TOURANCE™ NEXT2には、高い応答性と耐久性、確実なブレーキ性能を実現するために、最新のテクノロジーで解析されたトレッドパターンが採用されています。
リヤタイヤは、TOURANCE™ NEXTから引き継いだ、縦方向の鋭角的な溝が刻まれていますが、TOURANCE™ NEXTのそれが長い一直線の溝なのに対してNEXT2は縦溝が細かく断片化されています。
そうすることで、コンパウンドの安定性が向上し、均一な摩耗特性、ダートロードでの横方向のグリップを確保しています。
溝のない部分の面積が大きいほど高い数値(%)になるLand/Sea比率も、浅いリーンアングルではTOURANCE™ NEXTよりも低い数値で、直進時のコントロールフィーリングを向上させています。
逆にリーンアングルが深くなるにつれ、L/S比率はTOURANCE™ NEXTよりも高くなっていて、より接地面積が増えることで安定性を確保しています。
フロントタイヤは、TOURANCE™ NEXTがリヤタイヤとほぼ同じデザインのトレッド面だったのに対し、完全に新設計され、特徴的だった縦方向の溝がなくなり、連続したパターンで構成されるようになりました。
これによって、ブレーキング性能の強化とエッジグリップ、コントロールフィーリングの改善に寄与しています。
最新技術のMETZELER DYMATEC™テクノロジーによって、偏摩耗を防止してロングライフを実現
そして、このTOURANCE™ NEXT2で初採用されたDYMATEC™は、ダイナミックモールドアングルテクノロジーの略語で、機能的なフロントとリヤのトレッドデザインと、さまざまなリーンアングルでの可変グルーブウォール角度の組合せによって、偏摩耗を防ぎ、タイヤの使い始めからライフの終わりまで均一な摩耗特性を実現しています。
特徴的なのは、タイヤ中心からエッジ部分に向けて刻まれた横溝で、①頻繁なフルスロットルとブレーキングによってタイヤに生じる縦方向からのG(押し付ける力を表します・以下同)の両方を考慮し、耐久性の高いトラクション性能と、リーン時の滑らかさを実現する「ストレート」溝、②最大コーナリングGと通常のフルスロットル・ドライブパワーの下での、優れたコーナリンググリップと耐久性を両立する「ミッドリーン」溝、③フルリーン時に最大の安定性を発揮して、エンジンブレーキが効いている状態での高いラインホールディング性能を実現する「フルリーン」溝。
それぞれ深さと形状が異なるこの3つの溝の組合せによって、最近のバイクにどんどん採用されている電子制御によるライダーエイドによって生じがちなタイヤの偏摩耗を防ぎ、長期間、安定した性能を発揮してくれるのです。
このDYMATEC™の恩恵はブレーキング時にもしっかり感じられ、まるでブレーキ性能がアップしたように思う方もいらっしゃるはずです。
最後に、フロントタイヤに採用されたマルチピッチノブについてご説明しましょう。
これは主に、走行騒音の低減を目的としたもので、数々の車両メーカーのOEMタイヤに採用されることが多いメッツラー・タイヤだからこその技術です。
トレッドパターンを、図のように4つの異なる幅で連続させることで、優れた消音特性と転がりの滑らかさを生み出しています。
これも長時間に及ぶツーリングに用いられるアドベンチャーバイクにこそ求められる技術で、タイヤノイズによる耳疲れからライダーを守ってくれるのです。
次回は、コンパウンドについて詳しく解説していきます。