写真:Pirelli
テキスト:伊藤英里
WSBK第7戦イギリス
7月11日~13日/イギリス シルバーストン・サーキット
BMWとドゥカティ、燃料流量制限引き上げ
第7戦を前に、BMWとドゥカティの燃料流量制限が引き上げられることになりました。最新のコンセッションチェックポイント(チェックポイント3)を経て、FIMがドゥカティおよびBMWの両メーカーがレギュレーション第2.4.3.2条に定義された性能閾値を超えたと判断した結果です。
これはチェックポイント2後に導入されたシステムに基づくもので、具体的には、燃料流量制限がこれまでの1.0kg/hから、1.5 kg/hに引き上げられました。
また、ピレリはイギリスラウンドの週末に、すべてスタンダードのタイヤをアロケーションしました。
ラズガットリオグルが最後のドニントンパークでハットトリック達成
こうしてBMWとドゥカティの燃料流量制限が引き上げられましたが、優勝と2位を分け合ったのは、トプラク・ラズガットリオグル(ROKiT BMWモトラッド・ワールドSBKチーム)とニッコロ・ブレガ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)でした。さらに詳細に言えば、ラズガットリオグルがこの週末を席巻したのです。
ラズガットリオグルは、金曜日のフリープラクティス1、2こそトップを逃したものの、土曜日のスーパーポールでポールポジションを獲得し、レース1、日曜日のスーパーポール・レース、レース2で優勝を飾ったのです。レース展開を含め、まさに完全制覇でした。

一方、イギリスラウンドを迎えた時点でチャンピオンシップにおけるランキングトップをキープしていたブレガは、ラズガットリオグルに食らいつくも一矢報いることはできず、3レースで2位に終わりました。
2024年もラズガットリオグルとチャンピオン争いを繰り広げたブレガは、今季、開幕戦から第6戦まで、チャンピオンシップをリードし続けてきました。しかし、イギリスラウンドでラズガットリオグルが3勝を挙げ、ブレガが2位に終わったことで、ついにラズガットリオグルが今季初めてランキングトップに浮上したのです。

WorldSBK.comに語っていたところによると、ラズガットリオグルは最後のドニントンパークのレースをすべて優勝で終えようと臨んでいたということです。ラズガットリオグルは2026年からMotoGPに参戦することが決定しており、MotoGPのイギリスGPは、シルバーストン・サーキットで開催されるからです。
「とてもうれしい。ぼくにとって最後のドニントンパークだったからね。ここに来る前、いちばんの目標はハットトリックだった。そして、それを達成できたんだ」

チャンピオンシップのランキングトップに浮上したラズガットリオグルは、しかし、「ランキングトップはいいけど、そこにフォーカスしてはいないんだ」と言います。
「ボクは1レース1レースに集中してる。ぼくたちはだんだんよくなってきているんだ。バイクが改善しているし、適応しているからね。今はただ目の前のレースに集中しているところで、今は次のバラトンだね。どのライダーにとっても初めてのサーキットだ。そこでも勝ちたいと思っているよ」
「(チャンピオン争いは)まだまだ戦っていくことになりそうだね。もしバラトンで勝てれば、ギャップを広げることができる。ニコロがとても強いサーキットもあれば、ぼくがとても強いサーキットもある。さあ、どうなるかな。激しい戦いになってきたね」
次戦、第8戦ハンガリーラウンドは、7月25日から27日にかけて、ハンガリーのバラトンパーク・サーキットで行われます。バラトンパークは初開催のサーキットで、ラズガットリオグルが語っていたように、すべてのライダーにとって初めてのレースであり、同時に、SBKのシーズン前半戦締めくくりのラウンドとなります。