパウンド内のスチールベルトを最適な張力で巻くことで、寿命、グリップ、ハンドリングなどタイヤに求められる性能を満たすことでさまざまなライディングスタイルに対応する優れた適応力を実現しています。

Metzeler Advanced Winding(メッツラー アドバンストワインディング)

「メッツラーアドヴァンストワインディング」は、スチールベルトのコードを円周方向に対し0°の最適な間隔で巻きつける特許取得済み構造です。タイヤの部位により異なる性能要件にマッチした間隔でスチールコードを巻きつけます。フロントおよびリヤタイヤのクラウン部では、弾力性とダンピング特性を重視して間隔を広めにしています。浅いリーン時に使用される部位ではコードの間隔を詰めることで高速コーナリングに適した高い剛性を実現。リヤタイヤのショルダー部では間隔を広げ、フルバンク時はライダーに安心感を伝えてコントロール性を確保しています。

Multiple Radius Contour(マルチプル ラジアスコンツアー)

ハイパフォーマンスライディングに特化した断面形状のエンジニアリング技術です。クラウン部とショルダー部で断面の曲率半径(radius=半径)を変えることで、直感的で効率的なハンドリングと、高いグリップ特性を実現。クラウン部とショルダー部は小さな半径でより速く正確なハンドリングと安定性を実現し、サイド部は大きな半径でタイヤ接地面積を確保して安定したコーナリングを可能にしました。

MBS-ラジアル(メッツラー・ベルトシステムラジアル)

MBSテクノロジーによるラジアルカーカスとダイアゴナルベルトを採用しています。ラジアルカーカスにより安定したコーナリングや軽量化を実現した低扁平率タイヤで、ダイアゴナルベルトは高速走行時のタイヤの変形を低減します。

CAP & BASE(キャップ&ベース)

キャップ&ベース構造とは、熱伝導率の高いベースコンパウンドをショルダー部の下まで敷きつめることで最適な熱分散(暖まりやすさ)と確実なグリップ力を約束します。